4395 アクリートの業績について考察してみた

4395 アクリートの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 1,454 187 12.86%
FY2023.Q2 2023.06 1,299 58 4.46%
FY2023.Q3 2023.09 1,218 16 1.31%
FY2023.Q4 2023.12 1,462 49 3.35%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2018.Q2 2018.06 308 54 17.53%
FY2018.Q3 2018.09 302 58 19.21%
FY2018.Q4 2018.12 357 84 23.53%
FY2019.Q1 2019.03 358 72 20.11%
FY2019.Q2 2019.06 328 48 14.63%
FY2019.Q3 2019.09 331 53 16.01%
FY2019.Q4 2019.12 396 81 20.45%
FY2020.Q1 2020.03 359 70 19.5%
FY2020.Q2 2020.06 351 58 16.52%
FY2020.Q3 2020.09 465 88 18.92%
FY2020.Q4 2020.12 556 128 23.02%
FY2021.Q1 2021.03 605 124 20.5%
FY2021.Q2 2021.06 641 111 17.32%
FY2021.Q3 2021.09 719 100 13.91%
FY2021.Q4 2021.12 868 130 14.98%
FY2022.Q1 2022.03 1,251 329 26.3%
FY2022.Q2 2022.06 1,482 245 16.53%
FY2022.Q3 2022.09 1,882 433 23.01%
FY2022.Q4 2022.12 1,575 165 10.48%
FY2023.Q1 2023.03 1,454 187 12.86%
FY2023.Q2 2023.06 1,299 58 4.46%
FY2023.Q3 2023.09 1,218 16 1.31%
FY2023.Q4 2023.12 1,462 49 3.35%

沿革

2014年5月※インディゴ株式会社のSMS配信サービス事業を会社分割し、株式会社アクリートを設立。同年9月海外SMSアグリゲーター向けにSMPP国際ゲートウェイサービスを開始。2015年3月配信したSMSに対する返信が可能となる双方向SMSサービスを開始。2018年7月東証マザーズへ上場。現在は東証グロース。2020年11月米Forbesのアジア版「Forbes Asia」が選ぶ「Asia’s 200 Best Under A Billion」を初受賞。大量かつ安定したSMS配信を行うことができる大規模配信プラットフォームで、企業から個人向けのSMS配信の代行事業を展開する。
※インディゴ株式会社は9984ソフトバンクグループの孫正義会長の実弟・孫泰蔵氏が東京大学在学中の1996年に創業したベンチャー企業。2003年よりSMS配信サービスを提供、2010年より法人向けSMS配信事業を開始。

株主構成

有価証券報告書によると2021年12月末時点の筆頭株主は、同社分割法人であるインディゴ株式会社の取締役4名が組合員を務めるBANA1号有限責任事業組合で28.25%。以降は保有割合5%未満で短資会社、国内外の証券会社、信託銀行の信託口などが続く。外国人保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、うち監査等委員は3名(全員社外)、監査等委員設置会社である。専務取締役の池田祐太氏は、株式会社トーメン(現8015豊田通商)入社後、アダムネット株式会社(現2665三井情報)、株式会社NTTドコモを経て、2018年6月池田祐太行政書士事務所を開業後、2019年3月に同社に入社。取締役サービスデベロップメント部長の上川佳一氏はインディゴ株式会社などを経て2015年2月に同社に入社。取締役セールス&パートナーシップ部長の浦田泰裕氏は株式会社NTTドコモを経て2019年8月に同社に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の田中優成氏は1968年5月生まれ。1993年立命館大学国際関係学部を卒業後、トーメン(8015豊田通商)入社。その後2007年5月インディゴ株式会社入社。2014年5月同社取締役、一時辞任するも2018年3月同社専務取締役を経て、2019年1月より現職に就任。

