9066 日新の業績について考察してみた

9066 日新の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1938年12月神奈川県にて日新運輸株式会社として設立。1946年3月に日新商事株式会社に、1950年1月には日新運輸倉庫株式会社に商号変更。1950年4月には東証一部上場。1973年12月、米国現地法人を設立して以降、海外展開を進める。1985年10月に現在の株式会社日新へ商号変更。国内外にわたる物流事業、旅行事業、不動産事業を展開する。

同社HP>株主・投資家情報>経営方針>日新グループのビジネス

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合5.39%。三菱UFJ銀行が5.02%で続き、以降は5%以下で、メガバンク、信託銀行、国内銀行信託口、地銀、生保、日新商事株式会社、日新社員持株会が名を連ねる。また、2021年4月1日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は11名(社内7名、社外4名)、社外4名のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表取締役以外の社内取締役全員がプロパー出身者である。なお、2021年6月の株主総会において、社内取締役2名の任期満了による退任で純減する旨が既に開示されている。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長 社長執行役員の筒井雅洋氏は1953年2月生まれ。学習院大学卒業後、1975年4月大阪商船三井船舶株式会社入社。1986年7月同社へ転じ、取締役等の要職を歴任。2007年6月より代表取締役副社長に就任、2008年6月より現職を務める。
代表取締役専務執行役員の渡邊淳一郎氏は1956年5月生まれ。1981年4月、三和銀行(現在の三菱UFJ銀行)入行。2009年11月同社へ転じ、社内要職を歴任。2020年6月より現職を務める。

報告セグメント

「物流事業」、「旅行事業」、「不動産事業」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期連結売上高155,915百万円の内部調整前の各割合は、物流事業96.5%、旅行事業2.7%、不動産事業0.7%。地域別の売上高は日本が7割弱、アジアが2割強、他欧州、米国等で売上計上されている。営業利益は物流事業、不動産事業が黒字、旅行事業が赤字だった。物流事業における海外は、売上高50,045百万円、営業利益2,196百万円と、利益面では物流事業の国内の営業利益1,888百万円を上回っており、2021年3月期において最も稼いだ事業であった。

事業モデル

物流事業は世界各地の同社現地法人、代理店ネットワークを通じて顧客ニーズに合わせた陸運、海運、空運等複数手段を用いる国際複合一貫輸送を展開。自動車、危険品、食品物流に重点を置き、主要販売先は7267本田技研工業、ENEOS株式会社など。横浜・大阪・神戸の各港でのコンテナターミナル事業、京浜・関西中心に30数か所の一般倉庫、冷凍倉庫を保有する倉庫業、陸運・鉄運など様々な輸送手段による国内物流サービス事業を展開している。米国、カナダ、英国、中国、タイ、シンガポール、マレーシアに物流施設を持つ。旅行事業は起業・団体の業務出張等のサポート、不動産事業は京浜地区を中心に商業ビル、商業用地、駐車場の賃貸事業を展開している。

2021年3月期決算説明資料(補足資料)

競合他社

国際物流を手掛ける競合として、9062日本通運(2021年3月期売上高2,079,195百万円)、9375近鉄エクスプレス(同609,110百万円)、9301三菱倉庫(同213,729百万円)、9068丸全昭和運輸(同121,136百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社54社および持分法適用関連会社5社で構成され、NISSIN INTERNATIONAL RANSPORT U.S.A., INC.をはじめとする連結子会社48社、持分法適用関連会社5社が物流事業を担う。他に旅行事業を展開する子会社5社、不動産事業専業の子会社1社等で構成される。

強み・弱み

国際複合一貫輸送業務のパイオニアとして国内外25ヶ国に展開するネットワークが強み。一方で同社が得意とする自動車等の物流は海外市場への依存が高く、各国の経済状況の影響を受けやすい。貨物取扱量の減少を通じて業績に影響を与える可能性がある。また国内物流ではトラックドライバーの高齢化を背景として人員の確保が難しくなっている。

KPI

下記の①~③のようなKPIに加えて、第6次中期経営計画に基づき、積極的な設備投資を行っており、国内で新たに立ち上がった3つの倉庫や2021年7月稼働予定のロジスティクスセンターの新設など、償却費用の増加が見込まれるため、設備投資の動向にも注意が必要である。
①貨物取扱量(2021年3月期航空貨物871,780トン)
②同社取扱い貨物取扱量、シェア(2021年3月期航空貨物26,821トン、シェア30.8%)
③為替(米ドル、ユーロ、ポンド等)
④設備投資の動向

2021年3月期決算説明資料(補足資料)

業績

2015年3月期から2020年3月期の連結売上高は概ね200,000百万円前後。しかし売上高の28%前後を占めていた旅行事業がコロナ禍の渡航制限の影響を大きく受け減収となったことから、2021年3月期売上高は155,915百万円だった。同社は旅行事業のコスト削減策を示しており、今後は規模を縮小していくものとみられる。フリーCFはプラスを維持していたが、2021年3月期は売上債権の増加等による営業CFの減少からマイナスとなった。恒常的に、物流センターや倉庫などの設備投資を行っており投資CFはマイナスである。自己資本比率は40%台後半を維持。