3433 トーカロの業績について考察してみた

3433 トーカロの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1951年7月に東洋カロライジング工業株式会社を設立し、カロライズの加工・販売を開始。1981年9月にトーカロ株式会社に商号変更。2001年1月に同社経営陣によるマネジメント・バイアウトの一環として同社株式の公開買付を開始することで、当時の親会社日鐵商事株式会社(現 日鉄住金物産株式会社)より独立し、同年8月ジャフコ・エス・アイ・ジー株式会社に吸収合併され、商号はトーカロ株式会社を引き継ぐ。(形式存続会社のジャフコ・エス・アイ・ジー株式会社は、1973年6月に化学工業薬品と化学機械器具の技術サービス・販売を目的に、キザイサービス株式会社として設立、休眠後ジャフコにより買い取られ商号変更。)2003年12月に東証二部に上場。2005年3月に東証一部に上場。2022年4月市場区分の見直しによりプライムへ移行。本社は兵庫県神戸市。高性能皮脂加工技術で国内トップシェアを誇る。

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行で保有割合16.41%、日本カストディ銀行が14.40%で続き、以降は保有割合5%未満でBBHフィデリティロープライスドストックファンド、トーカロ従業員持株会、ノーザントラスト(AVFC)フィデリティファンドほか、海外金融機関、個人名が並ぶ。尚、大量保有報告書によると三井住友信託銀行と共同保有者の保有割合が5.19%であることが報告されている。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は8名(社内4名、社外4名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち3名はプロパー入社とみられ、残り1名は現三菱UFJ銀行の出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の三船法行氏は1955年5月生まれ。山口大学工学部を卒業後、1978年4月に同社に入社。北九州工場長等を歴任後、2004年12月九州工業大学にて博士号を取得。2007年6月に取締役、2012年6月に常務取締役を経て、2013年6月より代表取締役を務める

報告セグメント

「溶射加工(単体)」、「国内子会社」、「海外子会社」の3セグメントに大別される。セグメントに属さない事業として、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理加工を行う「その他」がある。2023年3月期第1四半期売上高11,877百万円(調整前)の内、溶射加工(単体)が9,010百万円で75.9%、国内子会社が591百万円で5.0%、海外子会社が1,577百万円で13.3%を占める。
セグメント利益もほぼ同様の構成となっている。利益率は溶射加工(単体)が25.2%、国内子会社が14.4%、海外子会社が27.7%

2023年3月期第1四半期決算補足説明資料

事業モデル

主力の溶射加工では、半導体製造装置の部品や発電用ガスタービン等の各種産業用機械部品と、鉄鋼及び製紙用ロールや化学プラント部品等の設備部品の表面加工を手掛ける。受託加工サービスの専業企業である。同社の行う溶射加工では、熱源によりコーティング剤を部品表面に吹きかけて皮膜を形成することで、部品の耐久性能向上や電気的特性・熱的特性の形成を行う。溶射加工の国内シェアは2019年度の推計で45.7%を誇り、業界最大手である。業界別売上高構成は、半導体・FPDが約6割、産業機械、鉄鋼が各1割強などとなっている。
また国内連結子会社の日本コーティングセンター株式会社を通して、切削工具や金型、刃物等の表面に硬質セラミック薄膜を形成する表面改質加工を行う。この加工により、耐摩耗性や耐食性の向上が図れる。海外事業は、中国では主に半導体製造装置部品への溶射加工を、米国では半導体製造装置部品のメンテナンス事業を行う。日系企業の現地法人が主な顧客である。また技術供与契約を海外複数社と結び、ロイヤリティー収入を受領している。
主要顧客は東京エレクトロン株式会社グループであり、売上高の35.7%(2022年3月期)を占める。
海外売上比率は21.1%。海外子会社での売上のほとんどが溶射加工であり、国内外合わせて売上の約9割を溶射加工が占める。

競合他社

国内溶射市場は同社が4割超のシェアを持ち、その他は中小企業が乱立している。主な競合として、プラクスエア工学株式会社(米国企業の日本法人)、日鉄ハードフェイシング株式会社(5401日本製鉄グループ企業)プラズマ技研工業株式会社(受託加工サービス専業)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社5社と非連結子会社1社、持分法を適用しない関連会社1社を持つ。主要連結子会社には、国内で刃物や金型等の表面に硬質セラミック加工を行う日本コーティングセンター株式会社が挙げられる。

強み・弱み

強みとして、少量多品種の国内市場でトップシェアを誇ることが挙げられる。同社が提供する溶射加工は主に半導体製造装置部品をはじめとする、各種産業機器部品である。大量生産が前提の自動車部品等は、各自動車メーカーが自社で溶射加工を行っているため、同社では少量多品種のニッチ分野への対応が中心。このニッチ分野で国内トップシェアを獲得しているため、市場が価格競争に陥るリスクが低く、リピート顧客を多く抱える点で市場優位性を持つ。また連結子会社の日本コーティングセンター株式会社では部品表面への薄膜加工に対応しており、厚膜加工である溶射のみならず幅広い製品領域をカバーする。懸念点は、東京エレクトロン株式会社グループへの売上が総売上の3割超(2022年3月期)を占めており、取引先の業績変動による同社業績への影響が挙げられる。

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KPI

KPIには主力の半導体・FPD分野に関する売上推移や設備投資額、研究開発費が挙げられる。また、対処すべき課題として海外での事業展開が掲げられており、海外売上比率なども参考となる。
①半導体・FPD分野の売上推移(2022年3月期)
②設備投資額(中期経営計画では設備投資額50-70億円/年、研究開発費は連結売上高比3%程度維持としている)
③溶射加工市場規模:国内(受託サービス)約725億円(2019年度推計)
④海外売上比率21.1%

2023年3月期第1四半期決算補足説明資料

業績

半導体市場の需要拡大を背景に、売上高・経常利益ともに2017年3月期から2019年3月期まで増加傾向だったが、2020年3月期には世界的な半導体市場の調整局面入りを背景に減収減益。2021年3月期以降は産業機器や鉄鋼分野向けで需要減退が見られるものの、半導体市場の需要回復で増収増益。2022年3月期は売上高、利益ともに過去最高を更新した。フリーCFは恒常的にプラス。自己資本比率は2022年3月期70.6%。前期の68.8%から改善。健全な財務状況を保つ

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