7224 新明和工業の業績について考察してみた

7224 新明和工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 64,629 3,290 5.09%
FY2024.Q1 2023.06 52,399 637 1.22%
FY2024.Q2 2023.09 64,065 3,794 5.92%
FY2024.Q3 2023.12 61,163 1,869 3.06%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 60,333 4,168 6.91%
FY2018.Q1 2017.06 44,284 2,365 5.34%
FY2018.Q2 2017.09 51,697 3,205 6.2%
FY2018.Q3 2017.12 49,799 2,551 5.12%
FY2018.Q4 2018.03 61,555 2,473 4.02%
FY2019.Q1 2018.06 46,132 1,327 2.88%
FY2019.Q2 2018.09 52,425 2,721 5.19%
FY2019.Q3 2018.12 56,041 3,658 6.53%
FY2019.Q4 2019.03 62,699 3,002 4.79%
FY2020.Q1 2019.06 48,869 2,198 4.5%
FY2020.Q2 2019.09 59,229 3,901 6.59%
FY2020.Q3 2019.12 53,924 1,973 3.66%
FY2020.Q4 2020.03 65,209 4,764 7.31%
FY2021.Q1 2020.06 44,806 1,322 2.95%
FY2021.Q2 2020.09 48,977 2,485 5.07%
FY2021.Q3 2020.12 53,304 2,789 5.23%
FY2021.Q4 2021.03 62,139 3,883 6.25%
FY2022.Q1 2021.06 46,487 1,400 3.01%
FY2022.Q2 2021.09 53,777 3,038 5.65%
FY2022.Q3 2021.12 54,314 2,687 4.95%
FY2022.Q4 2022.03 62,245 3,444 5.53%
FY2023.Q1 2022.06 47,262 792 1.68%
FY2023.Q2 2022.09 56,739 2,414 4.25%
FY2023.Q3 2022.12 56,545 2,797 4.95%
FY2023.Q4 2023.03 64,629 3,290 5.09%
FY2024.Q1 2023.06 52,399 637 1.22%
FY2024.Q2 2023.09 64,065 3,794 5.92%
FY2024.Q3 2023.12 61,163 1,869 3.06%

沿革

1920年2月に川西機械製作所を設立し、飛行機部にて飛行機の設計と製造を開始。1928年11月に飛行機部の事業を継承した川西航空機株式会社を設立。1949年11月に新明和興業株式会社を設立し、自動二輪車や農機具の販売・製造及び車両修理事業を開始。1960年4月に明和興業株式会社(旧川西航空機株式会社)を吸収合併。1962年8月に東証二部に上場。1967年8月に東証一部に上場。本社は兵庫県。特装車メーカー。ダンプトラックで国内首位

株主構成

有価証券報告書よると2021年9月末時点の筆頭株主は保険代理業を営む三信株式会社で13.15%、次いで日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で10.67%、その他は保有割合5%未満で新明和グループ従業員持株会、株式会社日本カストディ銀行の信託口、8830住友不動産、東洋ビルメンテナンス株式会社、JP MORGAN CHASE BANK 385781と続く。その他には国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%以下

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役5名 (社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパーとみられる。3名の取締役が経営企画本部や人事総務部、財務部を統括する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の五十川龍之氏は1959年7月生まれ。徳島大学工学部を卒業後、1983年4月に同社に入社。2015年6月に取締役、2017年4月に代表取締役を経て、2017年4月に現職に就任した。

報告セグメント

「航空機事業」、「特装車事業」、「産機・環境システム事業」、「パーキングシステム事業」の4セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、建設事業や不動産事業、ソフトウェア事業等を含む「その他」がある。2022年3月期第2四半期の売上高は100,264百万円で、航空機事業が10,187百万円で10.2%、特装車事業が48,379百万円で48.3%、産機・環境システム事業が16,376百万円で16.3%、パーキングシステム事業が17,839百万円で17.8%、その他が8,399百万円で8.4%を占める。調整前のセグメント利益の6割以上を特装車事業が創出。パーキングシステム事業が3割を占め、航空機事業は赤字であった。

