3935 エディアの業績について考察してみた

3935 エディアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1999年4月に神奈川県海老名市において、有限会社エディアとして創業。現代表取締役会長の原尾正紀氏がモバイルコンテンツのサービス開発・提供を目的として設立した。翌年2000年7月には株式会社に組織変更し、2002年1月には東京都千代田区に本社を移転し、その後東京都千代田区一ツ橋へ再度移転。2016年4月には東証マザーズに上場。2018年2月には株式会社ティームエンタテインメント、同年8月には株式会社一二三書房をそれぞれ子会社化している。スマホ向けのゲームアプリケーションの提供を中心に、子会社では音楽レーベル、コンテンツコラボカフェ、グッズ、出版等も行う。5期最終赤字、4期連続営業赤字、疑義注記。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年2月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長である原尾正紀氏で16.28%である。次いで株式会社SBI証券が4.12%。以降は3%未満の保有でJPモルガン証券が1.59%(第6位)、松井証券が1.44%(第7位)、日本証券金融が0.92%(第9位)、GMOクリック證券が0.80%(第10位)と証券系金融機関が上位に名を連ねる。また、以前に同社取締役会長を務めていた夏目三法氏が1.93%(第4位)を保有するほか、現代表取締役社長である賀島義成氏が1.21%(第8位)を保有する。上位10位株主が占める割合は32.71%である。

取締役会

同社の取締役は7名(社内3名、社外4名)で構成されており、そのうち、社外取締役3名は監査等委員、同社は監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は、監査法人トーマツの出身者で公認会計士資格を有する米山信明氏。社外取締役4名のうち、3名は公認会計士や弁護士であるが、QBキャピタル合同会社代表社員及び九州大学客員教授を務める坂本剛氏が社外取締役として、当社の経営に関与している

代表取締役の経歴

代表取締役会長である原尾正紀氏は1968 年3月生まれ。九州大学工学部を卒業後、1990年4月に日産自動車へ入社。カーナビに地図以外のコンテンツを載せたいとの考えで、同社を創業。
代表取締役社長である賀島義成氏は1980年7月生まれ。2002年に大原情報ビジネス専門学校を卒業後、ソフトウェア開発などを行うニイウスコーに入社。その後、株式会社クリアストーンでの勤務を経て、2007年4月に同社に入社した。それ以来、2011年5月に同社取締役に就任、2017年5月には取締役副社長となり、2019年5月に現職である代表取締役社長に就任した

報告セグメント

モバイルインターネットサービスに加えて、音楽レーベル・グッズ・出版などを含む「エンターテインメント事業」の単一セグメント。サービス別の売上内訳は具体的には開示されていないが、下図を参照。

2021年2月期 通期決算説明資料

事業モデル

「SMART MEDIA COMPANY」を企業コンセプトとして掲げており、モバイルコンテンツサービスの企画・運営などを行うモバイルインターネットサービスをはじめとした総合エンターテインメントを提供し続けていくことを目指している。
展開するサービスは「ゲームサービス」・「ライフエンターテインメントサービス」・「音楽レーベルサービス」・「グッズ・コラボカフェサービス」・「出版サービス」・「その他」の6つに分類。
ゲームサービスは、Google PlayやApp Store、DMM GAMES、GREE、Mobage等にゲームアプリケーションを提供。企画から開発、運用まで一貫して行う。その他、他社からの受託・アライアンスの開発・運用する。自社保有ゲームタイトル・IPのライセンスアウトも行う。無料で提供し、ゲーム内のアイテム購入時に課金するフリーミアムモデル
ライフエンターテイメントサービスでは、案内音声を行うナビゲーターや画面デザインを着替えることができる徒歩/カーナビアプリ『MAPLUSキャラdeナビ』など、実用サービスにエンターテイメントノウハウを融合したサービスを提供。
出版サービスはライトノベル及びコミック(電子書籍含む)、デジタルマンガ、アニメやゲーム関連の出版物の企画、編集、出版、制作受託を行う。
成長の軸となる3つの柱を、新たなキャラクターの創出および業務提携やM&Aなどを通じたインオーガニック戦略による収益力の向上、電子コミック事業の拡大、デジタルコンテンツの制作受託サービスと定め、総合エンターテインメント企業として一段と飛躍することに努めている。

