4592 サンバイオの業績について考察してみた

4592 サンバイオの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.10 0 -641 0%
FY2024.Q4 2024.01 0 -814 0%
FY2025.Q1 2024.04 0 -666 0%
FY2025.Q2 2024.07 0 -905 0%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2018.Q1 2017.04 123 -1,021 -830.08%
FY2018.Q2 2017.07 126 -1,128 -895.24%
FY2018.Q3 2017.10 122 -1,020 -836.07%
FY2018.Q4 2018.01 119 -1,209 -1015.97%
FY2019.Q1 2018.04 158 -1,004 -635.44%
FY2019.Q2 2018.07 257 -611 -237.74%
FY2019.Q3 2018.10 153 -864 -564.71%
FY2019.Q4 2019.01 173 -1,254 -724.86%
FY2020.Q1 2019.04 189 -1,248 -660.32%
FY2020.Q2 2019.07 238 -1,137 -477.73%
FY2020.Q3 2019.10 -3 -1,243 41433.33%
FY2020.Q4 2020.01 23 -1,858 -8078.26%
FY2021.Q1 2020.04 0 -1,242 0%
FY2021.Q2 2020.07 0 -1,328 0%
FY2021.Q3 2020.10 0 -1,618 0%
FY2021.Q4 2021.01 0 -1,613 0%
FY2022.Q1 2021.04 0 -1,540 0%
FY2022.Q2 2021.07 0 -1,512 0%
FY2022.Q3 2021.10 0 -1,687 0%
FY2022.Q4 2022.01 0 -1,881 0%
FY2023.Q1 2022.04 0 -1,844 0%
FY2023.Q2 2022.07 0 -2,777 0%
FY2023.Q3 2022.10 0 -1,783 0%
FY2023.Q4 2023.01 0 -1,495 0%
FY2024.Q1 2023.04 0 -1,461 0%
FY2024.Q2 2023.07 0 -1,623 0%
FY2024.Q3 2023.10 0 -641 0%
FY2024.Q4 2024.01 0 -814 0%
FY2025.Q1 2024.04 0 -666 0%
FY2025.Q2 2024.07 0 -905 0%

沿革

2001年2月創業の米国SanBio, Inc.の子会社として、2013年2月にサンバイオ株式会社設立。医療関連技術の研究開発、研究開発の受託、開発技術の特許販売などを目的とする。2014年1月には、同社、同社子会社のSanBio Merger Sub, Inc. 及びSanBio, Incの三角合併により同社が親会社となる。2015年4月に東証マザーズ上場。再生細胞薬SB623に代表される外傷性脳損傷の治療薬を中心に、再生医療分野における新技術開発を事業とするバイオベンチャーである。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年1月末時点での筆頭株主は代表取締役会長の川西徹氏で、23.59%保有。次いで代表取締役社長の森敬太氏が11.58%2019年12月までSB623の米国における共同開発ならびに供給に係る合意契約を締結していた大日本住友製薬株式会社が5.44%保有(なお、大日本住友製薬の保有比率はその後の変更報告書により5%未満に減少が確認されている )。以下は5%未満の保有率で、信託銀行信託口や証券会社などが続くが、2018年2月までSB623の開発権及び販売権に係る契約を締結していた帝人株式会社が1.91%で4位、オフィス機器商社の株式会社CAN代表取締役と見られる藤岡義久氏が0.70%保有し6位となっている。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は4名(社内3名、社外1名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は社外の1名のみで、コンサルティングやベンチャー投資を事業とする株式会社ドリームインキュベータの創業者で元代表取締役の古谷昇氏。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。代表取締役会長の川西徹氏は1967年11月生まれ。東京大学卒業、同学大学院修了後、1993年4月に株式会社ボストン・コンサルティング・グループ入社。2001年2月に上記SanBio, Inc. を代表取締役社長の森敬太氏とともに米国で設立、Chairmanに就任。2013年2月の同社設立と同時に現職へ就任。
代表取締役社長の森敬太氏は1967年6月生まれ。東京大学卒業、同学大学院修了後、1993年4月に麒麟麦酒株式会社入社。2001年2月にSanBio, Inc. 設立、CEO
に就任。2013年2月の同社設立と同時に現職
へ就任。
代表取締役副社長の辻村明広氏は1967年12月生まれ。金沢大学卒業、神戸大学大学院修了後、1992年4月にニチメン株式会社(現双日株式会社)入社。2004年8月に参天製薬株式会社入社、取締役専務執行役員などを歴任後の2018年10月、同社入社。専務取締役、取締役副社長などを経て2021年4月より現職

