3457 ハウスドゥ の業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ハウスドゥの事業概要

現在の代表取締役である安藤正弘氏は1991年4月に京都府日向市の三伸住販有限会社を譲受け、不動産仲介事業を開始した。1997年3月には不動産開発事業を目的として有限会社アンドエマを設立、1998年7月にリフォーム事業を目的として株式会社安藤工務店を設立、2003年9月に不動産売買事業を開始、2005年12月に合併によって株式会社ハウスドゥ(旧)が誕生した。2006年2月にフランチャイズ事業を開始し、2009年1月には株式会社ハウスドゥ (旧)のフランチャイズ事業部を株式会社ハウスドゥ ・フランチャイズ・システムズとして設立、2011年6月に株式会社ハウスドゥ(現:同社)に商号を変更した。同社は2011年10月に東京都千代田区にて東京本部を開設、2013年10月にハウス・リースバック事業を開始した。2015年3月に東証マザーズに株式を上場、2016年12月に東証一部への市場変更を果たしている。
同社の大株主は有限会社AMC(35.6%)、安藤氏(10.7%)、日本トラスティ信託口(6.1%)である。有限会社AMCは安藤氏と近親者の出資により設立された会社であり、実質46.3%の持分を保有する安藤氏の影響力が強いことが読み取れる。
同社の役員は12名(うち、監査等委員3名)で構成されており、監査等委員以外の取締役9名のうち、金融業界出身者が3名、不動産業界出身者が3名、弁護士が2名、通信業界出身者が1名である。
同社の報告セグメントはフランチャイズ事業(9%)、ハウス・リースバック事業(46%)、金融事業(3%)、不動産売買事業(22%)、不動産流通事業(6%)、リフォーム事業(8%)、小山建設グループ事業(6%)の7セグメントで構成されている。
同社はハウスドゥ住宅販売、フィナンシャルドゥ、ピーエムドゥ、京葉ビルド、小山建設、小山不動産及び草加松原住建の8社を連結子会社としているほか、3社を関連会社としてグループを形成している。
同社の時価総額は200億円前後(2020年12月現在)で推移しており、東洋経済業種別時価総額ランキング25位(不動産・住宅業界95社中)である。同業界の時価総額首位はオープンハウス(3288)であり、時価総額は4,700億円前後(2020年12月現在)で推移している。
同社の主力事業であるハウス・リースバック事業を営む競合としては、セゾンファンデックス(非上場、セゾングループ傘下)、一建設(非上場、飯田グループホールディングス傘下)、SBIスマイル/ずっと住まいる(非上場、SBIグループ傘下)、ミライエ(非上場)、インテリックス(8940)、センチュリー21/「売っても住めるんだワン!!」(8898)等が挙げられる。

ハウス・リースバック事業

同事業は顧客が所有している物件を同社が買い取り、定期建物賃借契約(毎月家賃が発生)を締結することで、当該物件に継続して住むことができるシステムであり、個人住宅のセールアンドリースバック商品である。資産整理、資金調達のために「不動産を売却する」という選択肢しかなかった従来の買取システムだけではなく、「不動産を活かす」という発想のもとにサービスを提供しており、賃料収入のインカムゲインに加え、売却によるキャピタルゲインも期待できる安定かつ高収益モデルの事業である。
同事業では、テレビ・ラジオCMをはじめとした積極的なプロモーションにより2013年10月の事業開始以降、問い合わせ件数が順調に拡大している。一方で、新型コロナの影響で営業活動が制限されたことにより、2020年6月期の新規案件獲得数は634件、再売買・処分・ファンドや不動産買取会社への売却件数は729件に留まった。同期末の累計保有不動産は217件であり、賃貸等不動産として運用している。

(同社決算説明資料より抜粋)

同事業の最大の課題として、採用と営業活動が挙げられる。同事業を取り巻く外部環境として、中古戸建住宅新規登録平均価格が新型コロナ感染拡大後も大きく変動していないこと、高齢者マーケットが拡大していること、空家数・空家率が増加傾向であること、高齢者の60%以上の貯蓄が2,000万円未満であること等が挙げられ、年間16,000件を超える問い合わせを受けている。ハウス・リースバックの活用理由として、「子供が実家の心配をすることなく安心して結婚できるようにしたい。」、「買った家は手放したくないが資金が必要になった。」、「子供が進学することになり、急に金が必要となったので住まいを替えたい。」等の声があり、多様なニーズがあることが挙げられる。そのため、反響対応やコンサルティングセールスの人員増強が急務であるといえるだろう。