2021年2月期 通期決算説明資料

競合他社

提供サービス別に、スマホゲームアプリケーションの開発をする競合企業は複数存在する。総合エンターテイメント企業として電子書籍まで幅広くデジタルエンターテイメントを提供している観点からは、2432ディー・エヌ・エー(2021年3月期売上高1,369億円)や3632グリー(2021年3月期売上高626億円)などが類似する点が多い。また、コミック・電子書籍関連の「出版サービス」事業も同様に、9468KADOKAWA(2021年3月期売上高2,099億円)や集英社(非上場。2020年5月期売上高1,529億円)など、ライトノベル事業に力を入れる企業は多い

連結の範囲

2021年2月期時点で、2社の連結子会社が存在する。ゲーム・アニメ関連などの音楽・ドラマの企画制作などを手掛ける株式会社ティームエンタテインメント(2021年3月期売上高433百万円)と、アニメ・ゲーム関連の出版物・グッズの企画制作を手掛ける株式会社一二三書房(2021年3月期売上高852百万円)である。

強み・弱み

総合エンターテインメント企業として、ゲームやコミックなどを各種媒体向けに提供できる総合力にある。自社でキャラクターなどの知的資産を創出するだけではなく、業務提携などで補完しつつ、電子書籍などの出版事業も手掛けるなど、生み出したコンテンツを各所に供給できる体制を近年急速に強化してきたことも強み。また、その過程で蓄積されたコンテンツ制作技術を法人向けの広告サービスに展開出来ていることも、同社の強みとみられる。一方で、ゲーム業界や出版業界では大手も含めて競争が激しく、同社タイトルは一部のコアファン以外には浸透していない点は弱みである。なお、直近5期連続の純損失、4期連続の営業損失計上といった財務状況は大きなリスクである。有価証券報告書では2021年2月期第4四半期の四半期単体で黒字化したことを引き合いに継続疑義事象は解消と報告している。ユーザーの裾野を広げられるか、成熟化する国内市場を踏まえて次の戦略を展開できるか、などが課題。

KPI

目標とする経営指標として「売上高営業利益率」を掲げている。そのほかに、競争力の源泉となる知的資産拡大を図るKPIとして、以下の指標を掲げている。
「ライトノベル刊行作品数」 48作品 (2021年2月期)
「コミック作品数」 11作品 (2021年2月期)
「ドラマCD作品数」 49作品 (2021年2月期)
ライトノベル作品数は、コロナ禍において制作作業の進捗に遅れが見られたことから、進捗率としては半数に満たなかったものの、コミック作品数は計画を上回る水準で着地した。同社の競争力の源泉はどれだけ多くの知的資産を創出していくことが出来るか、それが実際のコミックなどで結実するかどうか、を図るバロメーターとして継続的に確認していくべき指標だろう。

2021年2月期 通期決算説明資料

業績

直近5期の業績は、売上高は約1.8倍に伸びているが、営業利益は直近4期連続で赤字計上。2021年2月期の業績は、売上高2,470百万円(前年比+16百万円)、当期純損失▲80百万円(前年比+125百万円)と増収増益である。「出版サービス」事業(コミック・電子書籍など)を中心に堅調に推移し増収となったことで、不採算ゲームからの撤退に係る損失や新型コロナウイルス感染症によるカフェを臨時休業したことによる店舗休止損失などを吸収した。2022年2月期は全サービスラインの底上げを行い、過去最高通期売上高および通期営業黒字達成を最終的な目標にしている。投資CFは恒常的にマイナスのため、FCFは5期連続マイナスで財務CFは直近期を除き+。自己資本比率は44.8%であった。KPI各項目の進捗状況を確認しつつ、目標達成を実現できるかが注目される。