7867 タカラトミーの業績について考察してみた

7867 タカラトミーの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 64,173 9,254 14.42%
FY2024.Q4 2024.03 48,075 1,551 3.23%
FY2025.Q1 2024.06 53,586 4,157 7.76%
FY2025.Q2 2024.09 67,123 8,204 12.22%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 35,954 -2,536 -7.05%
FY2018.Q1 2017.06 38,487 1,835 4.77%
FY2018.Q2 2017.09 49,488 4,737 9.57%
FY2018.Q3 2017.12 53,102 7,142 13.45%
FY2018.Q4 2018.03 36,289 -515 -1.42%
FY2019.Q1 2018.06 38,315 1,671 4.36%
FY2019.Q2 2018.09 50,810 5,401 10.63%
FY2019.Q3 2018.12 52,511 8,029 15.29%
FY2019.Q4 2019.03 35,217 -694 -1.97%
FY2020.Q1 2019.06 35,288 555 1.57%
FY2020.Q2 2019.09 47,804 5,271 11.03%
FY2020.Q3 2019.12 48,885 6,376 13.04%
FY2020.Q4 2020.03 32,860 -1,519 -4.62%
FY2021.Q1 2020.06 26,809 -583 -2.17%
FY2021.Q2 2020.09 36,348 2,422 6.66%
FY2021.Q3 2020.12 47,358 6,033 12.74%
FY2021.Q4 2021.03 30,703 -793 -2.58%
FY2022.Q1 2021.06 35,058 2,148 6.13%
FY2022.Q2 2021.09 41,956 3,787 9.03%
FY2022.Q3 2021.12 54,198 7,477 13.8%
FY2022.Q4 2022.03 34,236 -1,068 -3.12%
FY2023.Q1 2022.06 39,552 1,665 4.21%
FY2023.Q2 2022.09 49,483 4,345 8.78%
FY2023.Q3 2022.12 59,725 7,042 11.79%
FY2023.Q4 2023.03 38,537 67 0.17%
FY2024.Q1 2023.06 43,102 2,506 5.81%
FY2024.Q2 2023.09 52,976 5,507 10.4%
FY2024.Q3 2023.12 64,173 9,254 14.42%
FY2024.Q4 2024.03 48,075 1,551 3.23%
FY2025.Q1 2024.06 53,586 4,157 7.76%
FY2025.Q2 2024.09 67,123 8,204 12.22%

沿革

1924年2月に創業者である富山栄市郎が設立した富山玩具製作所を起源とする1953年1月に合資会社三陽玩具製作所を改組して三陽工業株式会社を設立し、大型金属玩具の製造を開始。1961年10月に鉄道玩具「プラレール」を発売。営業部門を分離独立させていた販売子会社富山商事株式会社を株式会社トミー、三陽工業株式会社をトミー工業株式会社へ1963年3月に商号変更。1970年8月にミニカー「トミカ」を発売。1989年3月に販売子会社の株式会社トミーを吸収合併のうえ、株式会社トミーに商号変更。1999年3月に東証二部に上場。2000年3月に東証一部に変更。現在は東証プライム。2006年3月に東京都葛飾区創業で「リカちゃん」人形を主力に女児玩具に強かった株式会社タカラと合併し、株式会社タカラトミーに商号変更。本社は東京都葛飾区。現在では、当社は国内大手の玩具メーカーであり、「プラレール」や「トミカ」等がヒット商品にある

株主構成

2022年3月期有価証券報告書によると2022年3月末時点の大株主は、筆頭株主が日本マスタートラスト信託銀行株式会社が信託口で13.92%、次いで代表取締役会長富山氏と親族が議決権を保有する司不動産株式会社で8.20%。以下は5%未満の保有で、国内外の信託銀行等の信託口や代表取締役会長の富山幹太郎が2.8%などと並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。取締役常務執行役員の富山彰夫氏は創業一族で会長の富山幹太郎氏の長男にあたり26歳で同社に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の富山幹太郎氏は1954年1月生まれ。英国ハル大学を卒業後、1982年7月に同社に入社。1983年5月に取締役、1985年5月に取締役副社長、1986年12月に代表取締役社長、2017年6月に現職に就任した。創業一族出身で3代目社長
代表取締役社長の小島一洋氏は1961年1月生まれ。東京大学教養学部を卒業後、1983年4月に三菱商事株式会社に入社。丸の内キャピタル株式会社を経て、2009年6月に同社の社外取締役に就任。2012年4月に取締役、2012年6月に常務取締役、2017年6月に代表取締役副社長を経て、2018年1月に現職に就任した

