6999 KOAの業績について考察してみた

6999 KOAの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 15,691 1,617 10.31%
FY2024.Q4 2024.03 15,618 245 1.57%
FY2025.Q1 2024.06 16,211 230 1.42%
FY2025.Q2 2024.09 15,683 244 1.56%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 12,299 1,174 9.55%
FY2018.Q1 2017.06 12,825 1,221 9.52%
FY2018.Q2 2017.09 12,923 1,420 10.99%
FY2018.Q3 2017.12 13,340 1,666 12.49%
FY2018.Q4 2018.03 13,427 1,443 10.75%
FY2019.Q1 2018.06 14,046 1,180 8.4%
FY2019.Q2 2018.09 14,035 1,429 10.18%
FY2019.Q3 2018.12 14,294 1,784 12.48%
FY2019.Q4 2019.03 13,520 1,277 9.45%
FY2020.Q1 2019.06 12,812 822 6.42%
FY2020.Q2 2019.09 12,364 184 1.49%
FY2020.Q3 2019.12 12,179 14 0.11%
FY2020.Q4 2020.03 12,665 445 3.51%
FY2021.Q1 2020.06 10,950 382 3.49%
FY2021.Q2 2020.09 11,193 113 1.01%
FY2021.Q3 2020.12 13,556 736 5.43%
FY2021.Q4 2021.03 14,679 1,086 7.4%
FY2022.Q1 2021.06 15,964 1,924 12.05%
FY2022.Q2 2021.09 15,693 1,543 9.83%
FY2022.Q3 2021.12 16,069 1,130 7.03%
FY2022.Q4 2022.03 17,229 1,124 6.52%
FY2023.Q1 2022.06 18,649 2,675 14.34%
FY2023.Q2 2022.09 19,315 2,934 15.19%
FY2023.Q3 2022.12 19,346 3,070 15.87%
FY2023.Q4 2023.03 17,762 1,543 8.69%
FY2024.Q1 2023.06 16,972 865 5.1%
FY2024.Q2 2023.09 16,554 586 3.54%
FY2024.Q3 2023.12 15,691 1,617 10.31%
FY2024.Q4 2024.03 15,618 245 1.57%
FY2025.Q1 2024.06 16,211 230 1.42%
FY2025.Q2 2024.09 15,683 244 1.56%

沿革

1940年3月東京都にて向山一人氏が興亜工業社を創立。1947年5月に株式会社に組織変更、1950年12月に興亜電工株式会社に改称する。1961年12月に東証二部、1962年10月名証二部に上場。1984年9月東証一部、名証一部に変更。1986年にKOA株式会社に改称、2015年6月には登記上の商号もKOA株式会社に変更する。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。自動車向けを中心に幅広い用途の固定抵抗器などの開発・製造・販売を行う、世界シェア首位級の企業

株主構成

有価証券報告書によると2022年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合19.3%。日本カストディ銀行の信託口が7.3%、日本生命保険相互会社が6.0%で続き、以降は保有割合5%未満で8359八十二銀行、三菱UFJ銀行、国内信託銀行、7276小糸製作所、KOA共栄会が並ぶ。尚、大量保有報告書によると野村アセットの保有割合が6.34%、三井住友トラスト・アセットマネジメントの保有割合が8.13%、アセットマネジメントOneの保有割合が7.40%であると報告されている。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は10名(社内7名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は全員プロパー入社とみられ、うち元代表取締役会長で現在取締役会長の向山孝一氏は創業者一族

代表取締役の経歴

代表取締役社長の花形忠男氏は1956年1月生まれ。東海大学卒業後、1979年3月同社入社。抵抗器生産部や国際品質保証のゼネラルマネージャーを歴任後、2008年6月取締役に就任。2013年4月より現職を務める。2015年6月よりKPS-3(KOA Profit Systemと呼ぶ経営改善活動の第3ステージ)イニシアティブ担当を委嘱されている。

報告セグメント

生産・販売体制を基礎とした「日本」、「アジア」、「アメリカ」、「ヨーロッパ」の4報告セグメントに大別される。2023年3月期第2四半期累計期間の売上高37,964百万円のセグメント別売上高構成比率は、日本33.5%、アジア34.2%、アメリカ17.9%、ヨーロッパ14.4%だった。全社費用控除前の営業利益の内訳は日本75.7%、アジア13.9%、アメリカ5.0%、ヨーロッパ5.3%だった。

事業モデル

固定抵抗器生産を主力事業とするメーカー。抵抗器は流れる電気の量を制限したり調整したりすることで、電子回路を適正に動作させる役割を持つ部品である。生産拠点を台湾、中国、マレーシアと海外にも持つが、国内生産比率が7割を超える。2023年3月期上期の用途別売上構成比は自動車向け43%、産業機械向け15%、家電向け7%、通信向け6%、AV向け6%など、自動車中心に幅広い分野で使用されている。自動車産業界におけるEV化・電装化の流れにより、搭載センサの数は多くなる。またセンサの信号に用いられる増幅回路や基準電圧回路の抵抗器には高信頼性チップが求められる。国内・海外既存向上での増産と新与点の設置により生産能力の向上を進めている。2022年4月には高信頼性チップ抵抗体の売上を拡大すべく、富山の新工場が竣工した。

2023年3月期第2四半期決算説明会資料

同社が主力とする自動車向け製品は脱炭素社会の実現を目指した進展が加速。販売規制を受けたEV等環境対応車へのシフトや、安心・安全の高度化である自動運転技術の実装などから需要拡大していくものとみられる

競合他社

抵抗器を手掛ける大手メーカーとして、6752パナソニックホールディングス(同2022年3月期売上高7,388,791百万円)、6963ローム(同452,124百万円)、他に抵抗器メーカーとして6772東京コスモス電機(同9,511百万円)、6763帝国通信工業(同15,109百万円)、6977日本抵抗器製作所(2021年12月期売上高6,185百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

同社と連結子会社16社、持分法適用会社1社、非連結子会社3社でグループを構成する。主な子会社は日本で電子部品の生産を行う興亜エレクトロニクス株式会社、販売を行う興亜販売株式会社。ほか海外における製造会社がアジア各地に、販売会社がアジアの他、米国ドイツに拠点を置く。

強み・弱み

固定抵抗器で世界首位級の高いシェアをもつことが強み。特に高精度、信頼性が求められる自動車向けを得意としている。一方で激しい競争にさらされており、製品価格低下が利益を圧迫する可能性がある。また、海外に製造、販売拠点を持ち、外貨建て取引を行っていることから為替リスクを持つ。同社製品は幅広い分野で使用され、特定業界の影響は受けないものの、景気変動に伴う個人消費や企業設備動向に影響を受けると考えられる。

KPI

①固定抵抗器需要(2022年5,610億円、前年比+19%、同社推計)
②EV市場規模(2035年世界で推計2418万台、富士経済調べ)
③為替動向(米ドル、中国元、ユーロなど)

2023年3月期第2四半期決算説明会資料

業績

2016年3月期からの業績をみると、自動車の電子化進行などにより売上高は2018年3月期まで増収増益。2019年3月期は人件費増などの影響で増収減益となった。2020年3月期はコロナ禍による設備投資抑制、米中貿易摩擦を受け中国向け売上が減少し、減収減益。2021年3月期以降は経済活動再開の動きも見られ、業績は改善した。フリーCFは新工場建設や設備投資のため2019年、2020年3月期はマイナス。有利子負債が増加傾向にあり、自己資本比率は80%台から70%台へ低下している。

2023年3月期第2四半期決算説明会資料
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