4434 サーバーワークスの業績について考察してみた

4434 サーバーワークスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2000年2月、代表取締役社長の大石良がE-Commerce(電子商取引)のASP事業を目的に埼玉県にて有限会社ウェブ専科を設立。ASP(Application Service Provider)とはインターネットを通じてユーザーにソフトウェアを利用させる事業者・サービスである。2002年4月に株式会社サーバーワークスへと社名を変更。翌2003年には携帯向けECサイト作成サービス「ケータイ@」の提供を開始し、事業の中核としてきた。Amazonのグループ会社が提供するクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)を2008年より使用しており、現在「クラウド事業」の主軸であるAWSインテグレーションおよびサービス提供につながっている。2019年3月、東証マザーズへ上場。2021年1月に東証一部へ変更している。

株主構成

2021年2月末日時点の保有比率に大量保有報告書の内容を加味すると、大株主は代表取締役社長の大石良氏で38.7%を保有する。続いて同社と資本・業務提携をしている3915テラスカイが13.3%を保有。以下、同じく資本提携をおこなっている9613NTTデータおよびNTTコミュニケーションズが各々3.4%を保有する他、また国内外の銀行・信託銀行が名を連ねる。なお、外国人保有比率は10%未満である。

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、社外4名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。社内取締役で営業部長の羽柴孝氏は7559ジーエフシーで6年の勤務経験を有し2006年4月より同社へ入社。社内取締役の大塩啓行氏は丸紅株式会社からベンチャー企業を経て、自身で起業。事業をたたんだタイミングで、丸紅時代の後輩であり同社代表取締役の大石氏より声をかけられ、2013年10月同社へ入社している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の大石良氏は1973年7月生まれ。東北大学経済学部を卒業後、1996年4月に丸紅株式会社へ入社。出向先だったインターネット関連ビジネス子会社の清算をきっかけに起業を決意し、2000年12月に同社を設立

報告セグメント

「クラウド事業」の単一セグメント。クラウド環境の構築・導入支援をおこなう「クラウドインテグレーション」、AWSを中心としたクラウドサービスの「リセール」、AWS上のシステム運用を代行する「MSP(Managed Service Provider)」の3つのサービスを展開している。2021年2月期の売上高8,029百万円のうちクラウドインテグレーションが425百万円で5.3%を占め、リセールが6,626百万円で82.5%、MSPが961百万円で12.0%を占める。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

事業モデル

「クラウドインテグレーション」は基幹業務系システムを自社運用する企業に対して、クラウド導入支援、コンサルティングをおこなう。売上高を検収時に計上するフロー型の売上と位置づけられる。主力の「リセール」はAWSに課金代行や運用自動化など付加価値を上乗せして、顧客企業に再販売するサービス。また「MSP」は顧客企業がAWS上に展開したサーバーを24時間365日体制で監視、運用代行するサービスである。「リセール」「MSP」はおもに利用時間・期間に応じてサービス料を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなり、ストック型の売上である。
インターネット経由でソフトウェアやハードウェアを利用するパブリッククラウドサービスの市場規模は2019年度で8,121億円。国内においてはクラウドを利用していない企業がまだ半数以上あると言われている。また官公庁や金融機関のクラウド利用が進むと見られ、市場の拡大余地は大きい。2024年には約2.4兆円規模へ成長すると見込まれている。

2021年2月期 決算説明資料

競合他社

同社は2014年から継続して、AWSパートナーの最上位格付けであるAWSプレミアコンサルティングパートナーに認定されている。2020年6月時点で国内認定企業は同社を含めて10社のみ。うち非上場のベンチャー企業が2社、残りは4307野村総研や9613NTTデータなど大手SIerとなる。大手SIerの場合はAWSと自社インフラとを組み合わせたサービスが多く、同社とはビジネスモデルが異なるため、実質的な競合は見当たらない。

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

AWS業界においての先行優位性が強みといえる。AWSの知名度が向上するにともない、AWSの最上位パートナーである同社の知名度も向上。営業をおこなわずとも顧客より声がかかり、プロジェクトの受注やストックビジネスの伸長につながっている。同社はこういった事例を年間10件以上公開しており、AWSの知名度アップに貢献する好循環を創出している。また好循環を支える人材の面でも、AWS認定資格を保有するエンジニアが多数在籍している点も強みといえよう。一方でIT業界においては技術者の人材不足が深刻化しており、企業規模の拡大をもくろむ同社にとって優秀なエンジニアを安定的に採用しつづけられるかが懸念材料である。

2021年2月期 決算説明資料

KPI

クラウドインテグレーションの案件からその後の運用サービスやリセールなどストックビジネスにつながるため、クラウドインテグレーションのプロジェクト数・取引社数はKPIとなりうる。また売上高の80%以上を占めるリセールにおいて、AWSアカウント数もKPIといえる。以下すべて2021年2月期の数値である。
①クラウドインテグレーションプロジェクト数:457件(前年比+26件)
②クラウドインテグレーション取引社数:265社(前年比+34社)
③リセール事業AWSアカウント数:1,424個 (前年比+24.9%)

2021年2月期 決算説明資料

業績

売上高・経常利益ともに安定的に成長している。2017年2月期から2021年2月期までの5年間で売上高は3.4倍となっている。経常利益は2020年2月期までに8.3倍となり、2021年2月期は前年度比▲2.5%で着地している。また公募増資や収益拡大によって無借金経営へと財務体質が改善。自己資本比率も48.0%から82.6%へと高まった。営業CFは2019年2月期よりプラスで推移している。