7238 曙ブレーキ工業の業績について考察してみた

7238 曙ブレーキ工業の業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

1929年曙石綿工業所創業。1936年曙石綿工業株式会社に改組。1960年曙ブレーキ工業に商号変更。1962年東証二部上場、1983年東証一部に変更。2019年事業再生ADR手続きをし、総額560億円の債権放棄を含む金融支援を受け、新経営体制へ移行。事業再生ADRで再建中の独立系ブレーキメーカー

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の筆頭株主は、7203トヨタ自動車で保有割合11.59%。7202いすゞ自動車が9.06%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が8.84%で続き、以降は保有割合5%未満で7259アイシン、曙ブレーキ誠和魂従業員持株会、個人名、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社、9735セコム、7269スズキ、みずほ銀行が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は6名(社内2名、社外4名)、うち監査等委員は4名(全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役は全員が中途入社で、社内取締役は後述の代表取締役と7203トヨタ自動車出身の栗波氏。社外取締役の廣本氏は事業再生ADRの際に第三者割当資金を調達した企業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ出身。

代表取締役の経歴

代表取締役執行役員社長CEOの宮地康弘氏は1957年5月生まれ。関東学院大学卒業後、1981年4月現ボッシュ株式会社に入社。専務執行役員まで務めた後、2017年7月6594日本電産に常務執行役員、車載事業本部副本部長として入社。事業再生ADRが成立後、2019年9月に同社入社、以降代表取締役を務める

報告セグメント

地域別による日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシアの6報告セグメントに大別される。2022年3月期第3四半期におけるセグメント別売上構成は下図の通り。営業利益は日本とアジアの各報告セグメントが黒字、北米、欧州は赤字。北米の損失計上は、顧客別構成比の比率が高かったGM向けの比率の低下に起因するものとみられる。

2022年3月期第3四半期決算説明会資料

事業モデル

自動車用ブレーキの製造が同社の主業。海外売上比率は2021年3月期では62.2%に達する。同社製品は国内外自動車メーカーに採用されており、2022年3月期第3四半期時点の顧客別売上高比率は下図の通り。尚、日本においては自動車用ブレーキが主要な他のセグメントとは異なり、新幹線のブレーキなど鉄道車両用製品や補修品など日本独自のビジネスもある

2022年3月期第3四半期決算説明会資料

国内4工場は縮小、工場間での生産移管を進めている。米国はテネシー州、サウスカロライナ州の工場閉鎖が完了、1工場体制へのシフトを検討している。その他フランスの工場、研究開発拠点も閉鎖および売却に向けた処理を進めている。
同社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大収束が見通せない状況に加え、半導体不足による完成車メーカーの減産、原材料価格上昇等により、不透明な状況が継続している。

競合他社

7259アイシン、6902デンソー、5802住友電気工業、7203トヨタ自動車の合弁会社として設立された株式会社アドヴィックス(2021年3月期売上高約545,300百万円)、3105日清紡ホールディングス傘下の日清紡ブレーキ株式会社(2020年12月期売上高114,826百万円※3105日清紡ホールディングスのブレーキ事業における売上高)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は23社。国内製造子会社4社や、米国、メキシコ、フランス、ドイツ、スロバキア、中国、タイ、インドネシア、ベトナムに拠点を置く海外現地法人などで構成される。

強み・弱み

国内外自動車メーカーに採用される高い製品開発力が強み。同社はブレーキメーカー最大手であり、自動車用ディスクブレーキパッドのOEMシェアは国内約47%で産業用機械のフォークリフト用ドラムブレーキも国内70%のシェア、世界シェアでは30%を占める。一方で、自動車メーカーからの値引き圧力の起因する営業利益率の低さが弱みとして挙げられる。

KPI

KPIは特に事業再生計画で対処すべき課題とされている不採算工場の閉鎖数、従業員の削減数などの他、ブレーキの販売数、取引社数、完成車メーカーの受注数等が想定される。

業績

売上高は2016年3月期の281,341百万円をピークに5期連続減収、2021年3月期はコロナ禍による受注減少や米国完成車メーカーのモデルチェンジにより生産終了となる製品が多かったことが影響し、前期比▲30.7%の134,003百万円となった。営業利益は2016年3月期の赤字計上から生産拠点の閉鎖人員の適正化、生産の効率化などにより黒字を維持してきたものの、2021年3月期は受注減少をカバーしきれず、再びの赤字計上となった。フリーCFは期によりまちまちだが、事業再生に取り組む中、投資抑制しているとみられ、投資CFのマイナス幅は過去に比べ縮小している。自己資本比率は2019年3月期に1.7%まで低下したが、事業再生ADRにかかる債権放棄を受けて有利子負債が大幅減少したことから、2021年3月期は28.0%となっている

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