7094 NexToneの業績について考察してみた

7094 NexToneの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 2,402 313 13.03%
FY2024.Q1 2023.06 2,234 214 9.58%
FY2024.Q2 2023.09 2,203 225 10.21%
FY2024.Q3 2023.12 4,307 77 1.79%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2020.Q4 2020.03 1,164 53 4.55%
FY2021.Q1 2020.06 1,294 121 9.35%
FY2021.Q2 2020.09 1,350 96 7.11%
FY2021.Q3 2020.12 1,866 184 9.86%
FY2021.Q4 2021.03 1,612 138 8.56%
FY2022.Q1 2021.06 1,696 144 8.49%
FY2022.Q2 2021.09 1,751 154 8.79%
FY2022.Q3 2021.12 2,113 158 7.48%
FY2022.Q4 2022.03 1,929 252 13.06%
FY2023.Q1 2022.06 2,009 96 4.78%
FY2023.Q2 2022.09 2,134 226 10.59%
FY2023.Q3 2022.12 2,269 205 9.03%
FY2023.Q4 2023.03 2,402 313 13.03%
FY2024.Q1 2023.06 2,234 214 9.58%
FY2024.Q2 2023.09 2,203 225 10.21%
FY2024.Q3 2023.12 4,307 77 1.79%

沿革

2001年10月法令改正で民間に著作権管理業務に関する門戸が開放されるのを契機に、2000年9月に同社の前身である株式会社イーライセンスが、2000年12月には前身のもう1社である株式会社ジャパン・ライツ・クリアランスが設立された。2014年6月株式会社イーライセンスがYoutubeにおけるコンテンツマネージメントサービスを開始。2016年2月株式会社イーライセンスを存続会社として両社は合併、商号を株式会社NexToneとした。2020年3月に東証マザーズへ上場。2022年4月市場区分見直しによりグロース市場へ移行。音楽分野における著作権管理等を行う

同社HP HOME>会社情報>NexToneのビジネスフィールド

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合9.94%大手芸能プロダクションの4301アミューズとコンテンツ配信プラットフォームの開発等を行う4295フェイスがともに保有割合7.45%で続き、以降は保有割合5%未満で7860エイベックスの子会社エイベックス・ミュージック・パブリッシング株式会社や株式会社ソニー・ミュージック・エンタテインメントなど取引関係があるとみられる企業や、国内銀行信託口、個人投資家などが並ぶ。尚、大量保有報告書によると、野村證券が5.63%であると報告されている。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、社内取締役は音楽業界や広告関連業界出身者が3名と、4521科研製薬で取締役を務めた渡邊氏で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役CEOコンプライアンス担当の阿南雅浩氏は1962年9
月生まれ
。筑波大学卒業後、1986年4月株式会社CBSソニーグループ(現ソニー・ミュージックエンタテイメント)入社。契約関連部門での要職経験後、2005年4月子会社の株式会社ミュージックレイン代表取締役に就任。その後株式会社ミュージック・オン・ティービー、株式会社エイベックスおよびその子会社にて要職を担当した後に2015年3月同社前身の株式会社イーライセンス入社、取締役に就任。2016年2月より現職を務める
代表取締役COO著作権管理本部管掌の荒川祐二氏は1965年4月生まれ。1992年6月株式会社電通コーテック(現電通テック)入社。株式会社プロマックスを経て、2000年12月同社前身である株式会社ジャパン・ライツ・クリアランスを設立、代表取締役に就任する。合併に伴い、2016年2月より現在の役職を務める

報告セグメント

「著作権等管理事業」、「キャスティング事業」の2報告セグメント、および報告セグメントに含まれないシステム開発・保守運用事業のその他に大別される。2023年3月期第1四半期売上高2,009百万円の構成比は著作権等管理事業97.0%、キャスティング事業2.1%、残りがその他だった。また、著作権等管理事業は著作権等管理業務とデジタルコンテンツディストリビューション業務に大別され、取扱高での各内訳は約1割と約9割。営業利益は著作権等管理事業が利益率17.5%も、キャスティング事業は赤字だった。

事業モデル

著作権等管理業務は、音楽分野における著作物(「詩」および「曲」)の管理を行う。著作権者からの委任に基づき、利用者となるレコードメーカーや楽譜出版社への許諾取次、使用料の徴収を行い、予め定めた料率に従い収受した手数料が同社の売上となる。

2022年3月期 決算説明資料

音楽の著作権は利用実態に応じて下記(1)~(13)の利用形態に区分け管理を行っている。同社では現在(6)以外の管理業務を行っている。

同社HP TOP>著作権管理サービス

2022年3月期の著作権等管理事業取扱高約84.8億円(※売上高には同社受取手数料分のみを計上)のうち、デジタル配信の拡大を受けたインタラクティブ配信が取扱高全体の62%を占めるまでに伸長(前期は55%)、録音権の21%と共に大きなウェイトを占める
デジタルコンテンツディストリビューション業務は、権利者から音楽作品の原盤のライセンス提供を受け、音楽配信サービス業者を通じてユーザーに提供している。
キャスティング事業は、楽曲や映像利用、アーティストの出演、ライブチケットの販促や各種権利処理などのアーティスト、コンテンツホルダーとコンテンツ利用企業をコーディネートする業務を行っている。尚、コンテンツ利用と売上計上には著作権の区分けにより1ヵ月~2四半期のタイムラグが存在する。当事業はコロナ禍の感染拡大防止の観点から一部案件について実施の見送りや規模の縮小などの影響を受けている。
同社売上高の26.3%をGoogle社、21.0%をiTunes社、11.9%がSpotify社で、上位を音楽配信業者が占める。(2022年3月期)
過去10年以上、年間の著作権使用料徴収額は1,100億円前後で推移している。2001年10月の「著作権等管理事業法」施行以降、同業務は広く民間に開放されたが、依然として一般社団法人日本音楽著作権協会(以下、JASRAC)の寡占状態が続いている。サブスク型配信サービスやSNSでの音楽利用等、音楽業界を取り巻く環境は大きく変貌する中、各業務を複合的に組み合わせることで、同社サービスの付加価値向上に努めている

競合他社

国内の音楽著作権管理団体では JASRAC(2021年度の使用料徴収額116,730百万円、会員・信託者数19,489人)の存在が大きい。

連結の範囲

管理業務の受託等を行う株式会社エムシージェイピーとエンタテイメント業界に特化したシステム開発会社株式会社NexToneシステムズの2社が連結子会社に該当する。

強み・弱み

民間企業ならではの新しいサービスや技術に対する対応の早さや、著作権管理事業のみならず、音楽ビジネスをトータルでサポート出来る体制、またJASRACの管理形態は信託契約の形をとっていることに対し、同社は委託契約としており、権利者の意思、裁量が反映しやすい形態であり、権利者が同社を選ぶ理由になることなどが同業のJASRACには無い強み。一方で契約対象者がJASRACは著作者と音楽出版社であるのに対し、同社は音楽出版社のみ外国地域での管理団体との管理契約についてもJASRACに比して出遅れていることが課題。

KPI

同社が重視するKPIは下図の通り。

2022年3月期 決算説明資料

業績

連結財務諸表を作成し始めた2018年3月期から直近の2022年3月期まで売上高は毎期20~40%台の増収を続け、2018年3月期の2,331百万円から2022年3月期は7,489百万円へ成長した。営業利益も高い伸びで連続増益し、同期間中に約7倍以上になった。業容拡大とともに営業CFが増え、フリーCFも増加している。自己資本比率は40%台で推移

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