7238 曙ブレーキの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

曙ブレーキ工業の事業概要

1929年1月、納三治氏はブレーキライニングの製造を開始し、曙石綿工業所を創業。1936年1月に曙石綿工業株式会社を設立した。1960年に曙ブレーキ工業株式会社に社名変更し、1983年に東京証券取引所市場第1部に株式上場を果たした。従業員数は連結で8,309名である(2020年3月期現在)。
同社は自動車用ブレーキを筆頭に、産業機械用ブレーキや鉄道車両用ブレーキ等を製造しており、報告セグメントは地域別に日本、北米、欧州、中国、インドネシア、タイとなっている。2020年3月期の全体での売上は1,933億円で、各セグメントが売上高に占める割合は多い順に北米(37%)、日本(34%)、インドネシア(10%)、中国(8%)、欧州(7%)、タイ(4%)である。北米と日本の割合が大半であるが、依存度の高い北米では33億円の営業損失を計上している。この損失は顧客別の割合で最大30%を占めていたGM向けの比率が19%へと大きく下がったことが影響している。日本においては、自動車用ブレーキが主要な他のセグメントとは異なり、新幹線のブレーキなど鉄道車両用製品や補修品など日本独自のビジネスもある。 以下のグラフは売上高の構成比率を表している。

※曙ブレーキ工業株式会社2020年3月期決算説明資料より

各セグメントの営業利益率は高い順にインドネシア(13.5%)、タイ(8.2%)、中国(6.8%)、日本(4.3%)、欧州(1.0%)、北米(-4.6%)である。北米の主要な完成車メーカーの受注を逃したことから2019年3月期と比べ北米の売上高は3割低下した。北米における生産混乱に起因する業績悪化からの回復の実現が困難であったため、2019年1月には事業再生ADR手続をし、総額560億円の債権放棄を含む金融支援を受けた。
同社の主要株主はトヨタ自動車株式会社(11.5%)、いすゞ自動車株式会社(9.0%)であるが、特定の自動車メーカーの系列会社ではなく、独立系総合ブレーキ専業メーカーである。以下のグラフは顧客別売上高比率を表している。

※曙ブレーキ工業HPより(https://www.akebono-brake.com/sp/corporate/jp/keyword/)
同社の取締役は9名であり、事業再生ADR手続をした2019年10月から宮地康弘代表取締役社長その他3名が新たに取締役として選任された。なお事業再生ADRの際に企業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(以下JISファンド)に第三者割当資金を調達したことからJISファンド指名の社外取締役(廣本裕一氏)も選任された。
同社代表取締役社長の宮地康弘氏は1957年5月に生まれ、1981年3月に関東学院大学工学部を卒業した後、同年4月にはボッシュ株式会社へ入社した。2018年にボッシュ専務執行役員、2017年に日本電産常務取締役に就任した後、2019年に同社の再建を託された。
競合他社としてはアイシングループのアドヴィックス(アイシン精機、デンソー、住友電工、トヨタ自動車のブレーキ部門を統合して設立された会社)が挙げられ、ブレーキの制御系において世界シェア13%、国内シェアは41%であった。

総合ブレーキ事業

同社はブレーキメーカー最大手であり、自動車用ディスクブレーキパッドのOEMシェアは国内約47%で産業用機械のフォークリフト用ドラムブレーキも国内70%のシェア、世界シェアでは30%を占める。一方で、自動車メーカーからの値引き圧力の起因する営業利益率の低さが弱みとして挙げられる。主要な北米市場では営業利益率が▲4.6%になり、事業の悪化から事業再生ADRを行った。KPIは特に事業再生計画で対処すべき課題とされている不採算工場の閉鎖数、従業員の削減数などの他、ブレーキの販売数、取引社数、完成車メーカーの受注数等が同社のKPIとして想定できるだろう。早期退職措置を行うなど事業再生計画における人員削減計画は達成したが、新型コロナ感染拡大による売上高減少(2021年第2四半期売上高605億円は前年同期比40.9%減)から回復できるかが課題として挙げられるだろう。
財務面においては、2019年3月期には自己資本比率が1.7%まで落ちていたが事業再生ADRによって2021年3月期2Q末には32.3%まで回復した。また、流動資産は639億円、流動比率は258%であり、短期的な支払能力に大きな問題はないと読み取れる。。