不動産売買事業

同事業は中古住宅買取再生販売、新築戸建住宅販売、住宅用地の開発、一棟収益不動産の再生販売等、自ら不動産を取得し、付加価値を付けて一般顧客・投資家に販売するビジネスモデルである。不動産の販売価格から仕入やその他の原価を差し引いた残りが儲けとなる。同社の不動産に関する情報はグループ直営店及びフランチャイズ加盟店、他の不動産業者との「買取パートナー制度」を軸に入手している。同グループは不動産仲介業と不動産販売業が一体であることから、売却希望の顧客と購入希望の顧客の双方のニーズを把握しており、全国に窓口がある同社ならではの地域性、需要を見極めた仕入れや販売をできる点に強みがある。
同事業の最大のリスクの1つとして、マクロ経済環境の悪化による住宅購入意欲の減退が挙げられる。具体的には、景気動向、金利動向、地価動向、住宅税制の影響を大きく受けるビジネスであり、事業投資の時期と金額に関する適切な相場観が要求されるといえるだろう。
消費税増税後の消費マインドの冷え込みに加え、新型コロナ感染拡大の影響による住宅設備や建築資材の納期遅延及び引き渡しの遅延等が発生し、2020年6月期の同事業の取引件数は334件(前期比▲16.7%)、セグメント利益は336百万円(前期比▲56.8%)となっている。

ハウスドゥの財務状況と経営指標

同社のキャッシュ・フロー(以下、CFと表記)について、2020年6月期の営業CFは5,021百万円、投資CFは▲11,434百万円、財務CFは12,745百万円である。直近5年間のフリー・キャッシュ・フロー(営業CF+投資CF)合計は▲15,792百万円、財務CF合計は33,559百万円であり、本業による儲けに加えて資金調達をして積極的に投資を行っていることが読み取れる。2020年6月期の投資CFのうち最も大きい項目は「有形固定資産の取得による支出」の▲9,722百万円である。また、「連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」も▲1,757百万円と、非常に大きい金額になっている。同項目は2018年6月期も▲906百万円を計上しており、これらは京葉ビルドの子会社化やタイ王国の合弁会社H-DO(THAILAND)Limitedへの投資等が含まれるため、同社が組織再編行為を積極的に行う姿勢を持っていることが読み取れる。
同社の売上高は直近5年間で17,275百万円(2016年6月期)から32,878百万円(2020年6月期)に増加、親会社株主に帰属する当期純利益は741百万円(2016年6月期)から1,031百万円に増加しており、新型コロナの影響を大きく受けた2020年6月期を除いては増加傾向である。営業利益率については2016年6月期から2019年6月期にかけて7.4%から10.0%に上昇している。当該業績拡大の最大の理由として考えられるのは、2013年に開始したハウス・リースバック事業である。2020年6月期の同事業セグメント利益率(セグメント利益/セグメント売上高)は12.9%であり、同売上高が同社全体の46%を占めるまでに成長していることが、好業績に寄与していると考えられる。ハウス・リースバック事業を手がける競合のセンチュリー21・ジャパンの営業利益率は29.08%、インテリックスは4.52%であり、同社の収益性は業界トップ水準ではないものの、一定の収益性があるといえるだろう。ハウス・リースバックの認知度は向上の余地があり、広告宣伝や人材投資等の販管費が抑えられるようになれば、同社の収益性が高まる可能性がある。
同社の流動資産は2020年6月末から2020年9月末にかけて41,505百万円から38,847百万円に減少した。これは、現金及び預金が2,133百万円減少したことが最大の要因である。新型コロナの影響により売上高伸長の勢いは緩まったものの、依然としてハウス・リースバック事業の広告宣伝投資や人材投資を積極的に行っており、販管費が増加して資金が流出していると考えられる。同社の流動比率(流動資産/流動負債×100)は193.66%であり、望ましいとされる200%を下回っているが、同社の当座比率(当座資産/流動負債×100)は143.80%であり、望ましいとされる100%を超えている。自己資本比率は21.28%であり、現時点での同社の財務安全性は高く、直ぐに資金繰りに困窮するような状況に陥る可能性は低いと考えられる。しかし、同業界は多額の借入をして不動産を購入する特徴があり、リーマンショック前後には倒産する会社も数多く見受けられた。過度のレバレッジと経済環境の変化により、資金繰りを圧迫する場合が想定できるため、資金調達と投資が適切な水準であるかどうかを各決算で確認する必要があるといえるだろう。

ハウスドゥのカタリスト

新型コロナ感染の収束が同社のカタリストになるといえる。「コロナが落ち着いてから行動するため、今は様子を見よう。」という意向の消費者が増加すれば、同社の売上高の上昇は難しい。新型コロナが収束し、消費者心理が改善されれば、2020年6月期第3四半期までのモメンタムが復活する可能性があるといえるだろう。
また、人材戦略の動向もカタリストになりうるといえる。同社の従業員数は2020年6月末時点で783人(うち、臨時雇用者数206人)であり、5年間で1.85倍に増加している。一方でハウス・リースバック事業では元プロ野球選手の古田敦也氏を採用したテレビCMを筆頭とする広告に力を入れており、問い合わせが増えている。長年住んだ家を売却することには不安が伴うことが予想でき、問い合わせの対応は担当者をつけて行っているため、当該人材の採用と育成が重要である。セールス一人当たりの成約件数や、離職率等の数値は、同社の業績を予測する上で有益であるといえる。