8050 セイコーホールディングスの業績について考察してみた

8050 セイコーホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1881年12月、時計小売、修理を行う服部時計店として創業。1892年より時計製造を開始。1917年10月に会社組織に改め株式会社服部時計店となる。1949年5月に東証に上場。1983年8月株式会社服部セイコーに、1997年7月セイコー株式会社に社名変更。2001年7月にセイコーウォッチ株式会社を設立、ウォッチ事業を分社化し持株会社となる。2007年7月にセイコーホールディングス株式会社に社名変更。株式は東証一部を経て2022年4月市場区分の見直しによりプライム市場へ移行。腕時計や電子デバイスの製造販売を行う

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合11.5%創業家服部一族の資産管理会社である三光起業株式会社で保有割合10.7%。服部悦子氏8.7%、服部真二氏5.5%と続き服部一族の影響力が強い。以降は保有割合5%以下で第一生命、服部秀生氏、国内銀行信託口、1803清水建設などが続く。外国人株式保有比率は10 %以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は後述の代表取締役1名と日本アイ・ビー・エム株式会社などを経験し入社した取締役専務執行役員の関根氏を除きプロパーもしくは同社子会社出身である。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長兼グループCEOの服部真二氏は1953年1月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1975年4月三菱商事株式会社に入社。1984年7月株式会社精工舎(現在のセイコークロック株式会社およびセイコープレシジョン株式会社)に、2003年6月セイコーウォッチ株式会社に転じそれぞれで代表取締役社長等要職を歴任。2007年6月同社に転じ取締役、副社長、社長を歴任の後、2012年10月より代表取締役会長兼グループCEOを務める
代表取締役社長の高橋修司氏は1957年8月生まれ。早稲田大学卒業後、1980年4月に同社入社。2012年6月セイコーウォッチ株式会社の取締役に就任。2017年4月に同社取締役、2021年6月より代表取締役を務める

報告セグメント

「エモーショナルバリューソリューション事業」、「デバイスソリューション事業」、「システムソリューション事業」の3報告セグメント、および報告セグメントに含まれないシェアードサービス事業などの「その他」で構成される。2023年3月期第1四半期より下図の通り変更がなされた。同期における売上高62,078百万円のうち、エモーショナルバリューソリューション事業が6割強、デバイスソリューション事業が2割強、1割強を占める。全社費用等控除前の利益の内訳は各5割弱、3割強、2割弱となっている。また同期の地域別売上高は、日本は5割強、米州、欧州が各1割前後を占める。

2023年3月期第1四半期決算説明会

事業モデル

エモーショナルバリューソリューション事業は従前のウォッチ事業等で構成される。ウォッチ事業は国内外のグループ企業で製造したウォッチを世界に幅広く販売している。部品製造から完成品の組立、調整まで一貫して手がける世界でも数少ないメーカーのひとつ。電圧を加えると正確に振動するクオーツ(水晶)の性質を生かした時計クォーツ時計を日本で最初に開発、腕時計としては世界で最初に発売した。国内では主にセイコーウォッチ株式会社が卸売を、株式会社クロノスが小売を、盛岡セイコー工業株式会社が製造を担っている。幅広いブランドをラインナップするが、利益率が高いと考えられる最高級のグランドセイコー(数十万円から数百万円)を筆頭とするグローバルブランドの売上をKPIとしている。2022年3月期より、銀座の店舗にて宝飾品等の高級品を取り扱う和光事業が加わった。
デバイスソリューション事業はマイクロ電池や水晶振動子等のメカトロニクスデバイスやインクジェットプリントヘッドの製造販売を行う。医療、情報システム、自動車産業等に用いられている。事業会社はセイコーインスツル株式会社やセイコーNPC株式会社。
システムソリューション事業は無線通信機器、情報ネットワークシステムおよびデータサービス等に係る製品の製造、販売を主にセイコーソリューションズ株式会社にて行っている。
近年国内で盛り上がっていたインバウンド需要や世界的な普及価格帯ウォッチ市場の低迷が低迷しているため、同社は電子デバイス事業の整理および中・高価格ウォッチへのシフトを加速している。

同社HP>事業・製品>セイコーの事業プロセス

競合他社

腕時計の国内競合メーカーとして、6952カシオ計算機(2022年3月期売上高252,322百万円)や、7762シチズン時計(同281,417百万円)などが挙げられる。カシオはG-SHOSCKやチープカシオなど、若者を中心に流行を作り出している。シチズンは電波ソーラーを前面にレディース・メンズ共に人気が高く、北米でのシェアが高い。セイコーは、日本の経済界における経営者・役員層から支持されるブランドとして定評があり、海外はアジア・欧州に強く、国内ではシェアをほぼ3分するが、戦略は3社各様である。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、主要な事業子会社としてウォッチ事業を行うセイコーウォッチ株式会社、ウォッチ事業と電子デバイス事業を行うセイコーインスツル株式会社など総数61社に及ぶ連結子会社、持分法適用会社を抱え、グループを形成している。

強み・弱み

長年の時計製造で培った技術力とオリンピックなどの国際的なスポーツ大会の公式時計として採用されるブランド認知力が強み。一方で個人消費に直接関わる商品が主力の為、国内外の個人消費動向に業績は強い影響を受ける。また4割強を海外売上が占めるため、為替リスク、海外製造拠点が所在する国のカントリーリスクを持つ。

KPI

①国内外の個人消費動向
②完成品ウォッチ平均単価
③為替(米ドル、ユーロ、中国元など)
④GB売上高前年同期比、売上高GB比率(下図)

2023年3月期第1四半期決算説明会

業績

直近5か年(2018年3月期~2022年3月期)の業績をみると、売上高は低下傾向にあり、個人消費の低迷や半導体事業を連結対象から外したことやコロナ禍における活動制限の影響から2021年3月期までに2割以上売上減少した。営業利益率は2018年3月期の4.0%から2021年3月期は1.0%と低下。デバイスソリューション事業の利益率低下が顕著で、半導体事業の非連結化が要因と考えられる。しかし2022年3月期は高価格帯の腕時計やデバイスソリューション事業での売上伸長により前期比17.1%の増収、営業利益率も3.6%まで回復した。自己資本比率は20%台後半から30%台前半に改善。営業CFの変動が毎期大きく、フリーCFもプラス、マイナスまたいで変動している。

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