3989 シェアリングテクノロジーの業績について考察してみた

3989 シェアリングテクノロジーの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q2 2023.03 1,277 204 15.97%
FY2023.Q3 2023.06 1,725 397 23.01%
FY2023.Q4 2023.09 1,934 419 21.66%
FY2024.Q1 2023.12 1,734 374 21.57%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.06 469 108 23.03%
FY2017.Q4 2017.09 635 91 14.33%
FY2018.Q1 2017.12 556 49 8.81%
FY2018.Q2 2018.03 570 -20 -3.51%
FY2018.Q3 2018.06 1,682 791 47.03%
FY2018.Q4 2018.09 1,919 -285 -14.85%
FY2019.Q1 2018.12 1,770 -270 -15.25%
FY2019.Q2 2019.03 1,067 -224 -20.99%
FY2019.Q3 2019.06 562 -211 -37.54%
FY2019.Q4 2019.09 4,508 273 6.06%
FY2020.Q1 2019.12 990 104 10.51%
FY2020.Q2 2020.03 830 0 0%
FY2020.Q3 2020.06 1,036 107 10.33%
FY2020.Q4 2020.09 1,131 153 13.53%
FY2021.Q1 2020.12 854 23 2.69%
FY2021.Q2 2021.03 744 -41 -5.51%
FY2021.Q3 2021.06 899 -114 -12.68%
FY2021.Q4 2021.09 1,034 -998 -96.52%
FY2022.Q1 2021.12 1,019 70 6.87%
FY2022.Q2 2022.03 925 55 5.95%
FY2022.Q3 2022.06 1,175 109 9.28%
FY2022.Q4 2022.09 1,310 167 12.75%
FY2023.Q1 2022.12 1,292 220 17.03%
FY2023.Q2 2023.03 1,277 204 15.97%
FY2023.Q3 2023.06 1,725 397 23.01%
FY2023.Q4 2023.09 1,934 419 21.66%
FY2024.Q1 2023.12 1,734 374 21.57%

沿革

2006年11月に株式会社リッツとして、前代表取締役CEOの引字圭祐氏が京都府京都市で創業。2009年5月より提供を開始したインターネット回線の取次サービス「ネット110番事業」は現在も主要事業の基盤となっている。2015年6月、生活に関するさまざまなトラブル解決を目的とした総合プラットフォームサイト「生活110番」を立ち上げる。また同年9月、シェアリングテクノロジー株式会社へと商号変更した。2017年8月に東証マザーズおよび名証セントレックスへ上場。2022年4月、東証グロース市場へ変更している。「生活110番」を中心にWEBオンラインサービスと、コールセンターやオフラインサービスをかけ合わせた生活関連事業を営む

株主構成

2022年3月末時点の保有比率に変更報告書の内容を加味すると、筆頭株主は個人投資家の綿引一氏で保有比率は9.9%。2番手以降は保有割合5%未満で、日本カストディ銀行(信託口)4.2%、創業者の引字圭祐氏3.9%と続く。2021年12月28日更新のコーポレートガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満だ。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、うち社内の1名と社外2名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。マーケティング事業部長の植田栄作氏はアルバイト時代から同社に勤務する。コネクト事業部長兼ソリューション事業部長の片山善隆氏は三井住友銀行3年、高木製作所3年、アイシン・エィ・ダブリュで4年の経歴を有する

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの森吉寛裕氏は1989年8月生まれ。 大学を卒業後、2014年4月に株式会社ジャフコに入社する。2018年4月、同社へ入社し、同年12月には取締役CFOに就任。創業者かつ前代表取締役CEOであった引字圭祐氏のもと、経営陣に加わる
その後、引字氏が代表取締役CEOを退くにあたり、代表取締役共同経営者を経て、2019年12月現職へ就任。前任の引字氏は積極的な多角化戦略を取った一方、森吉氏は事業の選択と集中を進めて、収益力向上に努めてきた

