6470 大豊工業の業績について考察してみた

6470 大豊工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 29,126 1,094 3.76%
FY2024.Q4 2024.03 27,360 516 1.89%
FY2025.Q1 2024.06 26,762 -84 -0.31%
FY2025.Q2 2024.09 27,925 -285 -1.02%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 27,794 1,429 5.14%
FY2018.Q1 2017.06 28,526 1,740 6.1%
FY2018.Q2 2017.09 28,632 1,779 6.21%
FY2018.Q3 2017.12 28,368 1,572 5.54%
FY2018.Q4 2018.03 29,139 1,423 4.88%
FY2019.Q1 2018.06 28,133 1,082 3.85%
FY2019.Q2 2018.09 28,303 1,132 4%
FY2019.Q3 2018.12 29,120 1,683 5.78%
FY2019.Q4 2019.03 27,863 940 3.37%
FY2020.Q1 2019.06 26,583 754 2.84%
FY2020.Q2 2019.09 25,812 849 3.29%
FY2020.Q3 2019.12 25,502 634 2.49%
FY2020.Q4 2020.03 26,252 176 0.67%
FY2021.Q1 2020.06 19,538 -1,724 -8.82%
FY2021.Q2 2020.09 20,942 -567 -2.71%
FY2021.Q3 2020.12 25,804 1,326 5.14%
FY2021.Q4 2021.03 26,661 1,675 6.28%
FY2022.Q1 2021.06 25,514 1,070 4.19%
FY2022.Q2 2021.09 24,656 230 0.93%
FY2022.Q3 2021.12 23,294 29 0.12%
FY2022.Q4 2022.03 25,356 -221 -0.87%
FY2023.Q1 2022.06 24,700 52 0.21%
FY2023.Q2 2022.09 26,479 53 0.2%
FY2023.Q3 2022.12 26,343 181 0.69%
FY2023.Q4 2023.03 27,639 408 1.48%
FY2024.Q1 2023.06 26,867 22 0.08%
FY2024.Q2 2023.09 28,691 857 2.99%
FY2024.Q3 2023.12 29,126 1,094 3.76%
FY2024.Q4 2024.03 27,360 516 1.89%
FY2025.Q1 2024.06 26,762 -84 -0.31%
FY2025.Q2 2024.09 27,925 -285 -1.02%

沿革

1939年12月に西尾精機株式会社を設立し、精密機械と精密機械器具の製造・販売を開始。1944年1月に大豊工業株式会社に商号変更。1945年11月に自動車、自転車や紡績機部品の製造・販売を開始。1946年10月7203トヨタ自動車からの依頼を受け、青銅鋳物ブシュの機械加工開始。1999年3月名証二部、2000年3月に東証二部に上場。2001年3月に東証一部および名証一部に変更。本社は愛知県豊田市。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。トヨタグループ向けを中心に自動車部品用金型や鋳造品の製造販売を行う

株主構成

有価証券報告書よると2022年9月末時点の筆頭株主は主要取引先の7203トヨタ自動車で33.60%。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が8.14%で続き、以降は保有割合5%未満で取引先の6201豊田自動織機、同社が株式交換により完全子会社化した日本ガスケット株式会社の株主だった5991日本発条株式会社、仕入先の8015豊田通商、大豊工業従業員持株会、国内信託銀行信託口、大豊工業取引先持株会、7259アイシン、地元信金が並び、トヨタ系の企業が多い外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。取締役の河合信夫氏はプロパーであり、経営企画部門に長年に渡り従事。2009年6月に取締役、2018年6月に専務取締役を経て、2021年6月に現職に就任した。その他2名の社外取締役はSMBC日興証券株式会社等を経て金融業界に携わる佐藤邦夫氏と、福井大学工学部の名誉教授を務める岩井善郎氏が在籍する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の杉原功一氏は1956年5月生まれ。東京大学工学部を卒業後、1980年4月に7203トヨタ自動車に入社し、2009年6月に常務役員に就任。2013年6月に同社監査役、2014年6月に代表取締役副社長への就任を経て、2015年6月より現職を務める
代表取締役副社長の鈴木徹志氏は1959年2月生まれ。1981年4月に7203トヨタ自動車に入社。2015年1月に同社の連結子会社である日本ガスケット株式会社の理事、2015年6月に代表取締役副社長に就任。2018年6月に同社専務取締役への就任を経て、2019年6月より現職を務める

