3687 フィックスターズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2002年8月神奈川県に有限会社フィックスターズを設立。2002年10月に株式会社フィックスターズに改組。2008年10月米国カリフォルニア州に子会社設立。2010年11月PlayStation 3を用いた高速クラスタシステムを米国空軍研究所に導入。2014年4月に東証マザーズ上場、2016年11月東証一部へ変更。2018年10月量子コンピュータ向けのミドルウェア研究開発プロジェクトがNEDOに採択される。2019年8月AIによるソフトウェア開発マネジメントサービス「Sleek」の事業化促進のため、同年10月AIによる乳がん等解析の事業化のためそれぞれ子会社を設立。マルチコアプロセッサーの性能向上ソフトの開発を中心に、関連ハードウェアの販売も行う。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、創業者で代表取締役社長の三木聡氏で11.0%、次いで株式会社日本カストディ銀行が信託口で9.0%、創業者で前代表取締役会長の長谷川智彦氏が8.9%、創業者で前取締役の原行範氏が6.6%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が5.3%、株式会社日本カストディ銀行が別口の信託口で3.2%等、創業に携わたメンバーや機関投資家が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。社内取締役の堀美奈子氏は元アナウンサー(芸名:永井美奈子) で中古車海外輸出事業を営む株式会社アガスタの取締役を経て、2007年5月同社へ入社し現職へ就任。同じく社内取締役の蜂須賀利幸氏は、産業機械の専門商社アルテック株式会社を経て、2007年7月同社へ入社、子会社の代表取締役会長も兼任。

代表取締役の経歴

代表取締役の三木聡氏は1971年2月生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、1996年10月に株式会社ラックに入社。有限会社ソフトワールドを経て、2002年8月に同社を設立し、同年10月に現職へ就任した。連結子会社3社の代表取締役も兼任する。

報告セグメント

「Solution事業」と「SaaS事業」の2報告セグメントに大別される。2019年11月に開示した中期経営計画に基づき初年度である2021年9月期より刷新された新しいセグメント区分。2021年9月期第1四半期の売上高1,238百万円 の事業別構成は、Solution事業が1,218百万円で98.4%、SaaS事業が19百万円で1.6%を占める。セグメント利益についてはSolution事業が291百万円で利益率23.9%、SaaS事業は赤字である。連結営業利益は154百万円であった。

2019.11.12 中期経営方針について P.6

事業モデル

主力のSolution事業は、マルチコアプロセッサーを中心にソフトウェア開発やシステムの高速化サービスを展開。顧客のオリジナルソースコードをソフトウェアの最適化やアルゴリズム改良を行うことで、高速化して提供する。自動運転関連の高速化サービスやアルゴリズム開発、半導体メーカー向けのファームウェア開発を中心に年率10~15%の安定成長が見込まれる分野である。他にも画像検査装置のリアルタイム処理ゲノム解析を行うライフサイエンス分野や、リスク計量やマーケット情報管理を行うファイナンス分野、FA周辺機器におけるシステム高速化支援を行うインダストリアル分野など、様々な産業に顧客を抱える。
SaaS事業では、AIによるコードレビューの自動実施を行う「Sleeel事業」、「乳がんAI画像診断支援事業」、自動運転やFA分野での需要が見込めるエッジビジョンAI向けプラットフォーム開発を行う「GENESIS事業」、「量子コンピュータ事業」の4つの新規SaaS事業が軸となる。
SaaS事業では積極的に先行投資を行っており、新しくセグメント区分された2021年9月期第1四半期は赤字。
主な販売先と2020年8月期の売上高に占める比率はキオクシア株式会社が33.0%、株式会社日立製作所が14.2%、キャノン株式会社が10.2%と、3社で71.8%を占める。

競合他社

大手企業向けシステム開発が中心の3837アドソル日進株式会社(2020年3月期13,315百万円)、IT向け新興コンサル企業6088株式会社シグマクシス(同16,003百万円)、車載向け組込システムが主力の2359株式会社コア(同20,997百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社6社を持つ。完全子会社は、米国での開発や営業を行うFixstars Solutions Inc.と、新規SaaS事業のSleeek事業を手掛ける株式会社スリークである。その他の連結子会社には自動運転向けソフトウェア開発を行う株式会社ネクスティエレクトロニクスとのジョイントベンチャーや、「乳がんAI画像診断支援事業を行うプロディジーメディカル株式会社とのジョイントベンチャー等が並ぶ。

強み・弱み

マルチコアプロセッサーの性能を向上させるソフトウェア開発技術が強み。エンジニアが社員の9割以上を占め、自動車や半導体、金融等の幅広い業界の顧客との取引から培った高い技術力を有する。同社の扱うCellは既存のプロセッサーと比べて数十倍の高速処理が可能であり、今後中長期的な成長が見込めるIoTやAI分野を筆頭に需要の高まりが期待される領域である。新規SaaS事業の先行投資の負担増や、優秀なエンジニア等の人材資源の流出などはリスクとして挙げられる。

KPI

KPIには自己資本利益率とフリーキャッシュフローの2つが挙げられる。
①自己資本利益率:19.9%(2020年9月期)
②フリーキャッシュフロー:736百万円(同)

業績

売上高は2016年9月期から2020年9月期の過去5期で約1.4倍に増加、経常利益は約1.7倍に増加。営業CFはプラスを継続、投資CFは2017年9月期を除いてマイナスを継続。財務CFは2020年9月期を除いてマイナスが続いた。自己資本比率は2020年9月期で42.1%と、新型コロナ流行の長期化に備えて借入を実施したため前期の79.2%から悪化。