6462 リケンの業績について考察してみた

6462 リケンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1927年11月に理化学興業株式会社を設立し、日本初の実用ピストンリングの製造を開始。1938年10月に理研重工業株式会社、1941年8月に理研工業株式会社に商号変更。1949年12月に企業再建整備法 に基づき11社に解体、うち柏崎工場が理研柏崎ピストンリング工業株式会社として新設立。1950年8月に理研ピストンリング工業株式会社に商号変更。1961年9月に東証一部に上場。1979年10月に株式会社リケンに商号変更。本社は東京都千代田区。ピストンリングの製造・販売で国内首位

株主構成

2021年3月期第2四半期告書によると2020年9月末時点の大株主は、筆頭株主が日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で6.1%、次いで株式会社みずほ銀行が4.8%、日本生命保険相互会社が4.3%、日立金属商事株式会社が3.5%、ステートストリートロンドン・SS BTCボストンUKが3.4%、株式会社日本カストディ銀行が信託口で3.2%等、銀行や保険会社等の金融機関等が並ぶ。尚、変更報告書によると三井住友信託銀行と共同保有者の保有割合が7.13%であることが報告されている。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、うち監査等委員3名 (社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。取締役のドナルドE.マクナルティ氏は、リケンメタルプロダクツ社や連結子会社のリケンオブアメリカ社を経て、2011年6月に現職に就任。リケンオブアメリカ社の取締役会長を兼任する。他の代表取締役を除く取締役は全員プロパー社員とみられ、営業部や技術開発部等を歴任

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼CEOの伊藤薫氏は1953年4月生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、1976年4月に株式会社日本興業銀行に入行。株式会社みずほ銀行の常務執行役員みずほ総合研究所株式会社の代表取締役社長を経て、2012年5月に同社顧問に就任。2012年6月に常務取締役、2013年6月に専務取締役、2015年6月に代表取締役社長兼COO、2018年4月に代表取締役社長兼CEO兼COOを経て、2020年4月に現職に就任した。
代表取締役社長兼COOの前川泰則氏は1958年2月生まれ。早稲田大学理工学部を卒業後、伊藤忠プランテック株式会社に入社。1986年3月に同社に入社後、2013年5月に取締役、2015年6月に常務取締役、2019年6月に代表取締役を経て、2020年4月に現職に就任した。

報告セグメント

「自動車・産業機械部品事業」の単一セグメントである。報告セグメントに含まれない事業として、配管機器事業やEMC事業、熱エンジニアリング事業等を行う「その他」がある。2021年3月期は売上高69,720百万円の内、自動車・産業機械部品事業が57,597百万円で82.6%、その他が12,123百万円で17.4%を占める。
同期の利益構成は自動車・産業機械部品が6割強。自動車向け販売が低迷したことなどから前期の7割強から低下。利益率は自動車・産業機械部品事業が1桁前半から中盤、その他が1桁台後半から10%台前半を推移する。

事業モデル

同社はエンジン部分の基幹部品であるピストンリングの製造・販売が主力であるピストンリングの国内シェアは50%以上>を誇り、国内トップ企業である。世界シェアは3位であり、欧米から中国、東南アジア等に連結子会社10社を展開。また国内全ての自動車メーカーと取引があるほか、船舶や産業機器向けにも顧客を持つ。ピストンリング以外では各種エンジン部品や、駆動関連部品、シールリング等、幅広く商品を展開する。
その他事業では配管機器やEMC製品、熱エンジニアリング製品の製造・販売を行う。配管機器ではプラントや工業向けに継手を中心とした配管機材を取り扱う。EMC製品では電子機器のトラブルを防ぐための設備空間である、電波暗室や電磁波シールドルームを展開。熱エンジニアリング製品では発熱体を用いて、家庭用電熱器具から工業炉まで幅広い電熱材を製造・販売する。
主要取引先は本田技研工業株式会社であり、2020年3月期の総売上高に占める売上高は12.4%である。
地域別売上高は国内が56.4%、アジアが21.4%、アメリカが10.6%、その他地域が11.6%である(2020年3月期)
同社事業と関連の深い自動車産業の通期、世界合計の生産台数は同社資料によると前年同期比で約15%減少、日本も約16%減少。コロナ前の環境に戻るのは2023年以降と予想し、M&Aなどによる売上成長を目指す。
ピストリングやシールリングの製造で培った同社のコア技術は高性能表面処理や高強度材料の適用などの耐久性や高性能化。同社製品が組み込まれるエンジンやトランスミッションは、自動車のEV化でなくなる部品の代表格だが、これらのコア技術を社内外で活用し、次世代自動車用途・産業用機器用途・モバイル機器用途の次世代コア製品の開発に取り組む

2020年度第2四半期決算概要と2020年度決算の見通し(経営戦略)

競合他社

バルブシートに強く、国内大手ピストンリングメーカーの6461日本ピストンリング株式会社(2021年3月期売上高45,276百万円)、シリンダダイナ世界首位で国内大手ピストンリングメーカーの6463TPR株式会社(同152,002百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社20社、非連結子会社1社、持分適用関連会社3社、持分法を適用しない関連会社1社を持つ 。主要な連結子会社は自動車・産業機械部品の製造を行う株式会社リケンキャステックと、米国の販売拠点であるリケンオブアメリカ社、欧州の販売拠点であるユーロリケン社等が挙げられる。

強み・弱み

強みとしてピストンリングの製品展開が挙げられる。同社は日本で初めてピストンリングを製造・販売した企業であり、ピストンリング製造において90年以上の歴史を持つ。顧客数は国内外で約300社に上る。国内全ての自動車メーカーをはじめとして、造船、産業機器メーカーまで幅広い顧客網を有する。取扱製品数はピストンリングから配管機器等まで含めて、9000種類以上に及び、多種多様な製品を展開する。
懸念点としては、同社では自動車向けの売上高が総売上高の8割を占めており、市場の自動車総生産台数の変化による売上高へ影響や2020年度上半期において46%にのぼる海外売上高にかかる為替リスクが挙げられる。

KPI

KPIには地域別売上高ほか、下記が挙げられる
地域別売上高(2021年3月期第2四半期)
為替動向(中国元、米ドル、ユーロ等)
社員数(中期経営計画に固定費削減とともに要員配置の適正化を掲げている)
非内燃機関向け売上(こちらも中期経営計画で次世代新事業の拡大として掲げる)

2020年12月18日開催 会社説明会資料

業績

売上高は2017年3月期から2019年3月期までの3期で約1.2倍に増加したが、2020年3月期には米中貿易摩擦による自動車販売の減退やインド市場の成長鈍化の影響を受け、前期比▲6.5%に減収。2021年3月期は新型コロナ流行による自動車販売台数の減少が影響し、さらに前期比▲17.5%の減収となった。経常利益は中国やインドでの自動車販売台数が伸びた2018年3月期をピークに、2021年3月期にかけて▲48.4%の減益。フリーCFは設備投資費用がかさんだ2020年3月期以外はプラス。財務CFは2018年3月期以降マイナスを推移する。自己資本比率は2021年3月期で67.7%。前期の64.9%から改善した