3989 シェアリングテクノロジーの業績について考察してみた

3989 シェアリングテクノロジーの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2006年11月に株式会社リッツとして、前代表取締役CEOである引字圭祐氏が京都府京都市で創業。2009年5月より提供を開始したインターネット回線の取次サービス「ネット110番事業」は現在も主要事業の基盤となっている。2015年6月、生活に関する様々なトラブル解決を目的とした総合プラットフォームサイト「生活110番」を立ち上げている。2017年8月に東証マザーズ及び名証セントレックスへ上場。2017年12月名証セントレックスは上場廃止済。

2021年9月期 第1四半期決算説明資料

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は個人投資家である綿引一氏で保有比率は10.18%。次いで、日本カストディ銀行(信託口)が10.14%、創業者である引字圭祐氏が9.11%、Nomura PB Nominees Limited(常任代理人 野村證券)が5.64%。その他は5%未満の保有で、ジャパンベストレスキューシステム(2453)の代表取締役である榊原暢宏氏の保有1.90%や、証券会社などである。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、うち3名は監査等委員(全員社外)、監査等委員会設置会社である。マーケティング事業部長の植田栄作氏はアルバイト時代から同社に勤務する。コネクト事業部長兼ソリューション事業部長の片山善隆氏は三井住友銀行3年、高木製作所3年、アイシン・エィ・ダブリュで4年の経歴を有す。監査等委員で社外取締役の3名はIT業界、弁護士、公認会計士など。

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの森吉寛裕氏は1989年8月生まれ。 2014年4月株式会社ジャフコに入社、2018年4月同社へ入社し、同年12月より取締役CFOとして、創業者で前代表取締役CEOであった引字圭祐氏のもとで、経営陣に加わった。その後、引字氏が代表取締役CEOを退くにあたり、代表取締役共同経営者を経て、2019年12月現職へ就任。前任の引字氏は積極的な多角化戦略を取った一方、森吉氏は事業の選択と集中を進めて、収益力向上に努めている

報告セグメント

「暮らしのお困りごと事業」の単一セグメント。前連結会計年度までは、「WEB事業」と「投資事業」の2報告セグメントであったが、投資事業を大きく見直し、本業のWEB事業「暮らしのお困りごと事業」に一本化。なお、2020年第1四半期(10月~12月)売上高は854百万円、営業利益は23百万円であった。

事業モデル

『暮らしのお困りごと』に関するポータルサイトと特定のジャンルに特化したバーティカルメディアサイトを運営。ポータルサイトは『正解110番』の名前で150以上のジャンルを扱い、主にオーガニック流入でユーザーを集客。バーティカルメディアサイトは『電気工事110番』や『ペット葬儀110番』などの『●●110番』の名前で、各サイト1ジャンルで約250サイトを運営する。普段の生活で発生する様々なトラブルを抱えたユーザーがそれらのサイトを閲覧して同社へ架電し、同社が運営するコールセンターで24時間365日受け付けて、加盟店とのマッチングをする。一部紹介ベース等の収益モデルも含むが、主に成約した場合の手数料が主たる収益源である。本業とシナジーのない投資事業や子会社の流動化は2020年9月期に完了し、現在は定期利用の見込めるハウスクリーニング事業者と登録ユーザーの口コミ付の検索マッチングサイト『mochiya』の運営などにサービス提供領域を拡大している。
高齢化や独居化による世帯数の増加や、サービスECの普及は、同社利用ニーズを抱えるユーザーの増加要因となり、『暮らしのお困りごと』市場は拡大すると同社は見込んでいる。

競合他社

大株主の1人である榊原暢宏氏が代表取締役をつとめる2453ジャパンベストレスキューシステム株式会社(2020年9月期売上高120億円)が競合先と考えられる。その他、生活にまつわるトラブル関連の分野でWEBを活用したマッチングサイト「くらしのマーケット」を運営するみんなのマーケット株式会社も競合となる。同社は2011年設立だが直近では日本政策金融公庫などから総額40億円の資金調達に成功するなど、事業規模を拡大させている。

連結の範囲

同社グループは、2020年9月期時点で同社及び連結子会社1社から構成される。2019年9月期時点では連結子会社は6社であったものの、2020年中に積極的な事業整理・売却を進め、残る1社も重要性の観点から有価証券報告書における記載が省略されているため、現在は、実質的に同社1社からグループは構成されていると言える。

強み・弱み

ポータルサイト「生活110番」を軸とした、生活上の各種トラブルに応じた各種サイト(250サイト以上)を通じて、顧客と専門的に対応できる業者をマッチングさせるノウハウが強み。サイト上での業者紹介ではなく、24時間365日受付可能な自社コールセンターを設置し、顧客の状況・所在地に応じて、全国4,500社以上の加盟店の中から最適な業者を紹介できる体制を構築している。一方、顧客がGoogleなど各種検索エンジンを経由して同社サイトを訪問することから、検索エンジン運営者の方針変更により、同社の集客力が損なわれるリスクを抱えている。

KPI

売上収益を構成する「問い合わせ件数」と「問い合わせあたり単価」を重要な経営指標としている。また、コールセンターでの顧客対応の「お客様クレーム率」を重視しているほか、ビジネス上のパートナーである加盟店各社からのクレーム(「加盟店クレーム率」)も重要指標として継続的に計測・開示している。「問い合わせ件数」は近年伸び悩む。検索エンジンに偏った集客から口コミサイトによる新規ユーザー獲得を図るなどに取り組んでいる。
「問い合わせ件数」は150,000~200,000件(2021年第1四半期)
「問い合わせ当たり単価」は150前後(2017年第1四半期を100、2021年第1四半期)
③「お客様クレーム率」は0.20%~0.40%(2021年第1四半期)
④「加盟店クレーム率」は0.02%~0.04%(2021年第1四半期)

2021年9月期 第1四半期決算説明資料

業績

子会社の整理を進めていることもあり提出会社単体の経営指標をみると、2016年9月期から2020年9月期までの5期間で、売上高・経常利益ともに約3.6倍となっているが、経常利益は2018年9月期から2期連続赤字。2020年9月期は前期比▲2.1%の減収ながら経常利益は黒転、当期純利益は関係会社株式売却損や事業整理損の計上により赤字であった。事業整理と固定費削減などにより損益分岐点が下がり、利益を確保する体制が整いつつある。連結ではIFRSを採用しており、連結ベースの親会社所有者帰属持分比率は2021年9月期第1四半期は24.0%であった。現金同等物は月商の約6.5カ月分、営業CFは利益に準ずるところが大きく、2020年9月期は事業売却等の影響もあり営業CF が膨らんだ。投資CFは期によって変動がある。