6082 ライドオンエクスプレスホールディングスの業績について考察してみた

6082 ライドオンエクスプレスホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 6,505 195 3%
FY2024.Q4 2024.03 6,439 554 8.6%
FY2025.Q1 2024.06 5,185 -90 -1.74%
FY2025.Q2 2024.09 5,472 82 1.5%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 4,604 212 4.6%
FY2018.Q1 2017.06 4,101 115 2.8%
FY2018.Q2 2017.09 4,435 178 4.01%
FY2018.Q3 2017.12 5,465 338 6.18%
FY2018.Q4 2018.03 5,139 372 7.24%
FY2019.Q1 2018.06 4,551 42 0.92%
FY2019.Q2 2018.09 4,865 268 5.51%
FY2019.Q3 2018.12 5,707 387 6.78%
FY2019.Q4 2019.03 5,380 339 6.3%
FY2020.Q1 2019.06 4,784 267 5.58%
FY2020.Q2 2019.09 4,960 247 4.98%
FY2020.Q3 2019.12 5,805 478 8.23%
FY2020.Q4 2020.03 5,485 387 7.06%
FY2021.Q1 2020.06 6,280 684 10.89%
FY2021.Q2 2020.09 6,067 582 9.59%
FY2021.Q3 2020.12 6,641 548 8.25%
FY2021.Q4 2021.03 6,396 605 9.46%
FY2022.Q1 2021.06 5,956 459 7.71%
FY2022.Q2 2021.09 6,408 713 11.13%
FY2022.Q3 2021.12 6,787 375 5.53%
FY2022.Q4 2022.03 6,552 396 6.04%
FY2023.Q1 2022.06 5,866 191 3.26%
FY2023.Q2 2022.09 6,253 278 4.45%
FY2023.Q3 2022.12 6,791 286 4.21%
FY2023.Q4 2023.03 6,443 496 7.7%
FY2024.Q1 2023.06 5,461 53 0.97%
FY2024.Q2 2023.09 5,590 265 4.74%
FY2024.Q3 2023.12 6,505 195 3%
FY2024.Q4 2024.03 6,439 554 8.6%
FY2025.Q1 2024.06 5,185 -90 -1.74%
FY2025.Q2 2024.09 5,472 82 1.5%

沿革

1992年4月、現代表取締役社長 江見朗氏と、現取締役副社長 松島和之氏が岐阜県にサンドイッチ店「サブマリン」を開業。1995年に法人化、株式会社サブマリンを設立した。1998年、宅配ずし事業に参入し、名古屋地区を中心にフランチャイズ加盟店を募集。続いて宅配ずし「銀のさら」の商標を取得した。2001年7月フランチャイズ加盟店募集の全国展開を目的として株式会社レストラン・エクスプレスを東京都に設立。宅配釜飯や宅配中華とサービス領域を広げ、2011年8月に500店舗を達成。同社は宅配釜飯のパイオニア といえる。2013年4月、株式会社ライドオン・エクスプレスへ商号変更をおこなう。また同年12月、東証マザーズへと上場し、2015年11月には東証一部へ変更。2017年10月、現在の社名である株式会社ライドオンエクスプレスホールディングスへ商号変更。持株会社体制へと移行した。

株主構成

2020年9月末時点の保有比率は代表取締役社長の江見朗氏の資産管理会社とみられる株式会社エミA&Yが19.88%で筆頭株主、なお同氏は個人でも7.13%を保有し、併せて27.00%を保有する。2021年2月提出の大量保有報告書より三井住友DSアセットマネジメント株式会社が5.37%を保有するものとみられる。以下、保有割合5%未満で信託銀行の信託口、証券会社などが並ぶ。なお外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は9名(社内7名、社外2名)、社内1名と社外2名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役副社長の渡邊一正氏はリクルートコスモス、リクルートキャリアとキャリアを積みながら独学でベンチャーのIPO支援などをおこなう。その後ネクストジャパンではCFOとして株式公開を実現。上場後には代表取締役社長に就任した。2007年に退任しベンチャーに対するコンサルティングや投資に従事。2010年8月より同社に専務取締役 兼 CFOとして入社し、2013年には同社をIPOさせ自身2度目のIPOとなった。2016年4月より取締役副社長に就任。なお、同社に勤務する傍ら、2015年にベンチャー投資会社の株式会社エースタートを設立し、代表取締役CEOも務めている。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の江見朗氏は1960年9月生まれ。高校を卒業後、ロサンゼルスへ渡米。寿司職人として7年間働く。帰国後、現取締役副社長の松島和之氏と出会い、共同でサンドイッチ店を開業。1995年に同社の前身となる株式会社サブマリンを設立して以来、代表取締役社長を務める。

