沿革
2009年9月東京都中央区日本橋にて、IT技術の活用による顧客の事業改革支援を目的に株式会社コアコンセプト・テクノロジーを設立、コンサルティング・システム開発事業を開始。2016年10月製造業向けDX開発基盤「Orizuru」をリリース。2021年2月IT人材調達プラットフォーム「Ohgi」をリリース。2021年8月16日東証マザーズ上場承認、20201年9月22日上場予定。 顧客のデジタル化(DX)を支援・推進するITベンダー。
株主構成
上場申請有価証券報告書によると、筆頭株主は代表取締役社長CEOの金子武史氏で16.72%。次いで広島県の金属加工事業者とみられ、取締役会長の下村克則氏が取締役として就任している芸陽線材株式会社が9.29%、同氏が個人で8.59%、同氏の資産管理会社とみられる株式会社SHIMOMURAが8.13%を保有。その他、取締役CTO兼マーケティング本部長の田口紀成氏が8.36%、取締役の津野尾一氏と中島数晃氏が5%程度と、役員で併せて60%程度を保有。他は目立った機関投資家や企業名はなく、個人が中心である。外国人株式保有比率は10%未満。
発行済株式総数は3,587千株、上場時に公募で200千株、売出170千株、OA売出55.5千株を予定。
取締役会
取締役は8名(社内5名、社外3名)、うち監査等委員5名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。社内取締役は、現みずほ銀行で20年、他2社の役員経験を有するCFOの中島数晃氏を除く5名中4名が、株式会社インクス(現SOLIZE株式会社)での勤務経験を有する。株式会社インクスは、製品開発のデザインエンジニアリングや3Dプリンティングエンジニアリングなどのデジタルエンジニアリングの受託会社。なお、取締役会長の下村克則氏は1956年2月生まれで、東京大学理学部を卒業し6701日本電気へ入社。日本電気ソフトウェア株式会社の勤務歴が長く、1991年3月より株式会社インクスなど数社を経て2009年9月に当社を設立した。2009年12月より代表取締役を務めたが、2020年11月より代表権のない現職へ退いた。
代表取締役の経歴
代表取締役社長CEOの金子武史氏は1976年5月生まれ。東京理科大学理工学部を卒業後、株式会社インクスへ入社。2006年4月に株式会社ラグナを設立し、同年12月から株式会社KT Consultingへ入社、2010年10月に同社へ入社し、2013年1月より取締役副社長へ就任。2015年7月より現職へ就任。
報告セグメント
DX関連事業の単一セグメント。事業部門としては、デジタルトランスフォーメーション事業本部、システムインテグレーション事業本部、エンジニアリングプラットフォーム事業本部、事業開発本部、全社(共通)に分類されているが、従業員の配置の開示があるのみ。
事業モデル
コンサルティング力とAI技術を生かし、主に製造業・建設業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するITサービスを提供。デジタイゼーション支援やSalesforceのカスタマイズ導入支援、ITエンジニア調達支援等を手掛ける。
DXの全体像の策定、技術検証、システム構築、運用・保守、内製化まで一気通貫で支援する。これまでの中心は製造業・建設業向けが中心だが、今後はその2業界に近しい流通・物流、医療、食品、から順次対象領域を拡大する方針。
事業会社からの1次請けが約5割、残り5割は2次請けで特に現在拡大中の領域で大手Sierやコンサルティングファームからの案件に対応し安定的な受注確保へつなげている。
顧客企業の規模別売上高構成比は売上高1,000億円以上が4割以上、1,000億円未満100億円以上が約4割と、大企業・中堅企業が中心。業種別には、製造業・建設業・卸売業・小売業・情報通信業で7~8割を占める。
プロジェクト期間は1か月~数年まで様々、リスク低減のために契約期間を1~3か月程度に細分化し、準委任契約での受注が7~8割。売上高の約8割が既存顧客からの再受注。中小IT企業との開発パートナーネットワークを構築し、外注を活用。外注比率は55%程度。
製造業・建設業のDX開発基盤として「Orizuru」を提供している。2つの機能に大別され、元データの収集や各種工程の自動化を実現する通信基盤と、スペックの低いPCのブラウザ上で3次元CADデータ表示を可能としAIによる3Dデータの類似検索を実現する機能の2つ。 「設備・装置からのデータ収集と指示伝達の自動化」「3Dモデルによる可視化」「類似検索」を標準機能にカスタマイズを加え、顧客企業のDXをスピーディかつ低コストで実現可能。
なお、4万人以上のITエンジニアへのアプローチが可能なIT人材調達プラットフォーム「Ohgi」の提供を2021年2月より開始しており、エンジニアやパートナーの利用は無料、エンジニアの手配を同社が代行する形式で発注者側から取引報酬の10%×契約月数を徴収する収益構造。 専用のコミュニケーションプラットフォームをクラウドで提供するものとみられる。
競合他社
DX推進に注力し、AI利用のノウハウを持つITベンダーは複数存在し、顧客業種の開示がある中では3906ALBERTなどは製造業の実績を持つことから競合すると見られる。製造業に強みを打ち出している新興企業のITベンダーは多くはない。大手SIerやコンサルティングファームとの競合が多いとみられるが、なるべく協業を目指す方針。
連結の範囲
子会社がないため連結財務諸表を作成していない。
強み・弱み
取締役の多くが株式会社インクスでの経歴を有すことから見てとれる通り、創業時から製造業の現場のものづくりに関する知見とスマートファクトリー及びBIM/CIM(建築や土木・建設分野の3次元モデル管理の総称)関連のIT技術を強みにナレッヂを蓄積してきたことが強みとなっている。理系大学院で高度な数学を収めたIT技術者を中心に採用・育成し、エンジニア増員に努めてきた経緯も評価できる。日本の製造工場の古い設備との自動連係対応や現場のオペレーションに配慮したカスタマイズ対応力が受注実績の背景にあると見られる。
一方で、DX領域のITベンダーは数多く、大手のSIerやコンサルティングファームとの競合の観点に置いて同社独自の強みが出しにくく、エンジニアの今後の獲得競争においても知名度が相対的に劣る点などが懸念点となる。
KPI
顧客数、外注先数、従業員数をKPIとして挙げる。