4275 カーリットホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1916年9月、浅野財閥の創始者でもある浅野総一郎がスエーデン・カーリット社からカーリット爆薬の製造販売権を取得したことが同社の始まり。1920年12月、カーリット爆薬の製造販売を目的として日本カーリット株式会社(旧)を設立。一時、浅野セメント株式会社に吸収されて一事業部となるが、1934年3月に浅野カーリット株式会社として再び独立。1942年10月には関東水力電気株式会社、関水興業株式会社を合併し、関東電気興業株式会社となる。1945年1月に関東電気工業株式会社へ商号変更。1949年5月に東京証券取引所に上場、現在東証一部。1951年7月に日本カーリット株式会社に商号変更。以降、火薬や化学品の製造、ボトリング事業を主軸とする化学メーカーとして発展を続けてきた。2013年10月には日本カーリット株式会社からの単独株式移転によりカーリットホールディングス株式会社を設立。

カーリットレポート2020

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、みずほ信託銀行退職給付信託口で8.3%、株式会社日本カストディ銀行が8.3%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が5.8%、と上位3社及びそれ以下にも信託銀行等の信託口が多く、他は取引先と見られる日油株式会社3.8%、長瀬産業株式会社2.9%、株式会社大阪ソーダ2.5%、芙蓉総合リース2.2%、関東電化工業株式会社1.9%などが並ぶ。

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は4名(2名社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役はプロパーの他、複数のみずほフィナンシャルグループ出身者で構成されている。

代表取締役の経歴

代表取締役社長・内部監査室担当の金子洋文氏は1960年4月生まれ。専修大学経営学部卒業後、1984年4月日本カーリット株式会社に入社。2013年10月、カーリットホールディングス株式会社の設立に伴い、同社執行役員に就任。2015年6月、日本カーリット株式会社の代表取締役社長に就任。2016年6月には当社取締役。2020年6月より、代表権を持つ取締役社長R&Dセンター・内部監査室担当に就任し、2021年4月よりR&Dセンターの担当は外れている。

報告セグメント

「化学品事業部門」、「ボトリング事業部門」、「産業用部材事業部門」、「エンジニアリングサービス事業部門」の4報告セグメントに大別され、いずれにも含まれないものをその他としている。2021年3月期第3四半期の売上高32,710百万円の構成比は化学品事業41.2%、ボトリング事業37.1%、産業用部材事業16.5%、エンジニアリングサービス事業4.8%である。セグメント利益は、化学品事業456百万円、ボトリング事業▲79百万円、産業用部材事業131百万円、エンジニアリングサービス事業173百万円で、連結の営業利益は768百万円であった。

事業モデル

化学品事業は、同社のルーツである産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管といった化薬分野が主力。危険性評価試験や、電池試験などの受託評価も得意分野。また、セラミック材料の研削材の製造・販売も手掛けるなど同社の看板事業。
ボトリング事業は、ペットボトル飲料・缶飲料のボトリング加工・販売を担っており、化学品事業とならんで同社の主力事業の1つ。
産業用部材事業ではパソコンやLED向けの半導体用シリコンンウェーハや、化学設備向けの耐熱耐火物などの特色ある製品を開発している。
2021年3月期より新セグメントとなったエンジニアリングサービス事業は、化学・プラント設備や水道設備などのエンジニアリング・設計・工事、工業用塗料の販売・塗装工事を担当。
事業領域は幅広い分野に及ぶため、新型コロナウイルスの影響もあり、一部販売減少が見込まれる分野もある。一方、パソコン需要の高まりなどにより電子材料が好調であり、2022年3月期は自動車や建設機械、5G関連の需要が拡大することが見込まれる

2021年3月期第2四半期決算説明資料

競合他社

火薬分野での競合先としては、4272日本化薬(2020年3月期売上高175,123百万円) が挙げられる。また、化学品事業では大小さまざまな先と競合する。

連結の範囲

連結子会社は16社、関連会社は1社と多い。このうち主要な子会社としては化学品事業を担う日本カーリット株式会社や、ボトリング事業を手掛けるジェーシーボトリング株式会社、産業用部材事業で半導体分野に取り組む株式会社シリコンテクノロジーがある。

強み・弱み

100年以上の歴史を持つ化学メーカーとして、化薬・発煙筒・塩素酸ソーダなどで高いシェアを有していることが強み。一方、化学メーカーという性質上、製品の品質に係るリスクが存在しており製品に問題が発生した場合にはリコールや賠償責任が発生する恐れがある。

KPI

2020年3月期の主要KPIは以下のとおり。
①化学品事業売上高13,737百万円(前期比-16.1%)
②ボトリング事業売上高12,136百万円(前期比-5.4%)
③産業用部材事業売上高5,545百万円(前期比-7.7%)
④エンジニアリングサービス事業売上高1,748百万円(前期比-6.6%)

業績

2016年3月期から2020年3月期まで過去5期分の経営状況をみると、売上高は2019年3月期まで堅調に増加していたが、2020年3月期は前期比▲8%の減収となった。背景には米中貿易摩擦の長期化や、ボトリング事業における製造ラインの不具合発生などがあるとみられる。営業利益も同様の傾向で、2020年3月期は前期比▲31.3%となった。営業CFは恒常的にプラスで、投資CFは恒常的にマイナス財務CFはおおむねマイナス推移だが、2016年3月期は株式発行などがあったためプラスとなった。2021年3月期第3四半期の自己資本比率は54.6%であった。