報告セグメント

「宅配事業」の単一セグメント。宅配寿司「銀のさら」を中心に、宅配御膳「釜寅」、「銀のさら」の妹ブランドである宅配寿司「すし上等!」と3つのブランドを展開している。ほか提携レストランの宅配代行ブランド「ファインダイン」を運営。2020年3月期の直営店売上高10,401百万円の構成は「銀のさら」が7,396百万円で71.1%を占め、「釜寅」が1,624百万円で15.6%、「すし上等!」が841百万円で8.0%、ファインダインは493百万円で4.7%を占める。

事業モデル

宅配寿司「銀のさら」「すし上等!」、宅配御膳「釜寅」を直営およびフランチャイズにてチェーン展開。直営店では三菱食品株式会社などから食材を仕入れ、店舗で調理して調理済食材を宅配にて顧客に提供する。フランチャイズ店舗については、契約にもとづき加盟企業に対して運営ノウハウや商標、食材の販売をおこなう。対価としてロイヤルティ収入、加盟金収入、食材販売収入などを受領する。
「ファインダイン」は直営のみの展開。宅配機能を持たない提携レストランの宅配を代行するサービス。収入は提携レストランからのシステム利用料、注文ごとの代行手数料、顧客からの配達手数料で構成される。
2021年3月期第2四半期の決算資料によると、寿司市場1.7兆円のうち宅配寿司は593億円で約3.5%と拡大の余地がある。宅配食市場は高齢化社会の進展、単身世帯や共働き世帯の増加から堅調に推移。足下では新型コロナウイルスの影響で外出自粛、在宅ワークの普及、飲食店の営業縮小などが個人需要の増加につながり、デリバリーの利用機会は今後も拡大が見込まれる。

競合他社

宅配寿司市場のシェアは同社が52.3%でトップ。宅配寿司を手がける企業には「つきじ海賓」を運営する非上場の株式会社サンライズサービス、「寿司ざんまい」を運営する非上場の株式会社ハマサキ・ホールディングなど存在するが、2位以下はシェア10%未満であり、上場企業の競合は見当たらない。宅配釜飯市場では同社がシェア82.1%で寡占状態である。近年「スシロー」を運営する3563FOOD & LIFE COMPANIESや「無添くら寿司」を運営する2695くら寿司など、回転寿司を運営する企業のデリバリー参入が増えており、今後競合となっていく可能性がある。

連結の範囲

株式会社ライドオンエクスプレス、株式会社ライドオンデマンド、ライドオン・エースタート1号投資事業有限責任組合、ライドオン・エースタート2号投資事業有限責任組合の4社が連結子会社に該当する。株式会社ライドオンエクスプレスはフランチャイズの本部機能と、首都圏以外の直営店舗に関する事業を運営する。また株式会社ライドオンデマンドは首都圏の直営店舗および宅配代行の運営に関する事業を営む。

強み・弱み

宅配店舗は顧客の来店がない点が特徴である。この特徴を活かして、同社は「銀のさら」を核に1拠点に複数のブランド出店が可能。単独でも有力な宅配ブランド店舗を同一拠点内に複合化して出店し、店舗設備・物流インフラ・食材・人材・顧客データなどを共有できる点が強み。
宅配食市場は堅調に推移しているものの、需要の高まりから宅配代行サービスは急速な発展を見せており、競争は年々激化している。同社は宅配寿司の市場で圧倒的なシェアを誇るが、大手企業の参入や食品小売業など他業界との価格競争など、今後さらなる競争の加速が懸念される。

KPI

宅配店舗は立地にとらわれず、初期投資も低いという特徴があるため、店舗数は分かりやすいKPIといえる。市場は堅調に推移すると同時に競争も激化しており、売上高および経常利益もKPIとなりうる。なお以下①~③はすべて2021年3月期第3四半期の数値である。
①店舗数:742店舗(前期比 ▲6店舗)
②売上高:18,988百万円(前年同期比 +22.1%)
③経常利益:1,922百万円(前年同期比 +99.6%)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は堅調に増加し17,346百万円から21,034百万円へ21.2%増。一方、経常利益は店舗の買取損などで2018年3月期に一時は964百万円まで減少したが、2020年3月期には1,314百万円まで回復し、5年間で11.3%成長している。自己資本比率は50~60%台を推移。店舗設備を抱えており恒常的に投資CFはマイナス、営業CFは安定してプラス推移である。

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