8524 北洋銀行の業績について考察してみた

8524 北洋銀行の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1917年8月、北海道無尽株式会社として設立。1918年1月に小樽無尽株式会社、1944年2月に北洋無尽株式会社へ商号変更。1950年4月札証に上場する。1951年相互銀行業免許を取得、株式会社北洋相互銀行に商号変更。1989年11月に東証二部、1991年9月東証一部に上場。1998年11月に北海道拓殖銀行より営業譲渡を受ける。2001年4月札幌銀行と持株会社を共同設立する(後に同行と合併)。2008年10月には札幌銀行と合併した。リーマンショック時に多額の有価証券減損処理を迫られ公的資金注入を受けた。北海道を地盤とする第 二地銀である。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、日本生命保険相互会社と明治安田生命保険相互会社で各々7.94%を保有。次いで9509北海道電力が5.96%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.05%で続き、以降は保有割合5%未満で国内銀行信託口、国内生保、北洋銀行職員持株会が並ぶ。外国人株式保有比率は 20%以上30%未満

取締役会

取締役は11名(社内7名、社外4名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち3名は北海道拓殖銀行出身者である。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。取締役頭取の安田光春氏は1959年10月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1983年4月同行に入行。行内要職を歴任後、2018年4月現職に就任。現在は北海道旅客鉄道株式会社の監査役も務める。
取締役副頭取の竹内巌氏は1958年4月生まれ。立教大学卒業後、1981年4月同行に入行。行内要職を歴任後、2019年6月現職に就任。現在は9509北海道電力の監査役も務める。
同じく取締役副頭取の長野実氏は1957年11月生まれ。早稲田大学卒業後、1982年4月北海道拓殖銀行に入行。営業譲渡に伴い1998年11月同行に入行した後、行内要職を歴任。2019年6月より現職を務める。現在は8594中道リースの監査役も務める。

報告セグメント

「銀行業」および「リース業」の2報告セグメントに大別されるほか、報告セグメントに含まれない信用保証業のその他がある。2021年3月期の連結経常収益135,620百万円の構成は、銀行業75.4%、リース業21.3%、残りがその他および調整額だった。経常利益は約9割を銀行業が占める。

事業モデル

第二地方銀行として、北海道にて銀行業を営む。預金残高、貸出残高の規模はともに全国の地銀、第二地銀102行中5~6番目程度に位置し、第二地銀としては、トップの規模。2021年3月末時点の道内預金シェアは36.5%、貸出金シェアは39.2%に達する。

会社説明会資料(2021年7月6日開催)

同時点の貸出先別残高シェアは、地方公共団体等が32.5%、個人が大勢を占めるその他が25.4%、不動産業、物品賃貸業8.8%、各種サービス業8.2%などとなっている。道内中小企業向けコロナ関連融資の増加に伴い、貸出金の平残は昨年比7.1%増加した。また近隣店舗統合やATM店舗見直しなどにより、経費低減を図っている。コアOHRは80.41%

インフォメーション・ミーティング説明資料(2020年度通期)

銀行業界は預金量の増加が続く中、金融政策による低金利環境が続き貸出利息が減少、収支バランスが悪化している。そうした中、地銀間の経営統合や広域連携など、業界再編の動きがみられている。同行は8331千葉銀行、8334群馬銀行など10行が連携する「TSUBASAアライアンス」に加盟しておりシステムや共通業務共同化、新規ビジネス創出を目指している。またATM手数料の見直し、グループ会社を通じた金融商品の販売など、収益構造に変化が起きている。

競合他社

北海道を地盤とする地方銀行として、8377ほくほくFG傘下の北海道銀行(2021年3月期単体の経常収益71,572百万円)、第二地銀としては同行に次ぐ規模を誇る千葉県地盤の8544京葉銀行(同62,957百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は6社。リース業を行う株式会社札幌北洋リース、クレジットカード業務等を行う札幌北洋カード、証券業務を行う北洋証券株式会社などが存在する。

強み・弱み

同地域第一地銀をも凌ぐ圧倒的なシェアを道内で持つことが強み。また財務の健全性も高く、不良債権比率は地銀貸出金上位10行中最も低い0.75%。自己資本比率は12.07%(単体)で上場地銀平均10%を超える水準を保っている。一方でコロナ禍においてインバウンドが激減、主要産業である観光業が打撃を受けている。道内中小企業向け貸出が伸長する中、今後の道内景気動向によっては与信費用が増大する可能性がある。

KPI

銀行に共通するKPIと考えられる以下5点の他、預り資産残高、預り資産手数料、道内個人・法人貸出シェア、法人役務手数料などを同行ではKPIとして掲げている。
①預金残高(2021年3月期 99,720億円)
②貸出残高(同73,674億円)
③総資金利鞘(同0.09%)
④不良債権比率(同0.75%、2019年度末第二地銀平均1.89%)
⑤単体自己資本比率(同12.07%、2019年度末第二地銀平均9.34%)
※第二地銀平均は一般社団法人第二地方銀行協会統計資料参照

業績

2017年3月期から2021年3月期をみると、連結経常収益は1,479億円から1,356億円へ連続減収。連結経常利益は213億円から157億円へ減益基調での推移となっている。2021年3月期は有価証券利息配当金の減少を主因とする資金運用収益の減少や、コロナ禍での対面取引の制約による役務取引収益の減少から減収、しかしながら費用削減により経常利益は増益となった。但し貸倒引当金は前年比62億円増加の72億円としている。不良債権残高は575億円で2017年3月末の691億円から減少、比率も低下している。連結自己資本比率は12%台で、国内基準行に求められる4%を大きく上回っている。