4393 バンク・オブ・イノベーションの業績について考察してみた

4393 バンク・オブ・イノベーションの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.12 4,177 582 13.93%
FY2024.Q2 2024.03 3,635 655 18.02%
FY2024.Q3 2024.06 2,965 95 3.2%
FY2024.Q4 2024.09 2,838 -3 -0.11%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2018.Q3 2018.06 1,171 105 8.97%
FY2018.Q4 2018.09 1,184 152 12.84%
FY2019.Q1 2018.12 1,174 191 16.27%
FY2019.Q2 2019.03 1,173 178 15.17%
FY2019.Q3 2019.06 1,036 114 11%
FY2019.Q4 2019.09 912 43 4.71%
FY2020.Q1 2019.12 847 45 5.31%
FY2020.Q2 2020.03 802 18 2.24%
FY2020.Q3 2020.06 764 -13 -1.7%
FY2020.Q4 2020.09 648 -110 -16.98%
FY2021.Q1 2020.12 620 -97 -15.65%
FY2021.Q2 2021.03 542 -146 -26.94%
FY2021.Q3 2021.06 451 -295 -65.41%
FY2021.Q4 2021.09 516 -269 -52.13%
FY2022.Q1 2021.12 471 -261 -55.41%
FY2022.Q2 2022.03 674 -133 -19.73%
FY2022.Q3 2022.06 597 -280 -46.9%
FY2022.Q4 2022.09 686 -334 -48.69%
FY2023.Q1 2022.12 8,368 2,833 33.86%
FY2023.Q2 2023.03 5,543 1,559 28.13%
FY2023.Q3 2023.06 4,003 378 9.44%
FY2023.Q4 2023.09 3,419 130 3.8%
FY2024.Q1 2023.12 4,177 582 13.93%
FY2024.Q2 2024.03 3,635 655 18.02%
FY2024.Q3 2024.06 2,965 95 3.2%
FY2024.Q4 2024.09 2,838 -3 -0.11%

沿革

2006年1月、動画検索エンジン「Fooooo」の事業化を目的に株式会社バンク・オブ・イノベーションとして設立された。2012年にはスマートフォンゲーム事業を開始。2015年2月にゲームアプリ「幻獣契約クリプトラクト」を配信開始。続いて2017年8月、ゲームアプリ「ミトラスフィア」の配信をスタートする。翌2018年7月に東証マザーズへ上場。スマートフォンゲームアプリのグラフィック制作からゲームシステム開発を行う。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末日時点の大株主は、代表取締役社長の樋口智裕氏が45.48%、取締役の田中大介氏が7.82%で、あわせて53.3%を保有する。そのほか保有割合5%未満で国内の証券会社や取締役などがならぶ。なお外国人保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役ゲーム運営部長人事部長の田中大介氏は東京大学卒。創業メンバーとして在学中から学生ベンチャーに参加していた。その後SEの経験を積み、大学卒業後に同社に入社している。また取締役CFO経営管理部長の河内三佳氏は監査法人の出身。公認会計士の有資格者である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の樋口智裕氏は1983年1月生まれ。青山学院大学経営学部の卒業。本田宗一郎氏の自伝を読んで「会社をつくり、みずからの手で何かを生み出すおもしろさ」を知り、起業を志す。在学中に学生ベンチャーの立ち上げに参画し、起業を経験。大学卒業後はフリーランスのエンジニアとして半年間働き、同社を創業した。

報告セグメント

「スマートフォンアプリ関連事業」の単一セグメント。ゲームアプリ「ミトラスフィア」、「幻獣契約クリプトラクト」を配信している。2020年9月期の売上高構成はミトラスフィアが1,106百万円で36.2%、クリプトラクトが1,954百万円で63.8%を占める。2021年4月より「恋庭」の配信をスタート。ゲームとマッチングを組み合わせ、マッチングサービス市場への参入を果たす。

事業モデル

Google LLCおよびApple Inc.などが運営するプラットフォームを通じて、ゲームアプリを無料で配信する。ゲーム内の有料アイテム販売によって収入を得ている。また「ミトラスフィア」と「幻獣契約クリプトラクト」については同社の知的財産として他社に著作物の利用許諾をおこない、他社からのロイヤリティも売上となる。
日本国内のスマートフォンゲーム市場は成熟化が進む。しかし上位タイトルのけん引により安定した推移が続いており、2020年の市場規模は1.2兆円にのぼる。また恋活・婚活マッチングサービス市場についても、2020年の622億円から2023年には1,000億円を超えると予測され、成長が見込める。

競合他社

モバイルゲーム事業を主力とする企業は多く、大小さまざまな先と競合する。最大手は「パズル&ドラゴンズ」を配信する3765ガンホー・オンライン・エンターテイメント。2020年12月期の売上高は98,844百万円と同社の32倍の規模である。

連結の範囲

株式会社バンク・オブ・インキュベーションが連結子会社に該当する。ゲーム以外の新規事業展開を目的として2019年に設立された。

強み・弱み

高品質な2Dグラフィックと「グラフィック主体の開発体制」が強み。スマートフォンゲーム市場において3Dゲームが広がりを見せる中、同社は2Dグラフィックに特化している。「グラフィック主体の開発体制」を構築し、従業員の約4割をデザイナーが占める。デザイン重視の開発体制を組む同業他社は少なく、他社との差別化をはかっている。一方で新作ゲームや新規サービスを配信し、早期に次のヒット作を創出できるかが懸念される。2015年に配信開始の「幻獣契約クリプトラクト」と2017年に配信開始の「ミトラスフィア」の売上高が経年により減少する中、あらたな売上の柱となる商品の不在はリスクとなる。

KPI

2021年5月の段階で、配信中のサービス「ミトラスフィア」と「幻獣契約クリプトラクト」に売上高を依存しているため、両ゲームの売上高はKPIとなる。どちらも2021年9月期第2四半期の累計を示す。
ミトラスフィア売上高:4.6億円(前年同期比▲22%)
幻獣契約クリプトラクト売上高:7.0億円(前年同期比▲33.7%)

2021年9月期 第2四半期決算説明資料
2021年9月期 第2四半期決算説明資料

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2016年9月期の2,299百万円から2018年9月期に5,052百万円へと2.1倍ほどに増加したが、2020年9月期は3,061百万円に減少。一方、経常利益は▲375百万円から2019年9月期に515百万円まで成長し、2020年9月期は▲70百万円であった。営業CFは2016年9月期、2020年9月期以外はプラスで、FCFは営業CFに準じており、投資CFは期によって金額の変動はあるがマイナス推移。従業員数は147名から183名へと純増している。なお同社は2020年9月期より連結財務諸表の作成をおこなっている。2021年9月期第二四半期の自己資本利益率は37.6%であった。

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