9066 日新の業績について考察してみた

9066 日新の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1938年12月神奈川県川崎市にて日新運輸株式会社として設立。1946年3月に日新商事株式会社に、1950年1月には日新運輸倉庫株式会社に商号変更。1950年4月には東証一部上場、現在は東証プライム。1973年12月、米国現地法人を設立して以降、海外展開を進める。1985年10月に現在の株式会社日新へ商号変更。現在は、祖業である国内外(日本・米州・欧州・アジア)にわたる物流事業に加えて、旅行事業、不動産事業を展開する。売上高の半分以上が国際物流の国際複合一貫輸送のパイオニア

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株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合10.41%。続いて、株式会社日本カストディ銀行(信託口)が4.97%を保有する。第3位株主以降は、三菱UFJ銀行(4.97%)、横浜銀行(4.93%)のほか、メガバンク、生保、日新商事株式会社、日新社員持株会などが名を連ねる。また、2022年6月24日に更新されたコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は10名(社内7名、社外4名)、社外4名のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。社外取締役については、大蔵省(現財務省)出身の藤本氏のほか、監査等委員3名が社外取締役となっている。

代表取締役の経歴

代表取締役社長社長執行役員の筒井雅洋氏は1953年2月生まれ。学習院大学卒業後、1975年4月大阪商船三井船舶株式会社入社。1986年7月同社へ転じ、取締役等の要職を歴任。2007年6月より代表取締役副社長に就任、2008年6月より現職を務める
代表取締役専務執行役員の渡邊淳一郎氏は1956年5月生まれ。1981年4月、三和銀行(現在の三菱UFJ銀行)入行。2009年11月同社へ転じ、社内要職を歴任。2020年6月より現職を務める

報告セグメント

「物流事業」、「旅行事業」、「不動産事業」の3報告セグメントに大別される。2022年3月期連結売上高192,699百万円の内部調整前の各割合は、物流事業98.0%、旅行事業1.3%、不動産事業0.7%となり、物流事業がほとんどを占める。地域別の売上高は日本が前年より1割弱低下し6割程度となる一方、アジアが2割弱、他欧州、米国等海外分野で売上高が増加している。営業利益は物流事業で急回復、旅行事業も赤字が継続したが、前年よりも赤字幅を大きく縮小させた

2022年3月期決算説明資料

事業モデル

物流事業は世界各地の同社現地法人、代理店ネットワークを通じて顧客ニーズに合わせた陸運、海運、空運等複数手段を用いる国際複合一貫輸送を展開自動車、危険品、食品物流に重点を置き、主要販売先は7267本田技研工業、5020ENEOSホールディングスなど。横浜・大阪・神戸の各港でのコンテナターミナル事業、京浜・関西中心に30数か所の一般倉庫、冷凍倉庫を保有する倉庫業、陸運・鉄運など様々な輸送手段による国内物流サービス事業を展開している。米国、カナダ、英国、中国、タイ、シンガポール、マレーシアに物流施設を持つ。旅行事業は企業・団体の業務出張等のサポート、不動産事業は京浜地区を中心に商業ビル、商業用地、駐車場の賃貸事業を展開している。

2022年3月期決算説明資料

競合他社

国際物流を手掛ける競合として、9147NIPPON EXPRESSホールディングス(2021年12月期売上高1,763,282百万円)、9375近鉄エクスプレス(単独、2022年3月期売上高211,293百万円)、9301三菱倉庫(2022年3月期売上高257,230百万円)、9068丸全昭和運輸(2022年3月期売上高136,850百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社56社および持分法適用関連会社5社で構成され、NISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A., INC.をはじめとする連結子会社48社、持分法適用関連会社5社が物流事業を担う。他に旅行事業を展開する子会社7社、不動産事業専業の子会社1社等で構成される。

強み・弱み

国際複合一貫輸送業務のパイオニアとして国内外25ヶ国に展開するネットワークが強み。一方で同社が得意とする自動車等の物流は海外市場への依存が高く、各国の経済状況の影響を受けやすい。貨物取扱量の減少を通じて業績に影響を与える可能性がある。また、国内物流ではトラックドライバーの高齢化を背景として人員の確保が難しくなっている。2022年4月よりスタートした第7次中期経営計画の重点施策の一つとして掲げているDXの推進による生産性の向上が進捗するかどうかが重要となってくるだろう。

KPI

2017年3月~2022年3月にかけて実施された第6次中期経営計画では、積極的な設備投資を行い、国内で新たに立ち上がった3つの倉庫や2021年7月稼働予定のロジスティクスセンターの新設など、重点施策である国内収益力の向上に向けた布石が打たれた。2022年4月から始まる第7次中期経営計画では引き続き200億円程度の施設関連への投資計画が予定されているほか、IT・デジタル化の推進などについても50億円程度の投資を見込む。コロナ禍後の貨物取扱量の回復度合いとともに、新たに重点施策として掲げるDXの推進についても注視する必要がある。
①    航空貨物日本発輸出混載取扱物量 33,798トン (前期比+6,977トン)
②    日本発輸出貨物業界シェア 2.93%(前期比▲0.15%)
③    航空貨物日本着輸入混載取扱物量 48,278トン (前期比▲2,185トン)
④    日本着輸入貨物業界シェア2.26%(前期比▲0.16%)
⑤    設備投資の動向

2022年3月期決算説明資料(資料集)

業績

2015年3月期から2020年3月期の連結売上高は概ね200,000百万円前後で推移。しかし売上高の28%前後を占めていた旅行事業がコロナ禍の渡航制限の影響を大きく受け減収となったことが響き、2021年3月期売上高は前期比▲21.0%の155,915百万円まで落ち込んだ。2022年3月期は192,699百万円と依然としてコロナ禍前の水準には届かないものの、回復して着ることが確認できる。同社は旅行事業のコスト削減策を示しており、2022年3月期も赤字が継続したが、赤字幅はコロナ禍が徐々に落ち着く中で縮小している。2021年3月期にマイナスに落ち込んだフリーCFも、営業活動によるCFが大きく改善し、プラスの水準まで回復。自己資本比率は40%台後半を維持。

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