報告セグメント

「暮らしのお困りごと事業」の単一セグメント。街の専門業者を中心に約6,000の加盟店と提携し、150ジャンルにわたる生活トラブル関連サービスを対象としたWEB事業を展開する。

2022年9月期 第3四半期決算説明資料

事業モデル

『暮らしのお困りごと』に関する2種類のサイトを運営する。1つは複数ジャンルを1サイトで掲載するポータルサイトで、もう1つは特定のジャンルに特化したバーティカルメディアサイトである。

2022年9月期 第3四半期決算説明資料

ポータルサイト『生活110番』は150以上のジャンルを扱い、オーガニック流入がメインだ。
バーティカルメディアサイトは『電気工事110番』や『ペット葬儀110番』など、『●●110番』のネーミングが特徴。1サイト1ジャンルで約200サイトを運営する。流入はリスティングが中心。
普段の生活で発生する困りごとを抱えたユーザーがサイトを閲覧し、電話で問い合わせる。同社が運営するコールセンターで24時間365日問い合わせを受けつけ、ユーザーと加盟店をマッチングする。一部紹介ベースの収益モデルも含むが、成約した場合の手数料がおもな収益源である。

2022年9月期 第3四半期決算説明資料

さらに、プロを自分で選びたいニーズに合わせ、登録ユーザーの口コミつき検索マッチングサイト『mochiya』を運営するなどサービス提供領域を拡大している。
『暮らしのお困りごと』に関する国内市場は14兆円と推計される。高齢化や独居化による世帯数の増加と、サービスECの普及が市場を拡大させる要因になると同社は見込む。

競合他社

大株主の1人である榊原暢宏氏が代表取締役を務める2453ジャパンベストレスキューシステム(2021年9月期売上高13,460百万円)が競合先と考えられる。ほか、生活にまつわるトラブル関連の分野でWEBを活用したマッチングサイト「くらしのマーケット」を運営するみんなのマーケット株式会社(非上場)も競合となる。みんなのマーケットは2011年設立だが、2020年に日本政策金融公庫などから総額40億円の資金調達に成功するなど、事業規模を拡大させている。

連結の範囲

連結子会社1社を持つ。しかし重要性が乏しいとの理由から有価証券報告書への記載が省略されており、実質的に同社事業は同社のみにて運営されているといえる。

強み・弱み

ポータルサイト「生活110番」を軸とした、生活上の各種トラブルに応じたサイト(200サイト以上)を通じて、顧客と適切な業者とをマッチングさせるノウハウが強み。サイト上での業者紹介ではなく、24時間365日受付可能な自社コールセンターを設置している。顧客の状況・所在地に応じて、全国約6,000の加盟店から最適な業者を紹介できる体制を実現した。一方、顧客がGoogleなど各種検索エンジンを経由して同社サイトを訪問することから、検索エンジン運営者の方針変更により、同社の集客力が損なわれるリスクを抱えている。

KPI

売上収益を構成する「問い合わせ件数」と「問い合わせあたり単価」を重要な経営指標としている。また、コールセンターでの顧客対応の「お客様クレーム率」と、ビジネス上のパートナーである加盟店各社からのクレーム(「加盟店クレーム率」)も重要指標とする。①「問い合わせ件数」:2022年9月期第3四半期およそ210,000件
「問い合わせ当たり単価」:2022年9月期第3四半期150%前後(2018年9月期第1四半期と比較)
③「お客様クレーム率」:2022年9月期第3四半期0.2%~0.3%
④「加盟店クレーム率」:2022年9月期第3四半期およそ0.02%

2022年9月期 第3四半期決算説明資料
2022年9月期 第3四半期決算説明資料

業績

2017年9月期から2021年9月期までの5期間で、売上高は約2倍となった。しかし経常利益は2017年9月期・2020年9月期をのぞいて赤字である。営業CFは2018年9月期以外はプラス、投資CFは期によって波がある。

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