5974 中国工業の業績について考察してみた

5974 中国工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1950年10月に中国工業株式会社を設立し、一般鉄構製品の製造を開始。1955年6月に高圧ガス容器の製造を開始。1961年11月に東証二部に上場。1968年8月に東証一部に指定替え。2019年11月に時価総額が基準を満たさず、東証二部に指定替え。本社は広島県。国内最大手の家庭用LPガス容器メーカー

株主構成

2021年3月期有価証券報告書よると2021年3月末時点の筆頭株主は5401日本製鉄で5.1%、以降は保有割合5%未満で株式会社広島銀行、9895コンセックの代表取締役会長である佐々木秀隆氏、6495宮入バルブ製作所、個人投資家の張平華、日本鉱泉株式会社、同社の連結子会社である中鋼運輸株式会社、金融機関などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の内2名は、事業開発部門と営業部門を担当しており、プロパー入社とみられる。残りの1名は連結子会社の中鋼運輸株式会社の取締役社長を兼任しており、非常勤である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の野村實也氏は1945年11月生まれ。広島大学工学部を卒業後、1968年4月に同社に入社。高圧機器部門に長年に渡り従事し、2002年6月に取締役、2004年に常務取締役を経て、2006年に現職に就任した。同社の連結子会社である高圧プラント検査株式会の代表取締役社長を兼任する。

報告セグメント

「高圧機器事業」、「鉄構機器事業」、「施設機器事業」、「運送事業」の4セグメントに大別される。2022年3月期第1四半期の売上高2,628百万円の構成比は、高圧機器事業が1,519百万円で57.8%、鉄構機器事業が112百万円で4.3%、施設機器事業が457百万円で17.4%、運送事業が539百万円で20.5%を占める。
2021年3月期の通期でみた全社費用調整前のセグメント利益のうち、6割以上が高圧機器事業で創出される。利益率は高圧機器事業が1桁台中盤、鉄構機器事業と施設機器事業が1桁台後半、運送事業が1桁台前半を推移する。

事業モデル

高圧機器事業では家庭用LPガス容器を始めとする高圧ガス容器や高圧プラント設備、バルク容器等の製造・販売を行う 。小型LPガス容器の国内シェアは3割を超え、国内首位メーカー。高圧ガス容器の部品加工や製造作業の一部を非連結子会社の豊栄プレス有限会社と第一興産有限会社で行い、高圧ガスプラント工事は連結子会社の高圧プラント検査株式会社が一部担当する。
鉄構機器事業では、鉄やステンレス、特殊金属を用いて工業用水タンクやデータ記録装置格納容器、危険物運搬用容器等を製造・販売する。一部製品の部品加工や製造については、豊栄プレス有限会社が請け負う。
施設機器事業では、畜産分野における豚舎・牛舎設備等の各種設備や、環境分野における環境保全設備やその他機材等の製造・販売を行う。飼料用タンクでは国内トップシェアを誇る。一部の部品加工については、非連結子会社の有限会社エヌシーケーが請け負う。
高圧機器と鉄構機器、施設機器の本社製造拠点は広島県呉市の工場である。
運送事業では、同社製品の保管・運送を連結子会社の中鋼運輸株式会社が中心となって行う。
ガス・電力の小売り自由化やエネルギー源の多様化により競争激化が進み、国内のLPガス容器需要は減少傾向にある。

競合他社

LPガス容器用バルブで国内首位のバルブメーカー6497ハマイ(2020年12月期売上高8,276百万円)、株式会社関東高圧容器製作所(非上場、2020年12月期連結売上高8,930百万円)、萩尾高圧容器株式会社(非上場、売上高不明)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社2社と非連結子会社4社を持つ。連結子会社には高圧機器事業を担う高圧プラント検査株式会社と、運送事業の9割以上の売上高を創出する中鋼運輸株式会社がある。

強み・弱み

強みとしてLPガス容器における高いシェアが挙げられる。同社の売上高の6割以上を占めるLPガス容器は、1955年から製造をいち早く始めて60年以上の歴史を持つ。農家を筆頭に一般家庭用や工業用に幅広く普及されて国内首位のシェアを誇り、JAグループとも深い関係を築く。現在はより軽量で錆びにくい、プラスチック製の次世代LPガス容器を国内で初めて開発。北極圏から高熱の砂漠地帯でもLPガスの品質を一定に保つことができ、耐圧性に優れている点が特徴であり、コア商品として売上拡大を狙う。
懸念点として、原材料の鋼材価格の価格変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIには事業別売上高など、以下が挙げられる
①事業別売上高(2021年3月期)
②LPガス需要見通し(日本LPガス協会)
③鋼材価格

2019~2023年度石油製品需要見通し(案) 日本LPガス協会

業績

売上高は2017年3月期から2021年3月期までほぼ横ばいで安定的に推移。2018年3月期はLPガス容器の販売量減少やLPガスプラント工事の受注減少が影響し、前期比▲4.6%の減少となったが、2020年3月期にかけて回復。2021年3月期はLPガス容器の更新需要減少が響き、前期比▲0.9%の微減となった。一方で、経常利益は期によって変動が大きい。2017年3月期以降2020年3月期にかけて原料の鋼材価格の値上がりや物流コストの増加を受けて▲72.7%に減少したが、2021年3月期は販管費を抑制して+62.2%に増益となった。フリーCFはプラスを継続。自己資本比率は30%台後半を推移する