8242 エイチ・ツー・オー  リテイリングの業績について考察してみた

8242 エイチ・ツー・オー リテイリングの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q2 2022.09 155,073 450 0.29%
FY2023.Q3 2022.12 170,471 8,367 4.91%
FY2023.Q4 2023.03 153,193 1,907 1.24%
FY2024.Q1 2023.06 154,813 4,758 3.07%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 220,623 5,407 2.45%
FY2018.Q1 2017.06 212,319 3,601 1.7%
FY2018.Q2 2017.09 219,681 3,377 1.54%
FY2018.Q3 2017.12 257,206 10,997 4.28%
FY2018.Q4 2018.03 232,665 4,790 2.06%
FY2019.Q1 2018.06 219,282 3,360 1.53%
FY2019.Q2 2018.09 225,126 2,740 1.22%
FY2019.Q3 2018.12 255,998 10,177 3.98%
FY2019.Q4 2019.03 226,466 4,145 1.83%
FY2020.Q1 2019.06 217,124 2,854 1.31%
FY2020.Q2 2019.09 233,586 3,466 1.48%
FY2020.Q3 2019.12 243,266 5,571 2.29%
FY2020.Q4 2020.03 203,313 -720 -0.35%
FY2021.Q1 2020.06 145,904 -3,293 -2.26%
FY2021.Q2 2020.09 189,710 -1,112 -0.59%
FY2021.Q3 2020.12 215,954 3,397 1.57%
FY2021.Q4 2021.03 187,630 -3,430 -1.83%
FY2022.Q1 2021.06 114,285 -2,044 -1.79%
FY2022.Q2 2021.09 122,735 -3,104 -2.53%
FY2022.Q3 2021.12 134,283 5,868 4.37%
FY2022.Q4 2022.03 147,144 20 0.01%
FY2023.Q1 2022.06 149,352 664 0.44%
FY2023.Q2 2022.09 155,073 450 0.29%
FY2023.Q3 2022.12 170,471 8,367 4.91%
FY2023.Q4 2023.03 153,193 1,907 1.24%
FY2024.Q1 2023.06 154,813 4,758 3.07%

沿革

2008年に株式会社阪急百貨店と株式会社阪神百貨店が合併し、商号変更した株式会社阪急阪神百貨店を傘下に擁する持株会社。なお、9042阪急阪神ホールディングス、エイチ・ツー・オー リテイリング(同社)、9602東宝を中心に構成される企業グループ「阪急阪神東宝グループ」の一員である。
1929年4月阪神急行電鉄(現阪急阪神ホールディングス株式会社)の百貨店部門が大阪梅田で開業。1947年3月京阪神急行電鉄株式会社(現阪急阪神ホールディングス株式会社)の百貨店部門が分離独立し、株式会社阪急百貨店を設立。同年4月株式会社阪急百貨店が開業し、1949年5月大証一部へ、1962年9月には東証一部へ上場。1953年11月東京大井店(大井阪急)開業、1956年5月数寄屋橋阪急開業。1984年有楽町阪急開業。2007年10月株式交換により株式会社阪神百貨店を子会社化し、経営統合し、エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社へ社名変更、持株会社体制へ移行。2011年9月株式取得によりそば・うどんのチェーン店を展開する9931家族亭を子会社化、なお2020年には同事業を売却。2014年6月株式交換により、近畿地方でスーパーマーケットチェーンを展開するイズミヤ株式会社を子会社化し、経営統合。
社名の由来は、「エイチ・ツー・オー」は地球環境と人にとってなくてはならない「水(H2O)」を意味することにある。本社は、大阪府、百貨店事業、食品事業、不動産事業などを同社、子会社55社及び関連会社7社で展開する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、阪神電気鉄道株式会社が11.93%を保有。次いで阪急阪神ホールディングス株式会社8.36%、株式会社高島屋5.06%。5%未満の保有で、日本マスタートラスト信託銀行信託口、SMBC日興証券株式会社、株式会社日本カストディ銀行等の金融機関、従業員持株会が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、取締役の社内1名と社外4名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表取締役を除く3名の社内取締役のうち取締役会長の鈴木篤氏は1980年4月に阪急百貨店へ入社、代表取締役社長を経て、2020年4月に現職に就任。取締役の角和夫氏は阪急電鉄株式会社入社後、取締役、代表取締役社長などを経て、2007年10月に現職に就任、2017年6月より阪急阪神ホールディングス代表取締役会長グループCEOに就任した。取締役会長の鈴木氏と取締役常勤監査等委員の小西敏允氏はプロパー社員。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の荒木直也氏は1957年5月生まれ。京都大学を卒業後、1981年4月に株式会社阪急百貨店へ入社。2010年6月株式会社阪急阪神百貨店取締役、2012年3月同代表取締役社長、同年6月同社代表取締役を経て、2020年4月より現職に就任。株式会社阪急阪神百貨店代表取締役会長も兼任。
代表取締役副社長の林克弘氏は1958年1月生まれ。1982年4月に株式会社阪急百貨店へ入社。2015年同社代表取締役専務執行役員を経て、2017年より現職へ就任した。株式会社エイチ・ツー・オー食品グループ代表取締役社長も兼任。
代表取締役の山口俊比古氏は1963年8月生まれ。神戸商科大学を卒業後、1986年4月に阪急百貨店へ入社。2018年4月株式会社阪急阪神百貨店取締役執行役員を経て、2020年同代表取締役社長(現職)に就任。同年6月同社代表取締役に就任した。株式会社阪急阪神百貨店代表取締役社長も兼任。

