7317 松屋アールアンドディの業績について考察してみた

7317 松屋アールアンドディの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1982年8月福井県にて縫製機械の製造・販売等を目的として、松屋縫製株式会社設立。1994年5月株式会社松屋アールアンドディに商号変更。2001年2月血圧計腕帯(縫製品)の製造を開始。2004年12月、縫製品事業における製造・販売子会社を中国大連に設立。以降、ベトナム、ミャンマーに製造拠点となる現地法人を設立。2020年4月東証マザーズに上場。現在は縫製自動機の開発・販売および縫製品の製造を行う

同社HP TOP>事業紹介

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、代表取締役で創業者の後藤秀隆氏で保有割合19.24%。次いで後藤倫啓氏と後藤匡啓氏が各17.32%。5位の資産管理会社とみられるゴトウホールディング株式会社を含め、変更報告書によると2021年5月21日時点の創業家後藤一族が53.46%を占める。ほかには取引先のオムロンヘルスケア株式会社が9.62%を保有するほか、ニューヨークメロン銀行の顧客口座、国内信託銀行信託口などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は7名(社内6名、社外1名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。代表取締役以外の社内取締役はメーカー、銀行、監査法人出身の公認会計士等、様々な経歴を持つ。尚、うち3名は2021年6月に退任、執行役員に就任予定。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長の後藤秀隆氏は1950年1月生まれ。学歴、入社前の経歴は不明。1982年8月に同社の前身松屋縫製機器販売株式会社を設立、以降代表取締役を務める。現在は国内外連結子会社の代表取締役も兼任する。
代表取締役副社長の中野雅史氏は1952年2月生まれ。学歴は不明。1974年4月立石電機株式会社(現オムロン株式会社)入社。2015年6月監査役として同社入社。取締役を経て2020年6月より現職を務める

報告セグメント

「縫製品」、「縫製自動機」の2報告セグメントに大別される。最新本決算期2021年3月期売上高10,401百万円のうち、縫製品が96.5%を占める。営業利益は全額縫製品で計上。縫製品セグメントの営業利益率は11.3%。一方縫製自動機は2期連続赤字。

事業モデル

縫製品は血圧計腕帯、カーシートカバー、エアバック等の受託製造・販売を行う。血圧計腕帯では世界シェア50%を占める。一部は顧客負担で縫製自動機を購入、同社工場内に設置、製造した上で納品を行う縫製自動機は自動安全装置縫合システムやレーザー裁断機の開発・製造・販売を行う。
地域別売上高は日本60%強、ベトナム20%強、中国10%強
主要な顧客は6645オムロン、8015豊田通商、3116トヨタ紡織、8053住友商事など上場企業のグループ会社。特に血圧腕帯の主力販売先であるオムロングループ向け売上が2020年3月期は37.6%を占めた。また2021年3月期より厚生労働省が主要取引先に名を連ねている。新規に開始したアイソレーションガウンの受注で、縫製自動機のラインを一部転用することで対応、売上の16.0%を占めた。
海外にはベトナム、ミャンマーに生産拠点、ベトナムに開発拠点、中国に営業拠点を持つ。
縫製品事業は経済成長を見せているベトナムでの生産委託需要が引き続き強い。また血圧計腕帯も世界での健康志向の高まりから成長が続くことが見込まれる。自動車関連についてもコロナ禍の落ち込みから生産は回復基調にある。一方でアイソレーションガウン等コロナ対策製品は減少すると同社は見込む。今後は需要拡大が見込まれるドローン向けエアバッグやヘルスケア分野向けの業容拡大を目指している

2020年度 決算説明資料

競合他社

主力の血圧計腕帯の縫製に関しては競合不明。エアバッグ縫製ではスウェーデンの自動車パーツメーカー「オートリブ」、タカタの事業を受け継いだ米国の「ジョイソン・セイフティ・システム」などが縫製も行っている模様。

連結の範囲

中国、ベトナム、ミャンマーの海外現地法人および国内で縫製品事業を行うタカハター株式会社の4社が連結子会社に該当する。

強み・弱み

長年アパレル業界で培った自動化ノウハウが強み。縫製自動機は多くの特許を保有し、裁断から縫製まですべての工程を揃えるのは同社のみ縫製製品は顧客からの要求による受注生産や内示に基づいた生産計画をたてるため、在庫リスクが低い。また事業モデルで記載の通り、一部の生産ラインについては顧客負担にて投資を行うため、設備投資未回収リスクも抑えられている。一方で主要顧客の業績、ヘルスケア業界や自動車業界の動向は同社業績に影響を及ぼす。また海外顧客に対する販売は外貨建て取引で行われるため、為替リスクを持つ。

KPI

①血圧計市場規模、オムロンシェア(2015年度市場規模約4,000万台、世界シェア約46%、オムロン調べ)
②自動車販売台数(2019年生産台数9,179万台、国際自動車工業会調べ)
③為替動向(米ドル、ベトナムドン、中国元等)

業績

連結財務諸表を作成し始めた2018年3月期から直近の2021年3月期まで売上高は増収が続き、同期間中売上高は約1.5倍に。経常利益は2019年3月期減益も同期間中約1.7倍になった。業容拡大とともに営業CFが増える一方、投資CFは減少しフリーCFは増加している。既述の通り、顧客企業による生産ライン投資が行われていることが一因と考えられる。自己資本比率は40%台。