5911 横河ブリッジホールディングスの業績について考察してみた

5911 横河ブリッジホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1907年2月建築家・実業家として知られる横河民輔氏によって、横河工務所(現横河建築設計事務所)から分離独立する形で、橋梁・鉄骨専業メーカーとして大阪市西区に設立。1918年5月株式会社に組織変更、戦前に本拠地及び工場を東京へ移転。1952年6月株式を店頭公開、1961年10月東証第二部、1962年8月東証第一部へ上場。1991年10月株式会社横河橋梁製作所から株式会社横河ブリッジへ商号変更。2007年8月持株会社体制へ移行、橋梁・鉄骨事業は新設した子会社に事業譲渡のうえ、同社は純粋持株会社へ。橋梁建設・保全に関わる事業、工場・倉庫建設などシステム建築など、社会インフラ整備に関わる事業を営む

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行で11.02%を保有。ついで、株式会社日本カストディ銀行が7.42%、創業者を同じくする6841横河電機が5.39%を保有。以下は5%未満で、取引先の5401日本製鉄や、8830住友不動産、横河ブリッジホールディングス従業員持株会、信託銀行等の信託口や生保・損保などが上位に名を連ねる。外国人保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内10名、社外3名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)であり、同社は監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー出身者で、子会社等の代表取締役を兼務する者が多い。社外取締役は、三菱レイヨン株式会社出身の亀井泰憲氏、株式会社小松製作所顧問の黒本和憲氏など、企業経営の経験豊かな人物が担っている。

代表取締役の経歴

代表取締役会長である藤井久司氏は1948年9月生まれ。山梨大学工学部を卒業後、1971年4月に同社に入社した。2003年11月に株式会社楢崎製作所代表取締役社長に就任したのち、2014年6月に同社代表取締役社長に就任した。2020年6月に現職である同社代表取締役会長に就任した
代表取締役社長である髙田和彦氏は1959年6月生まれ。東京大学大学院工学系研究科終了後、1985年4月に同社に入社した。2011年6月に株式会社横河ブリッジ取締役設計センター長兼技術本部長・安全品質管理室担当などを経て、2018年6月に株式会社横河ブリッジ代表取締役社長就任、2020年6月に同社代表取締役社長に就任した
h2>報告セグメント

「橋梁事業」・「エンジニアリング関連事業」・「先端技術事業」・「不動産事業」の4つから構成される。2021年3月期の売上高138,144百万円に占める構成比は、橋梁事業が58.8%、エンジニアリング事業が38.3%、先端技術事業が2.4%、不動産事業が0.5%であった。祖業である橋梁事業が利益の過半を稼ぎ、同セグメントの営業利益の全体に占める割合は7割を超える。いずれの事業も黒字で、2020年3月期末の受注残は落ち込んだが、2021年3月期には回復済である。

事業モデル

創業者横河民輔氏の理念である「社会公共への奉仕と健全経営」をグループの基本経営理念として掲げ、祖業である橋梁の設計施工を中心としたビジネスを展開する
「橋梁事業」は、新設橋梁の設計・制作・現場施工のほか、既存橋梁の維持補修を主な事業とする。「エンジニアリング事業」は、可動式建築システムの設計・制作・現場施工、土木関連工事、海洋構造物などの設計・制作などを手掛ける。「先端技術事業」は、今までの橋梁事業などで培ったCAD技術などをもとに、液晶パネルなど精密機器製造事業などへの横展開を行う。「不動産事業」は、保有不動産の運用・管理などを主に行う。
創業の経緯や財務的な裏付けなど、橋梁事業が主力であると言えるが、エンジニアリング事業も年度によっては橋梁事業と肩を並べる実績を見せており、両事業が同社の事業の柱と言えるだろう

2021年3月期 通期決算説明資料

競合他社

橋梁工事を得意とする専業企業では、明石海峡大橋などを手掛けた3443川田テクノロジーズ(2021年3月期売上高1,155億円)、大手重工メーカーの傘下にある企業として、IHIインフラシステム(非上場)エム・エムブリッジ(非上場、旧三菱重工鉄構エンジニアリング)などが直接の競合先と考えられる。業界内の競争状況は、競合他社の動向以上に、公共工事の発注動向の影響が大きい。道路橋など多くの構造物について老朽化が指摘されるなか、一定のメンテナンス需要はあるなかで競合先との対比でどれだけ受注残を積み上げられるかがカギだろう。

連結の範囲

2021年3月末時点において、同社には6社の連結子会社、持分法適用会社1社、非連結関係会社3社がある。国内の橋梁工事などを主力事業とするため、連結子会社及び持分法適用会社は国内法人である。

強み・弱み

ニッチな橋梁工事におけるトッププレーヤーとして、「橋梁総合エンジニアリング会社」を標榜し、鋼橋をはじめとして、橋梁建設を全工程でマネジメントできることが強み。特に、既存施設の保全・補修の社会的重要性が高まるなかで、同社の総合的なマネジメント力・技術が活かされる。
一方、2005年の橋梁談合事件に代表されるように、コンプライアンス・ガバナンス面はリスクとして挙げられる。事件後10数年を経過し、様々な再発防止策が講じられているが、橋梁工事をはじめとする大規模工事は一社で完結できるものではなく、他社とのJV形態での協働となるため、業界全体で高いコンプライアンス意識が保たれるかは課題である。
また、少子高齢化の中、適切な人員・陣容を確保できるかも今後の課題となろう。建設人材の不足が社会問題化する中、同社の人員体制は子会社の統合など(2015年に横河ブリッジと横河工事の合併)を行い、1600~1800人程度と緩やかに増加しているが大きな変化はない。人員計画・体制は重要なポイントだろう。

KPI

2019年4月スタートの第5次中期経営計画において、主要な経営指標(売上高・営業利益・一株当たり当期純利益)について定量目標を設定している。2021年度は売上高の目標達成は難しい一方、営業利益目標は2020年度に既達であり、2021年度も可能との見解を開示している。
「連結売上高」 1,360億円 (2021年3月時点、中期経営計画:1,600億円)
「営業利益」 +159億円 (2021年3月時点、中期経営計画:140億円)
「一株当たり当期純利益」 273円/株 (2021年3月時点、中期経営計画:230円/株)
「受注残高」 2,010億円 (2021年3月時点)
好調な進捗の背景には2020年度に、国内橋梁発注量の回復をきっかけに受注高が好調だったことがあげられる。同社の受注予測が保守的な見積もりであるのに対して、国内橋梁発注量は回復トレンドを継続するとみられており、好調な事業環境にある。

2021年3月期 通期決算説明資料

業績

2017年3月から2021年3月までの売上高は概ね1,300~1,400億円で推移し、2021年3月期は1,360億円であった。営業利益額は同期間に80億円から159億円とほぼ倍増となった。営業CFは工事の完工状況によりマイナスとなる期もあるが、基本プラス圏で推移、投資CFは恒常的にマイナス。自己資本比率も徐々に水準を切り上げながら2021年3月期には59.5%となった。