6498 キッツの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1951年1月各種バルブの製造および販売を目的とし、東京都北区に株式会社北澤製作所として設立。1962年9月商号を株式会社北澤バルブに変更。1977年3月東証二部上場の不二家電機株式会社と合併し、同時に東証二部へ上場。1984年9月東証一部へ変更。1984年12月に米国へ販売子会社を設立したのを皮切りに、台湾やタイ、中国へ生産子会社などを設立し、その後はスペイン、ドイツ、ブラジル、韓国などへも精力的に海外展開を図ってきた。1992年10月株式会社キッツに商号変更。青銅バルブ、鉄鋼バルブ、その他関連製品や濾過関連装置等の製造販売や、伸銅品やその加工品を製造販売する

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の大株主は、株式会社日本カストディ銀行9.11%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社5.99%、北沢会持株会5.28%、以下は5%未満の保有で保険会社や、キッツ取引先持株会やキッツ従業員持ち株会、公益財団法人北澤育英会などが続く。同社ホームページによると外国法人および外国人株式保有比率は18.0%。

取締役会

取締役は8名(社内4名、社外4名)、監査役は5名(内3名は社外、2名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー出身者で、副社長執行役員経営企画本部長の名取敏照氏は生産本部長などを歴任。常務執行役員管理本部長の村澤俊之氏は経営企画部長や経営企画本部長などを歴任。

代表取締役の経歴

代表取締役社長 社長執行役員の河野誠氏は1966年3月生まれ。1988年4月同社入社。プロジェクト統括部長やバルブ事業統括本部長などを経て2021年3月に代表取締役社長に就任。
尚、代表取締役会長の堀田康之氏は1955年6月生まれ。1978年同社入社。営業本部中部支社長などを経て2004年6月に代表取締役社長に就任。2021年3月に代表取締役会長に就任した。2020年6月より一般社団法人日本バルブ工業会会 長でもある。

報告セグメント

「バルブ事業」、「伸銅品事業」の2報告セグメントに大別され、2020年12月期(同社は2020年6月29日開催の定時株主総会で決算期を3月31日から12月31に変更したため、2020年度のみ変則決算となっている)の売上高84,245百万円の構成比はバルブ事業83.2%、伸銅品事業15.4%、残りはその他のホテルおよびレストラン事業等である。利益ベースではバルブ事業のみ黒字であり、残りは赤字となっている。

同社HP ホーム>会社情報>事業紹介

事業モデル

バルブ事業は青銅バルブ、鉄鋼バルブ、その他バルブ関連製品、濾過関連製品およびその付属品の製造販売を行う。建築設備向けの汎用バルブや、製造業全般で用いられる工業用バルブ、半導体向け、プラント向け工業弁など、幅広い産業へ販売しており、「建設設備」「石油化学・一般科学」「クリーンエネルギー」を重点市場として同社は掲げている。2020年12月期では、バルブ事業売上高701億円のうち、国内売上高は65.2%の457億円、海外売上高は34.8%の244億円となって いる。国内では、長野県伊那、長野県茅野、山梨県長坂に工場を持つ他、子会社ではで群馬県新田、滋賀県彦根などにも生産設備を有す。海外では、米国に倉庫、台湾、タイ、韓国、中国、スペイン、ドイツ、ブラジルに生産設備を有す。更新投資も含め、設備投資は恒常的に実施しているが、特に2019年度から3か年の中期経営企画では半導体製造装置メーカーの需要増への対応として能力増強や、2018年4月のバタフライバルブの韓国企業買収を受けたバタフライバルブの生産能力増強、塗装ロボットなどIoTの活用によるコストダウン投資、2015年から開発していたグローバル基幹システムの稼働開始など、設備投資関連の施策が目白押しである。
伸銅品事業は黄銅棒及び黄銅加工品(切削品及び鍛造品)を製造・販売する。黄銅棒は、各種機械、建築資材などに幅広く使用される。子会社のキッツメタルワークスでは、黄銅製バルブの素材を開発・供給するとともに、水栓金具、ガス機器、家電製品及び自動車部品等の素材として幅広く使用される高品質な黄銅棒とその加工品(切削品、鍛造品)の製造・販売を行う。銅相場の変動の影響を受けやすいが、2019年度下期より稼働の新工場建屋・鋳造設備の稼働による量産で、生産性向上を図っている。世界的な環境負荷物質への規制強化の中で、鉛レスの黄銅棒のライセンス契約を三菱マテルアル株式会社と締結するなど、特色ある材料開発によるマージン拡大に注力している。

競合他社

特殊バルブの大手である6486イーグル工業(売上高1,421億円で時価総額605億円)や6466TVE(売上高88億円で時価総額54億円)があげられる。

連結の範囲

子会社36社のすべてを連結子会社としている。報告セグメント別にみると、バルブ事業に関連する子会社が33社、伸銅品事業が2社、その他が3社となっている。

強み・弱み

原材料を調達後、鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷に至る全ての工程を社内で行う一貫生産体制を基本にモノづくりを行っていることが強み。また、品質マネジメントシステムの重要性にいち早く注目、日本企業で最初にISO9001の認証を取得するなど。「KITZ」ブランドは、これらの品質体制に裏付けされた信頼のブランドとしての地位を確立している。また、国内外で幅広く様々な種類を提供し9万点以上の製品を有すラインナップの広さもあげられる。さらには、国内工場をマザー工場とし、世界各国の現地のマーケットニーズに的確かつ迅速に対応するためのグローバルな生産体制を構築していることがあげられる。
一方で、ボリュームゾーンであるミドル市場への参入が不十分であることや、コア事業であるバルブ事業への依存度が高いことは弱みとして挙げられる。

KPI

原材料価格の変動を反映した適切な販売価格の調整で利益を確保していくことが欠かせないが、競争も激しく容易ではない。2020年12月期のKPIとして下記のような項目が挙げられる。
バルブ事業営業利益率 8.2% (前年同期比▲3.9%)
国内販売価格 改定を実施 (2021年4月より+5~20%)
電気銅建値推移 上昇傾向

業績

2017年3月期から2020年3月期までの4期間の経営状況を見ると、売上高は2019年3月期までは増加傾向であったが、2020年3月期は減収となった。直近2020年12月期は9ヶ月決算の変則決算であるが、売上高に回復トレンドは見受けられない。また経常利益も2017年3月期の8,799百万円から2019年3月期の11,883百万円まで増収に伴い増加していたが、2020年3月期は7,241百万円と減益。データセンター向けや半導体装置向け、メンテナンス需要は底堅く堅調だが、コロナ禍による世界的な設備投資の低迷による需要減少を受けている。自己資本比率は52~61%程度の水準を維持しており、財務体力の懸念は低いと考えられる。営業CFも直近期を含む過去5年においては恒常的にプラスの水準を維持している。投資CFは過去5年において恒常的にマイナスとなっている。