報告セグメント

「日本」、「アメリカズ」、「欧州」、「オセアニア」、「アジア」の5セグメントに大別される2022年3月期は売上高1,654億円の内、日本が1,004億円で60.7%、アメリカズが386億円で23.4%、欧州が94億円で5.7%、オセアニアが32億円で1.9%、アジアが131億円で7.9%となっており、日本市場が事業の中心であるものの、海外売上高比率は4割である。
一方で、セグメント利益の約90%以上は日本で計上しており、海外事業の利益貢献が課題。クリスマス、年末年始など特定時期に売上が偏重する傾向にあるため、業績推移の確認時には注意が必要。

2022年3月期決算説明資料

事業モデル

国内老舗玩具メーカーとして、「プラレール」や「トミカ」等の知名度を有する定番玩具から、ポケモンやアナと雪の女王といったアニメや映画とコラボした玩具まで幅広く取り扱う。130以上の国と地域に事業を展開。販売地域をセグメント別に5地域に分け、地域毎の顧客ニーズに合わせたマーケティングを実施。開発・生産は日本とアジア、企画・製造は日本と米国・欧州、販売は全5地域に連結子会社を持つ。
知名度の高いロングセラーのブランドや商品が業績を下支えする一方で、継続的な研究開発及び商品企画やリニューアルによって、ヒットコンテンツを生み出し続けることで業績を積み上げる必要がある
国内玩具市場が伸び悩む中で、成長するための新顧客へのアプローチとして、より年齢が高い層を意識した「ハイターゲット層への拡大」、地球規模での「グローバル市場への拡大」に注力している。海外売上比率は2022年3月期で39.3%

2022年3月期決算説明資料

競合他社

玩具メーカーの競合として、より事業規模が大きい7832バンダイナムコホールディングス(2022年3月期売上高889,270百万円)や、ゲーム事業のほか、スポーツ施設事業なども手がける9766コナミグループ(2022年3月期売上高299,522百万円)が挙げられる。また、今後の市場成長を牽引するとして同社も注目するアジア市場では、中国の玩具メーカー大手(奥廸玩具(AULDEY)や高楽(GOLDLOK TOYS))のような新興企業の動向にも注意が必要だろう。

連結の範囲

同社グループは、同社のほか、連結子会社34社と関連会社3社から構成される。主要な連結子会社には玩具の卸販売やロジスティクスの管理・運営を行うタカラトミーマーケティングと、ショップやイベントの運営を行うタカラトミーフィールドテック北米・欧州・オセアニアなど主に海外市場で事業を展開するTOMY International, Inc. が挙げられる。

強み・弱み

強みとして、人気ブランドの知名度が挙げられる。代表商品として国内では、鉄道玩具「プラレール」やミニカー「トミカ」、着せ替えできる「リカちゃん人形」が高い知名度を有し、海外では「トランスフォーマー」、「ベイブレード」、「Lamaze」などの人気ブランドがある。確立したブランド力を生かして、トミカでは日用品や雑貨、書籍、アパレル等の周辺分野に進出。玩具製品以外の収入源を増やすべく注力しているが、大きな環境変化を迎えた玩具業界において、グローバルな経営基盤を活用した自社IP(知的財産)の活用や新たなIP獲得の出遅れ、デジタルコンテンツや新たなプラットフォームへの対応、乳幼児向け玩具への進出などの重点戦略で成果を出せるかはリスクとなる。また、少子化の進む国内市場縮小、特定コンテンツの成否による業績変動リスク、海外事業展開する上での為替リスク、原油や金属素材などの原材料の価格変動リスクなども挙げられる。

KPI

KPIとしては、今後の業績動向を大きく左右する海外売上比率と地域別売上高が挙げられる。
①    海外売上高比率 39.3% (前期比+1.1%)
②    地域別売上高 下表

2022年3月期決算説明資料

業績

2020年3月期から2021年3月期にかけて、ヒット商品の創出に恵まれなかったほか、新型コロナ流行の影響を受けたこともあり、減収減益決算となった。ただ、2022年3月期は引き続きコロナ禍の影響は受けつつも、ガチャやアミューズメントマシンの人気が好調だったことなどから、売上高(前期比+24,230百万円)、経常利益(前期比+5,496百万円)ともに増収増益となった。営業CFはプラスを継続。投資CFはマイナスを継続。財務CFは2021年3月期にプラスであったが、2022年3月期は再びマイナスに転じた。自己資本比率は2022年3月期で50.5%。

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