報告セグメント

「メッセージングサービス事業」の単一セグメント。サービスはSMS配信サービスとメール配信サービスに大別されるが、売上高、利益の内訳は開示されていない。

事業モデル

企業から個人向けにSMS配信を代行するサービス(SMS配信サービス)を直接販売、販社・代理店経由もしくは海外SMSアグリゲーター向けのSMPP国際ゲートウェイサービス通じて提供する。2021年12月期は海外SMS売上高の比率が50.9%だった。SMS配信サービスの用途は、会員登録、端末変更、パスワード配信などを行う際の携帯電話番号を用いた個人認証手段、採用情報、期限告知、支払催促、予約確認、WEBへの誘導、問合せ対応、キャンペーン、CRMなどのマーケティング・コミュケーション手段、IoT分野でのSIMを利用した遠隔操作手段など多岐にわたるが、企業から個人への一方向のSMS配信だけではなく、個人からの返信が可能な双方向サービス、電話自動対応により顧客目的ごとに異なるSMS配信を行うIVRサービスも行う。同社においては配信数の47%を個人認証が占める(2021年12月期)。電話や郵便・Eメール・FAXに比して不通率が低く、即時性、閲覧率が高いことから、各企業が様々な用途で利用を進めている。顧客は下図の通り情報通信サービスの比率が高いものの、今後金融・保険や公共サービス分野が伸びてくるものと同社は考えている。

2021年12月期決算説明会資料

また、2021年9月にメール配信サービスを展開する株式会社テクノミックスを子会社化した。学校やPTA、保護者間の連絡ツールとなる「学校安心メール」や住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システムとして利用される「自治体安心メール」を提供しており、全国4,400を超える団体・施設で採用されている。

事業計画及び成長可能性に関する事項

競合他社

SMS配信サービスは同社および競合7社で市場の98.7%を占めている(ミックITリポート)。上場企業では4476AI CROSS(2021年12月期売上高2,422百万円)、4372ユミルリンク(同1,929百万円)、4193ファブリカコミュニケーションズ(2022年3月期売上高5,858百万円)のほか、6701NEC(同3,014,095百万円)が競合となる。非上場企業ではNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が高いシェアをもつ。

連結の範囲

2021年9月に子会社化したコンテンツプロバイダーの株式会社テクノミックス、2021年10月に子会社化したSMS配信事業を行う株式会社Xoxzo、ベトナム現地法人でSMS配信事業を行うVietGuys J.S.C.の3社が該当する。

強み・弱み

日本初携帯電話番号認証を開始するなどSMSマーケットのパイオニアとして経験やノウハウをもち、国内最大規模のSMS取扱実績をもつことが強み。本人認証とサービス業においてベンダー別売上金額がいずれもシェア1位(出典:ITR「ITR Mark,et View: ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子契約サービス市場2020」SMS送信サービス市場)、海外法人A2P-SMS直収配信数1位(ミックITリポート2020年11月号:デロイトトーマツミック経済研究所株式会社)。またSMS配信システムの品質の高さや豊富な導入実例ももつ。一方で携帯電話事業者によるSMSの送信単価の引き上げなどなんらかの契約変更があった場合や拡大する市場への新規参入企業の増加の可能性などが懸念点である。

KPI

配信数や契約企業数などがKPIとなるが開示はない。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、ニューノーマルと呼ばれる、社会・経済活動の大きな変容に伴い、ITサービス系の二段階認証が伸長しており、市場規模推移がKPIのかわりとなり得る。
①A2P-SMS市場規模:2025年予測7,195.7百万通/年、2020-25年のCAGR40%以上

事業計画及び成長可能性に関する事項

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2017年12月期から2021年12月期までの5年間で売上高約3倍、営業利益は2.7倍に成長。営業利益率は2021年12月期に事業拡大に伴う人員増や研究開発費の増加等によりやや低下したが10%台後半を維持。フリーCFは2020年12月期までプラスだったが、2021年12月期は子会社株式取得等によりマイナス。自己資本比率は2021年12月期末64.3%。有利子負債の増加等により前期末比▲13.4%。

関連ありそうな記事