報告セグメント

「自動車部品関連事業」と「自動車製造用設備関連事業」の2報告セグメントと、報告セグメントに含まれない事業として、物品の小売等を行う「その他」がある。2023年3月期第2四半期の売上高51,179百万円の構成は、自動車部品関連事業が44,324百万円で85.9%、自動車製造用設備関連事業が6,957百万円で13.5%、その他が338百万円で0.6%。全社費用控除前の営業利益の構成は、自動車部品関連事業が8割強、自動車製造用設備関連事業が2割弱。

事業モデル

設立当初より培った摩擦工学を基に、自動車部品や自動車製造設備機器・部品を製造・販売する。主力の自動車部品関連事業では、エンジン動力を伝達する際に摩擦を低減するエンジンベアリングや回転軸を支えるブシュ等の滑り軸受製品(全体売上の4割強)を中心に、バキュームポンプ等のシステム製品やダイカスト製品、ガスケット製品を製造・販売する。製品別の売上構成は下図の通り。

第116回定時株主総会招集ご通知

同社の培った技術を応用し開発、生産するエンジンベアリングは世界でトップクラスのシェアを誇る。自動車製造用設備関連事業では精密金型を始め、搬送装置や溶接機等の各種自動車製造用設備を取り扱う。主要取引先はトヨタ自動車株式会社で、2022年3月期では同社向け売上高が連結売上高の33.6%を占めるなど、トヨタのグループ企業への販売比率は7割を超えるとみられる。
2022年3月期の海外売上高比率は36.1%で、内訳は、北米が7.4%、中国が10.7%、アジアその他が9.1%、その他が8.9%である。生産拠点を海外に7拠点(米国、インドネシア、ハンガリー、韓国、中国2拠点、タイ)有し、国内のみならず海外主要自動車メーカーへも製品を供給する。同社では中国を成長市場と定め、中国国内におけるエンジン用軸受製品シェアを2019年度の21%から2025年度には25%まで拡大を目指す

2021年3月期株主懇談会

CASE、カーボンニュートラル、DX、SDGsなど自動車産業を取り巻く状況は大きな変化が起きている。

競合他社

国内最大手の軸受製品専業メーカーである7245大同メタル工業(2022年3月期売上高104,024百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社を14社と持分適用関連会社1社、非連結子会社2社を持つ。ガスケット製品の製造・販売を行う日本ガスケット株式会社と、搬送装置、溶接機、金型、設備部品等の自動車製造用設備の製造・販売を行う大豊精機株式会社は、それぞれ売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして国内事業における安定性と高い技術力が挙げられる。トヨタグループ向けの売上高が約7割を占めており、滑り軸受製品では国内で7245大同メタル工業に次ぐシェアを持つ。高度な摩擦工学技術を持つ企業は世界でも数社しかなく、参入障壁の高い分野であるため競合他社が限られる点が特徴。摩擦工学技術はあらゆる機械の回転運動に応用ができ、自動車のエンジンがモーターに変わっても求められる技術である。同社がこの技術を元に開発した樹脂コーティングエンジンベアリングが、ハイブリッド車等の環境性能自動車向けに世界初の量産採用がされる等、新技術の開発にも注力する。懸念点としては、世界の自動車販売台数の変動、トヨタグループへの高い売上依存度、為替変動リスクが挙げられる。

KPI

①地域別売上高推移(下図)
②研究開発費(2022年3月期:34億円)
③中国国内エンジン用軸受製品シェア(2025年度25%目標)
④為替変動(同社は米ドル1円の変動で経常利益が年間約30百万円影響と試算している)

第116回定時株主総会招集ご通知

業績

減税政策等による中国国内の自動車販売台数増加の影響を受けて、2018年3月期までは増収も、以降2021年3月期にかけて米中貿易摩擦の悪化や新型コロナ流行による自動車販売台数の世界的な落ち込みが影響し減収となった。2022年3月期は自動車生産に回復が見られ前期比+6.3%の増収、2023年3月期も増収を見込んでいる営業利益率は減収に合わせ5%台から0.7%まで落ち込んだが、2022年3月期は1.1%とやや回復した。フリーCFは、生産能力増強のため設備投資額が増加した2018年3月期を除きプラス。自己資本比率は50%台で推移

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