6222 島精機製作所の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1961年7月和歌山県にて三伸精機株式会社を設立、手袋編機用半自動装置の製造販売を開始。1962年2月島精機株式会社へ商号変更、同年3月に株式会社島精機製作所に再変更。1985年8月イギリスの現地法人買収後は、積極的に海外展開。現在は、横編機の製造販売を主力事業とする。 1990年12月大証二部へ上場、1992年9月大証一部へ変更、1996年1月より東証一部に上場

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長と社長で100%議決権を保有する和島興産株式会社で8.70%、次いで国内信託銀行2行の信託口が5.06%、4.12%と続く。以下、銀行や同社創業家の個人名などが並ぶ。また、2020年6月30日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員がプロパーで、うち3名は創業者およびその親族である

代表取締役の経歴

代表取締役会長の島正博氏は1937年3月生まれ。和歌山工業高校定時制を卒業後、ゴム入り安全手袋編機を発明し特許を取得するなどした後、同社を創業。2017年6月に代表取締役社長を退任し、代表取締役会長に就任した。
代表取締役社長の島三博氏は正博氏の子息で1961年6月生まれ。日本大学理工学部卒業後、1987年に同社入社。システム開発部長や取締役副社長等を歴任後、2017年6月より代表取締役社長に就任した。

報告セグメント

「横編機事業」、「デザインシステム関連事業」、「手袋靴下編機事業」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期の売上高15,914百万円のうち、横編機事業が約6割、報告セグメントに含まれない編機・デザインシステム用部品事業、修理補修事業が約2割、デザインシステム関連事業と手袋靴下編機事業が各1割程度という構成だった。利益は報告セグメントに含まれない事業以外は赤字だった。

事業モデル

横編機、デザインシステム(ソフト・ハードウェア一体型やソフトのサブスクリプションサービス)、手袋靴下編機を国内工場にて製造、および販売を行う。無縫製ニットを編成するホールガーメント横編機は、同社が独自開発した世界初の横編機で、リードタイムやカットロスの削減も図れる。近年注目されるSDGsの観点から社会貢献度も高い。一部製品は連結子会社に製造委託し、同社が購入、組立後に販売している。主要販売先は国内外アパレルやニット製品を製造するメーカーで、ルイ・ヴィトン、グッチ、ユニクロ、ZOZOTOWNのスタートゥデイなどが挙げられる。国内・海外販売とも、同社からの直接販売の他に、商社代理店経由での販売を行っているが、海外販売の一部については連結子会社が担当してい る。アパレル業界は、コロナ禍の影響から一部で実店舗削減等の動きが出ている他、サプライチェーンの分断が起こるなど苦境に立たされている。また、サスティナビリティが意識され、大量生産・大量消費のビジネスモデルから廃棄ロスやリードタイム削減を意識したビジネスモデルへの変化がみられ始めている

競合他社

繊維機械総合首位の6217津田駒工業(2020年11月期売上高208億円)、アパレル向け工業用ミシン世界1位の6440JUKI(2020年12月期売上高704億円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は12社と多く、同社製品の部品の製造を行う株式会社シマファインプレスや株式会社海南精密の他、同社製品の販売を行う海外現地法人9社などで構成される。

強み・弱み

業界のリーディングカンパニーとして横編機について世界で高シェアを維持していること、1,000件を超える特許を有し、また多品種少量製品を一気通貫で生産できる技術や、約80ヵ国で販売を行い、海外売上比率約80%という販売力を持つことなどが強み。一方で海外売上比率の高さ故の為替変動、販売先はアパレル業界に大きく依存しており、同業界の設備投資意欲減退により2020年3月期に続き2021年3月期も赤字が見込まれている点は課題

2020年3月期 アニュアルレポート2020

KPI

①受注高、受注残高(2020年度末各7,447百万円、3,211百万円)
②設備投資額、研究開発費(2021年3月期計画各21億円、34億円)
③同社保有特許件数(2019年末に世界で1,308件)
④為替(中国元、ユーロ、ポンド、米ドル他)

業績

2016年3月期から2020年3月期の業績をみると、売上高、経常利益ともに2018年3月期をピークに販売先国の為替、政情不安、コロナ禍の影響などで2期連続減収減益、2020年3月期についてはホールガーメント横編機の販売増加に合わせ拡大していた設備投資が重荷となったこともあり、経常損失となっている。フリーCFは2017年3月期以降プラスを維持しているが、当期純損失を主因にプラス幅が減った。自己資本比率は80%前後にて推移している。