報告セグメント

「他家幹細胞を用いた再生細胞事業」の単一セグメントである。有価証券報告書によると、2021年1月期の売上高(事業収益)はゼロ、営業利益は▲5,802百万円、経常利益は▲6,530百万円であった。

事業モデル

バイオテクノロジーによる新薬の開発を事業とする。損傷や欠損を被った臓器・組織を修復する療法の一つとして、他の細胞を患部に移植することによって本来の細胞の代替とし形態や機能を回復する再生医療が挙げられる。ここで利用される再生細胞医薬品が同社の開発対象である。再生医療は自家移植と他家移植に大別され、前者は患者本人の細胞を処理し本人に戻す形態の治療法であり、細胞処理に手間と時間がかかるため費用が高額化する等、実用化に当たっての課題が指摘されている。一方、他家移植は、健康な細胞提供者(ドナー)から採取した細胞を大量培養したものを患者に投与することから、多くの患者を治療でき、量産化によるコスト削減効果も期待できる。
同社の扱う再生細胞医薬品はこの他家移植に該当し、主力製品SB623は一過性に遺伝子導入した成人骨髄由来の間葉系幹細胞を加工・培養して製造したもので、脳内の神経組織に投与されると自然な再生機能を誘発することで失われた運動機能の改善を促す。

公式ウェブサイト内「SanBioの再生細胞薬の強み」>「多くの患者さんに届く医療」

現在のところ数種の新薬が研究段階から試験段階の途中にある。主力の、脳の機能回復を中心に複数の症例に有効とされるSB623の他、筋ジストロフィーやがん疾患などの治療薬も研究中である。進捗状況に関しては、最も進行しているSB623であっても外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血を対象とした臨床試験が中間段階に達したところである。なお、米国ではP2の芳しい結果が得られていないが、日本では条件期限付き早期承認制度を利用してP2終了後に承認申請見込みとみられる。日本での開発及び販売ライセンスは帝人と締結していたがこちらも独占的ライセンス契約は解消済みである。

2021年1月期有価証券報告書 p.8

競合他社

同社と同じく新薬開発ベンチャーの4593 (株)ヘリオス脳梗塞治療薬など細胞医薬品・再生医療等製品の研究開発で競合する。売上高27百万円(2020年12月期)。ベンチャーではないが、4506 大日本住友製薬(株)も再生細胞医薬品や脳疾患治療薬などの研究開発で競合する。同社との間でSB623の共同開発ならびに供給に係る合意契約を締結していたが、2019年12月にこれを解消。売上高515,952百万円(2021年3月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社、子会社2社で構成される。子会社のうちSanBio, Inc. (米国)は連結子会社かつ特定子会社であり、かつての同社の親会社。事業内容は再生細胞医薬品の研究開発、またSB623が認可された際の製造も予定。2018年1月期から2020年1月期においては、SanBio, Inc. が大日本住友製薬株式会社から受領した開発協力金による収入が、同社グループ連結事業収益の100%であった。

強み・弱み

国内外の専門家を招き、グローバルな研究体制を整備している。特に、当該分野において世界をリードしている米国に拠点を持つ点が強み。一方、ベンチャーは一般的に新技術・新製品が完成するまでの間は開発費用を賄うだけの事業収益を得られないことに加え、医薬品関係は数段階の臨床試験をクリアした上での認可が必要で不採算期間が長引かざるを得ない

KPI

商品・サービスの提供段階に至っていないため本来のKPIに相当する指標はないが、新薬の認可へ向けた進捗状況がKPI的指針となろう(上記図2参照)。

業績

現状は図3におけるA~Cの段階にあり、先行投資を回収できない状況にある。赤字幅も年々拡大傾向で、2021年1月期の経常損失は上場来最大の▲6,530百万円(前期比▲26.9%)。事業収益ゼロ(前期比▲447百万円)、営業利益▲5,802百万円(前期比▲5.8%)。営業CFは恒常的にマイナス、投資CFは決算期によってまちまち。直近決算期の自己資本比率は61.0%。

2021年1月期有価証券報告書 p.7
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