4054 日本情報クリエイトの業績について考察してみた

4054 日本情報クリエイトの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q2 2023.12 1,061 186 17.53%
FY2024.Q3 2024.03 1,040 134 12.88%
FY2024.Q4 2024.06 1,367 315 23.04%
FY2025.Q1 2024.09 1,410 319 22.62%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2020.Q4 2020.06 632 146 23.1%
FY2021.Q1 2020.09 648 163 25.15%
FY2021.Q2 2020.12 654 176 26.91%
FY2021.Q3 2021.03 640 114 17.81%
FY2021.Q4 2021.06 675 132 19.56%
FY2022.Q1 2021.09 743 176 23.69%
FY2022.Q2 2021.12 766 192 25.07%
FY2022.Q3 2022.03 688 81 11.77%
FY2022.Q4 2022.06 856 51 5.96%
FY2023.Q1 2022.09 853 45 5.28%
FY2023.Q2 2022.12 923 82 8.88%
FY2023.Q3 2023.03 956 50 5.23%
FY2023.Q4 2023.06 1,038 152 14.64%
FY2024.Q1 2023.09 968 74 7.64%
FY2024.Q2 2023.12 1,061 186 17.53%
FY2024.Q3 2024.03 1,040 134 12.88%
FY2024.Q4 2024.06 1,367 315 23.04%
FY2025.Q1 2024.09 1,410 319 22.62%

沿革

1994年8月、宮城県にて日本情報クリエイト株式会社を設立し、1995年1月に建築見積システムの発売を開始。2006年6月に不動産ホームページ制作ツール「Web Manager Pro」の発売を開始する。2013年1月には業者間物件流通サービス「不動産BB」の運営をスタート。
2020年7月に東証マザーズに上場。2021年12月、事業の拡大にともなって国内に18拠点を増設する。2022年4月、東証の市場区分見直しによりグロース市場へ移行した。
同社は賃貸用不動産会社向けに仲介・管理業務の効率化ソフトを提供する

株主構成

2022年6月期の有価証券報告書によると、2022年6月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長の米津健一氏の資産管理会社である株式会社NJCで40.0%を保有する。次いで米津健一氏が個人で30.3%を保有し、同氏の実質保有分は7割。以下、保有割合5%未満で日本情報クリエイト従業員持株会、国内銀行信託口、海外銀行などがならぶ。外国人株式保有比率は、2022年10月13日更新のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると10%未満である

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、うち監査等委員3名 (社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。取締役の経歴を見ると、6203豊田自動織機や6902デンソー、東京トヨペット株式会社とトヨタグループ出身者が代表取締役社長を含めて3名在籍する。ほか2名の取締役は、メイワスカイ株式会社や日本電子開発株式会社などの出身だ。
代表権を持たない社内取締役4名はそれぞれ開発部、営業部、管理部、監査等委員会に属する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の米津健一氏は1963年2月生まれ。1981年4月に6203豊田自動織機に入社。その後出版業を営む株式会社ほるぷや、自治体向けにシステム開発をする株式会社プロデュースメディアを経て、1994年8月に同社を設立した。

報告セグメント

「不動産業務支援事業」の単一セグメントである。同社が提供するサービスは不動産仲介業務向けの「仲介ソリューション」と、不動産管理業務向けの「管理ソリューション」に大きく2分される。

第28期 有価証券報告書

2023年6月期第1四半期の売上高853百万円の内、仲介ソリューションが359百万円で42.1%、管理ソリューションが485百万円で56.9%、その他が9百万円で1.0%を占める。ソリューションごとの個別の利益は公表されていないが、全体の営業利益率は20%前後を推移する。

事業モデル

不動産業界向けにITを活用した業務効率化サービスを提供する。仲介ソリューションでは、業者どうしによるクラウド上での物件流通を可能にした「不動産BB」や、ホームページ制作ツール「Web Manager Pro3」等は無償である。これらの製品やサービス上で物件の仕入から集客、契約まで一貫して顧客に提供できるソリューションとして「電子入居申込」(無償)や「IT重説」(有償)など非対面でおこなえるツールも提供する
管理ソリューションでは、賃貸物件の総合管理システム「賃貸革命」や、「賃貸革命」上での入出金データを会計ソフトと連動する「会計連動」等の商品を展開。物件の入退去管理や入出金、建物の保守点検等、管理業務にかかるソリューションを手がける
不動産BBを無償で不動産会社に提供し、その後の物件への集客から契約、物件管理にわたる各種課金ソフトへの顧客取り込みを狙う「フリーミアム制度」を採用する。
課金サービスの導入社数は全国で6,727社(2022年6月期実績)である。また不動産会社と入居者をつなぐアプリとして「くらさぽコネクト」を展開。不動産会社と入居者が契約更新や請求の通知、問い合わせをアプリでおこなえるスムーズな非対面やりとりを実現する。

2023年6月期 第1四半期 決算説明資料

国内の不動産テック業界市場規模は拡大傾向(図参照)である上に、宅建業者数は毎年約2,000社ずつ増加している。同社は不動産テック事業を今後も成長が期待できる分野として位置づける。

2022年6月期 通期 決算説明資料

競合他社

SaaS型不動産業務支援ソフトを提供する3796株式会社いい生活(2022年3月期売上高2,434百万円)、賃貸管理ソフト「いえらぶCLOUD」を提供する株式会社いえらぶGROUP(非上場)、「賃貸名人」を提供する株式会社ダンゴネット(非上場)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社として株式会社リアルネットプロを持つ。
2022年6月にM&Aによって完全子会社化し、統合前の事業内容としてリアルタイム空室情報システムの運営等をおこなっていた。

強み・弱み

強みとしてサービス提供の一貫性とフリーミアム制度が挙げられる。同社のビジネスモデルは、無償サービスである「不動産BB」を通して集客し、その後に発生する各種不動産業務については、課金ソフトでサポートする。課金顧客への移行をスムーズに実現する仕組みを構築している。
不動産業務にかかる一連の手続きをカバーした支援サービスを提供しており、課金顧客の解約率は0.5%(2022年6月)と低水準を誇る。課金ソフトの導入社数は2018年度から2022年度の過去5期で約1.2倍に増加し、2022年6月期の売上高のうちストック売上高が64.9%を占める。新型コロナ流行にともなうリモート化や、重要説明事項や契約の電子化によるさらなる需要巻き取りを狙う。
懸念点としては、不動産業界に特化したビジネスモデルであるため、国内の不動産業界の景気悪化によりシステム投資の減退が生じた際の売上高への影響が挙げられる。

KPI

KPIには①解約率、②ストック売上高、③導入社数(有償)、④不動産BB導入事業所数の4つが挙げられる
①解約率:2023年6月期第1四半期0.4%(前年同期0.5%)
②ストック売上高:2023年6月期第1四半期77.1%(前年同期比+41.5%)
③導入社数(有償):2022年6月期6,727社(前期比+337社)
④不動産BB導入事業者数:2022年6月期20,286(前期比+21.9%)

業績

売上高は2018年6月期から2022年6月期までの5期で約1.6倍に増加創業来28期連続の増収達成である。経常利益は過去5期で2.0倍と大幅に増益。営業CFはプラスで推移。投資CFは2020年6月期を除いてマイナス。自己資本比率は2020年6月期に50%を超え、2022年6月期は68.7%である。なお有利子負債はゼロである。

関連ありそうな記事