報告セグメント

「百貨店事業」、「食品事業」、「不動産事業」及び「その他事業」の4報告セグメントに大別され、2021年3月期の売上高7,392億円の構成比は百貨店事業47.0%、食品事業38.0%、不動産事業8.5%、その他事業6.3%である。
セグメントの損益は、百貨店事業が▲19億円、食品事業が41億円、不動産事業が▲1億円、その他事業が▲26億円、なお調整額が▲39億円で、連結損益計算書上の営業利益は▲44億円であった。2021年の年明け以降も2度目の緊急事態宣言が発令されるなどコロナ影響が継続し大幅な減収減益により、コロナ関連や減損損失などの特別損失を計上している。

事業モデル

百貨店事業は、株式会社阪急阪神百貨店が、阪急百貨店を関西地区で8店舗、関東地区で3店舗、九州地区で1店舗を、阪神百貨店を関西地区で4店舗展開する。なお、2021年4月に中国の浙江省寧波市に「寧波阪急」を開業。体験型“デパートメントモール”として百貨店とSC機能を併せ持ち、富裕層やアッパー層に向けたビジネスを展開。
食品事業は、株式会社阪神オアシスが、製造・加工から食品スーパーでの販売まで一連の事業を京阪神エリアにて78店舗を運営。イズミヤ株式会社が、関西エリアでスーパーマーケット業を105店舗展開する。
不動産事業は、株式会社阪急商業開発がショッピングセンターの開発を、株式会社エイチ・ツー・オーアセットマネジメントが、不動産賃貸管理業を行う。
その他事業では、ビジネスホテルやコンビニエンスストアなど、小売を中心に様々な業態開発に取り組む。
日本の小売マーケットは少子高齢化や人口減少などの構造的変化により縮小傾向にあるが、リアル店舗とデジタルを融合したビジネスモデル構築を進める。また新型コロナウイルス感染拡大に伴い、食品スーパーは堅調であるが、各事業とも厳しい状況下にあり、販管費を削減するなどにより影響緩和を図る。

2021年3月期 決算説明資料

競合他社

8233高島屋(2021年2月期営業収益6,808億円)、大丸松坂屋百貨店を展開する3086J.フロントリテイリング(2021年2月期営業収益3,190億円)、3099三越伊勢丹 HD(2021年3月期売上高8,160億円)、そごう・西武を展開する3382セブン&アイ・HD(2021年2月期営業収益57,667億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は55社、持分法適用関連会社7社と多い。このうち主要な子会社は、百貨店事業の株式会社阪急阪神百貨店、食品事業の株式会社阪急オアシス、イズミヤ株式会社である。持分法適用関連会社には2021年4月に開業した中国・寧波阪急の運営に関わる寧波開発株式会社がある。

同社HP TOP>企業情報阪急阪神東宝グループ

強み・弱み

関西エリアにおいて多くの顧客接点を持ち、コア事業である百貨店を中心とした「都市大型商業」と食品スーパーを中心とした「食品事業」併せ持つ点が強み。リアル店舗とデジタルを融合した新しいビジネスモデル構築を図り、関西ドミナント戦略を進める。少子高齢化、消費構造の二極化、業態を超えた競争の激化などの変化に影響を受けやすい点が弱み。

KPI

2021年度はコロナ禍の影響を受けているが、以下がKPIとなりうる。
店舗数
来店客数
③百貨店事業における免税売上(前年比12%)
EC会員数(前年比186%)

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、コロナ影響を受けた2021年3月期を除き、売上高は897,289百万円から926,872百万円、経常利益は11,831百万円から24,272百万円と、増収増益基調であった。2021年3月期は営業損失4,438百万円と赤字決算となった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。自己資本率は過去40%台で推移、2021年3月期は36.4%。

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