5986 モリテックスチールの業績について考察してみた

5986 モリテックスチールの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1943年5月に森商店を創業し、焼入鋼帯・ぜんまいの販売を開始。1950年11月に森ゼンマイ鋼業株式会社に改組。1963年10月大阪店頭市場に株式を公開、1981年11月大証二部に上場。1966年12月にベーナイト鋼帯を量産工業化。1990年9月にモリテックスチール株式会社に商号変更。1997年4月タイ現地法人設立を気に中国、インドネシア、ベトナムへ展開。2013年7月に東証一部に上場。本社は大阪府。特殊帯鋼や普通鋼等の商事部門と、焼入鋼帯や鈑金加工品の製造部門が事業の柱

株主構成

有価証券報告書よると2021年3月末時点の筆頭株主は5401日本製鉄で10.0%、次いで主要な鋼材仕入れ先である株式会社メタルワンが5.9%、日本生命保険相互会社が5.6%以降は保有割合5%未満で株式会社三菱UFJ銀行、株式会社関西みらい銀行、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口、大同生命保険株式会社と続く。その他には保険会社等の金融機関や取締役が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は7名(社内5名、社外2名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役はプロパー出身者で構成される。代表2名の他、常務取締役2名は統括本部や技術本部等様々な経験を持ち、管理本部長と経理本部長、生産本部長を兼任している。尚、もう1名の社内取締役も生産本部の所属である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の門高司氏は1961年7月生まれ。近畿大学法学部を卒業後、1984年4月に同社に入社。入社後は営業本部や海外事業本部に従事し、2007年6月に取締役、2015年6月に常務取締役を経て、2019年6月に現職に就任した。
代表取締役副社長の木村愼一氏は1956年6月生まれ。大阪工業大学工学部を卒業後、1980年4月に同社に入社。入社後は営業本部や開発本部に従事し、2005年6月に取締役、2007年6月に常務取締役、2015年6月に専務取締役、2020年6月に代表取締役専務取締役を経て、2021年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「商事部門」、「焼入鋼帯部門」、「鈑金加工品部門」、「海外事業」の4セグメントに大別される。2022年3月期第1四半期の売上高は6,747百万円で、商事部門が3,623百万円で53.7%、焼入鋼帯部門が361百万円で5.4%、鈑金加工品部門が1,677百万円で24.9%、海外事業が1,085百万円で16.1%を占める。
セグメント利益は通期で見ると、2020年3月期は全部門黒字で商事部門と鈑金加工品部門の利益額が大きかったが、2021年3月期は鈑金加工品部門と海外事業が赤字転換。商事部門が1桁台前半、焼入鋼帯部門が1桁後半から10%台前半を推移する。

事業モデル

販売を担う商事部門と、焼入鋼帯部門及び鈑金加工品部門の製造部門が2つの柱で、顧客企業に対して鋼材の活用提案も行う。
商事部門では、みがき特殊帯鋼やステンレス鋼帯、熱間・冷間圧延鋼帯等の各種鋼材の販売を行う。自動車や家電製品、農業機器、医療機器等の幅広い用途に使用される。
焼入鋼帯部門では焼入鋼帯やベーナイト鋼帯を製造し、鈑金加工品部門では自動車用機能部品や家電用精密部品、ゼンマイ製品、各種金型等を製造する。
国内では同社の他に、連結子会社である日輪鋼業株式会社を通して製品を製造・販売する。国内の生産拠点は三重県と栃木県の工場の2か所で、開発拠点は京都府の1か所である。
海外事業ではタイ、ベトナム、メキシコに生産拠点、インド、インドネシア、中国に販売拠点を持つ海外売上高比率は18.8%。(2021年3月期)
主要顧客には鋼材の専門商社である第一金属株式会社と7278エクセディ、日産グループの自動車部品メーカーであるジヤトコ株式会社が挙げられる。
鈑金加工品では競合他社間での価格競争が進んでおり、同社は多品種製造や海外拠点への展開を視野に入れて差別化を図る。

競合他社

みがき帯鋼をはじめとする圧延専業メーカー5458高砂鐵工(2021年3月期売上高8,730百万円)、ステンレス鋼材の加工技術に強みを持つ5464モリ工業(同35,112百万円)、ステンレス帯鋼に強い圧延専業メーカー5491日本金属(同40,106百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社6社と持分法を適用しない非連結子会社1社を持つ。日本国内とタイ、インドネシア、メキシコ、中国、ベトナムにそれぞれ1社の連結子会社を持つ。

強み・弱み

強みとして製造部門と商社部門を一社で兼ね備える点が挙げられる。鉄鋼業界では専属メーカーが多い中で、同社のように商社機能を自社内に備える企業は少ない。製造から販売までを一貫体制で行うことで、特殊帯綱の加工技術を生かして顧客ごとの鋼材の活用提案やスムーズな商品開発を実現する。また製造部門で培った特殊鋼帯の加工技術を元に、自社のオリジナル製品の開発に着手。製造・販売・開発部門の連携を強化し、電気自動車用充電器や環境対応製品等の新規製品の販路拡大を目指す。懸念点としては売上高に占める自動車業界の比率が高いことから、自動車の生産動向による売上高変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①海外売上高比率、②部門別売上高が挙げられる
①海外売上高比率:18.8%(2021年3月期)
②部門別売上高(同)

第80期報告書

業績

売上高は2013年3月期以降緩やかな上昇傾向にあったが、2018年3月期29,440百万円をピークに3期連続減収で2021年3月期22,292百万円まで減少。経常利益も2018年3月期1,092百万円をピークに3期連続減益で2021年3月期は赤字転換し▲402百万円だった。米中貿易摩擦のあった2020年3月期、新型コロナ流行の影響を受けた2021年3月期と自動車業界の需要冷え込みの営業を大きく受けた。フリーCFは2020年3月期に仕入債務の減少と固定資産の取得によりマイナスに転換したものの、2021年3月期はプラスに回復。自己資本比率は50%台後半を推移する