8050 セイコーホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1881年12月、時計小売、修理を行う服部時計店として創業。1892年より時計製造を開始。1917年10月に会社組織に改め株式会社服部時計店となる。1949年5月に東証に上場。1983年8月株式会社服部セイコーに、1997年7月セイコー株式会社に社名変更。2001年7月にセイコーウォッチ株式会社を設立、ウォッチ事業を分社化し持株会社となる。2007年7月にセイコーホールディングス株式会社に社名変更。現在株式は東証一部に所属し腕時計や電子デバイスの製造販売を行う。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月30日時点の筆頭株主は、創業家服部一族の資産管理会社である三光起業株式会社で保有割合10.7%。服部悦子氏8.7%、服部真二氏5.5%、と服部一族の影響力が強い。次いで日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.1%、以下は保有割合5%以下で第一生命、服部秀生氏、国内銀行信託口などが続く。また2020年8月11日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10 %以上20%未満である。

取締役会

取締役は11名(社内9名、社外2名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は代表取締役1名を除きプロパーもしくは同社子会社出身である。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長兼グループCEOの服部真二氏は1953年1月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1975年4月三菱商事株式会社に入社。1984年7月株式会社精工舎(現在のセイコークロック株式会社およびセイコープレシジョン株式会社)に、2003年6月セイコーウォッチ株式会社に転じそれぞれで代表取締役社長等要職を歴任。2007年6月同社に転じ取締役、副社長、社長を歴任の後、2012年10月より代表取締役会長兼グループCEOを務める。
代表取締役社長の中村吉伸氏は1949年10月生まれ。慶應義塾大学を卒業後、1972年4月株式会社精工舎に入社。セイコープレシジョン株式会社、セイコーウォッチ株式会社、セイコークロック株式会社で要職歴任後、2008年6月同社取締役に就任、2012年10月より代表取締役社長を務める。
尚、2021年6月29日より中村吉伸氏が取締役副会長に就任、新代表取締役社長に現在取締役の高橋修司氏が就任する予定であることが発表されている。高橋修司氏は1957年8月生まれ。早稲田大学卒業後、1980年4月に同社入社。2017年4月より取締役を務めている。

報告セグメント

「ウォッチ事業」、「電子デバイス事業」、「システムソリューション事業」の3報告セグメント、および報告セグメントに含まれないクロック事業などの「その他」で構成される。2021年3月期第3四半期累計期間における売上高145,998百万円のうち、ウォッチ事業が51.9%、電子デバイス事業が21.4%、システムソリューション事業が16.4%、残りがその他だった。同期間の営業利益692百万円であったが、全社費用等控除前の利益はウォッチ事業で4,012百万円、システムソリューション事業で2,570百万円と大部分を計上している。また2020年3月期の地域別売上高は、日本は57.5%、中国が13.6%を占める。

事業モデル

ウォッチ事業は国内外のグループ企業で製造したウォッチを世界に幅広く販売している。部品製造から完成品の組立、調整まで一貫して手がける世界でも数少ないメーカーのひとつ。電圧を加えると正確に振動するクオーツ(水晶)の性質を生かした時計クォーツ時計を日本で最初に開発、腕時計としては世界で最初に発売した。国内小売事業やウォッチ駆動部分(ムーブメント)の販売も行い、子会社のセイコーウォッチ株式会社などで展開する。幅広いブランドをラインナップし、最高級のGrand Seikoとして展開するラインでは数十万円から数百万円の腕時計を扱う。
電子デバイス事業はマイクロ電池や水晶振動子等のメカトロニクスデバイスやインクジェットプリントヘッドの製造販売を行う。医療、情報システム、自動車産業等に用いられている。
システムソリューション事業はソフト・ハードウェアの受託開発や開発支援を行っている。製造造拠点はシンガポール、マレーシア、タイ、中国に持つ。
近年国内で盛り上がっていたインバウンド需要や世界的な普及価格帯ウォッチ市場の低迷が低迷しているため、同社は電子デバイス事業の整理および中・高価格ウォッチへのシフトを加速している。

同社HP>事業・製品>セイコーの事業プロセス

競合他社

腕時計の国内競合メーカーとして、6952カシオ計算機(2020年3月期売上高280,750百万円)や、7762シチズン時計(同278,531百万円)などが挙げられる。カシオはG-SHOSCKやチープカシオなど、若者を中心に流行を作り出している。シチズンは電波ソーラーを前面にレディース・メンズ共に人気が高く、北米でのシェアが高い。セイコーは、日本の経済界における経営者・役員層から支持されるブランドとして定評があり、海外はアジア・欧州に強く、国内ではシェアをほぼ3分するが、戦略は3社各様である。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、主要な事業子会社としてウォッチ事業を行うセイコーウォッチ株式会社、ウォッチ事業と電子デバイス事業を行うセイコーインスツル株式会社など総数66社に及ぶ連結子会社、持分法適用会社を抱え、グループを形成している。

強み・弱み

長年の時計製造で培った技術力とオリンピックなどの国際的なスポーツ大会の公式時計として採用されるブランド認知力が強み。一方で個人消費に直接関わる商品が主力の為、国内外の個人消費動向に業績は強い影響を受ける。また4割強を海外売上が占めるため、為替リスク、海外製造拠点が所在する国のカントリーリスクを持つ。

KPI

①国内外の個人消費動向
②完成品ウォッチ平均単価
③為替(米ドル、ユーロ、中国元など)

セイコーホールディングスグループ統合報告書2020

業績

直近5か年(2016年3月期~2020年3月期)の業績をみると、売上高は低下傾向にあり、個人消費の低迷や半導体事業を連結対象から外したことから同期間内では約2割売上減少した。営業利益率は2016年3月期の4.5%から2020年3月期は2.6%と低下。電子デバイス事業の利益率低下が顕著で、半導体事業の非連結化が要因と考えられる。自己資本比率は20%台後半から30%台前半に改善。営業CFの変動が毎期大きく、フリーCFもプラス、マイナスまたいで変動している。