2021年3月期 決算説明資料

事業モデル

航空機事業では、救難航空艇や訓練支援機等の航空機と、海外の民間航空機メーカー向けの航空機部品を製造・販売する。救難航空艇は外洋に離着水が可能な世界で唯一の性能を持ち、広範囲での救助活動を可能とする売上の5割を海外の民間航空機メーカー向けが占める。米カリフォルニア子会社から資材を調達し、同社の甲南工場と宝塚分工場、徳島分工場、播磨分工場で製造する。また国内連結子会社1社が救難飛行艇の保守修理を担う。
特装車事業では、ダンプトラックやタンクローリ、環境整備車、テールゲートリフタ等の特装車と関連部品を製造・販売する。ダンプトラックと塵芥車では国内トップシェアを誇る。同社の他に国内4社とタイ1社の連結子会社で製品を製造し、国内連結子会社3社で販売を行う。また中国における環境整備車等の製造・販売は、中国の連結子会社1社が担う。
産機・環境システム事業では、水中ポンプや水処理関連設備、自動車や家電に使用される組電線を加工する自動電線処理機等を製造・販売する。その他に廃棄物の運搬を効率化するごみ中継施設を提供する。中国での製造・販売は中国子会社2社で行い、タイの連結子会社にて東南アジア向け、米連結子会社にてその他海外向けに販売する。真空関連製品は国内と韓国の連結子会社で製造する。また水中ポンプや水処置関連製品と高圧洗浄機の製造は、それぞれ国内連結子会社2社が担う。ごみ処理設備の運営は国内連結子会社1社が担う。
パーキングシステム事業では、機械式駐車設備と航空機旅客搭乗橋の製造・販売を行う。機械式駐車設備の大型機とエレベータ方式ではトップシェア誇る。同社で製造し、海外ではシンガポールと台湾の連結子会社にて販売する。その他にシンガポールとマレーシアの連結子会社が製品のメンテナンスや製缶を担う。
その他事業では連結子会社3社と非連結子会社1社を通して、不動産業や建設業、ソフトウェア開発を行う。
海外売上高比率は13.0%で、地域ごとではアジアが3.7%、北米が6.8%、その他が2.4%を占める。(2021年3月期)
今後は国内事業の収益拡大を目的にM&Aや事業提携の強化を進める他、海外事業では東南アジアを中心に事業間の販売連携を強化して市場拡大を狙う。

競合他社

衛生車両や塵芥車両で国内高シェアを誇る6455モリタホールディングス (2021年3月期売上高84,667百万円)、大手総合特装車メーカーの7226極東開発工業(同117,170百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社26社、持分法適用非連結子会社会社3社、持分法適用関連会社1社を持つ。海外には米国と中国、韓国、タイ、シンガポール、マレーシアに10社の連結子会社を有する。

強み・弱み

強みとしてニッチ市場での高シェアが挙げられる。事業セグメント毎にニッチ分野で高シェアを獲得している。中でも特装車事業におけるダンプトラックや塵芥車は国内トップシェアを有し、パーキングシステム事業での機械式駐車設備でも大型機とエレベータ方式でトップシェアを誇る。航空機や特装車といった車両から環境システムや社会インフラまで手掛けており、事業間での総合的なインフラサービスの提供を可能とする。懸念点としては、航空機事業における日米間の為替リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①セグメント別売上構成比率と②設備投資額(有形)が挙げられる
①セグメント別売上構成比率(2021年3月期)
②設備投資額(有形):84億円(同)

2021年3月期 決算説明資料

業績

2017年3月期から2020年3月期にかけては、特装車事業と産機・環境システム事業を中心に需要が拡大し、売上高は緩やかに増加し1.1倍となったが、2021年3月期は新型コロナ流行により航空機事業を中心とした営業・生産活動の鈍化が影響して▲7.9%の減収。経常利益は各事業の費用増加を背景に2017年3月期の130億円台を下回り2018年3月期と2019年3月期は100億円台で推移し、2020年3月期は120億円台まで回復したが、2021年3月期は再び減益となり100億円台であった。フリーCFは有形固定資産取得に伴いマイナスとなった2020年3月期を除いて、プラスを推移。自己資本比率は30%台後半から40%台前半を推移する

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