3853 アステリアの業績について考察してみた

3853 アステリアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 1,112 -52 -4.68%
FY2024.Q4 2024.03 -206 -246 119.42%
FY2025.Q1 2024.06 727 -206 -28.34%
FY2025.Q2 2024.09 819 278 33.94%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 446 93 20.85%
FY2018.Q1 2017.06 760 148 19.47%
FY2018.Q2 2017.09 714 171 23.95%
FY2018.Q3 2017.12 929 182 19.59%
FY2018.Q4 2018.03 707 76 10.75%
FY2019.Q1 2018.06 793 44 5.55%
FY2019.Q2 2018.09 808 -25 -3.09%
FY2019.Q3 2018.12 920 144 15.65%
FY2019.Q4 2019.03 957 226 23.62%
FY2020.Q1 2019.06 668 -72 -10.78%
FY2020.Q2 2019.09 644 93 14.44%
FY2020.Q3 2019.12 679 19 2.8%
FY2020.Q4 2020.03 686 -302 -44.02%
FY2021.Q1 2020.06 674 158 23.44%
FY2021.Q2 2020.09 666 179 26.88%
FY2021.Q3 2020.12 654 124 18.96%
FY2021.Q4 2021.03 694 359 51.73%
FY2022.Q1 2021.06 681 90 13.22%
FY2022.Q2 2021.09 687 772 112.37%
FY2022.Q3 2021.12 759 111 14.62%
FY2022.Q4 2022.03 841 2,472 293.94%
FY2023.Q1 2022.06 803 77 9.59%
FY2023.Q2 2022.09 908 4,608 507.49%
FY2023.Q3 2022.12 836 -3,394 -405.98%
FY2023.Q4 2023.03 831 -3,870 -465.7%
FY2024.Q1 2023.06 929 -2,456 -264.37%
FY2024.Q2 2023.09 1,074 -888 -82.68%
FY2024.Q3 2023.12 1,112 -52 -4.68%
FY2024.Q4 2024.03 -206 -246 119.42%
FY2025.Q1 2024.06 727 -206 -28.34%
FY2025.Q2 2024.09 819 278 33.94%

沿革

1998年9月、平野洋一郎と北原淑行がインフォテリア株式会社創立。翌年1月に世界初の商用XMLエンジン「iPEX」を発売。2002年6月より発売しているノン・コーディングのEAIソフト「ASTERIA」が2006年9月国内シェアNO.1を達成。2007年6月東証マザーズに上場、2018年3月東証一部へ変更。2012年3月に中国に100%子会社を設立して以降、米国、香港、シンガポール、英国など海外に展開する。2009年6月から発売している「Handbook」が2018年10月にモバイルコンテンツ管理市場の4カテゴリでシェアNo.1を達成、同時にアステリア株式会社へ商号変更。2022年4月市場区分の見直しによりプライム市場へ移行。不特定多数向けのパッケージやクラウドサービスを提供するソフトウェアの開発、販売およびそれに付帯する事業を行う

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長の平野洋一郎氏で保有割合11.07%。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が10.13%、創業者で取締役副社長の北原淑行氏5.28%と続き、以降は保有割合5%以下で取引関係のある9928ミロク情報サービスおよびパナソニックインフォメーションシステムズ株式会社、同社100%子会社のCEO(HAMLIN DUSAN ALEXANDER氏)、国内証券などが名を連ねる。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役2名は創業者でいずれも日本IBM出身

代表取締役の経歴

代表取締役社長の平野洋一郎氏は1963年8月生まれ。 熊本大学中退後、1983年7月有限会社キャリーラボに入社。その後ロータス株式会社(現日本IBM株式会社)を経た後に1998年9月に同社を創業、同時に代表取締役社長に就任した。
もう1名の創業者である取締役副社長の北原淑行氏は1962年10月生まれ、同氏は代表権を持たない。

報告セグメント

「ソフトウェア事業」と「投資事業」の2報告セグメントに大別される。2021年第3四半期累計期間の外部向け売上収益および営業利益は全額ソフトウェア事業で計上され、投資事業に関しては赤字だった。ソフトウェア事業はソフトウェア事業とデザイン事業にさらに細分化され、2023年3月期第1四半期累計期間680百万円のうちソフトウェア事業が95.4%、デザイン事業が4.6%を占め、投資事業は売上計上がなかった。また下図の通りストック型の売上割合が年々増加してきており、7割以上を占める。

2023年3月期 第1四半期決算説明会資料

事業モデル

ソフトウェア事業は、データ連携ミドルウェア「Asteria Warp」とAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」事業などを展開。「Asteria Warp」の売上は主としてライセンス売上とサポート売上で一部サブスク売上も含んでいる。ライセンス販売は販売代理店を通して行われる。導入社数は9,000社を超えており、様々な規模の幅広い企業や自治体等の様々な導入実績を持つ。「Gravio」の売上はサブスク型で伊藤忠テクノソリューションズと代理店契約している。モバイル向けコンテンツ管理システム「Handbook X」およびモバイルアプリ制作プラットフォーム「Platio」事業も展開。売上は主としてサブスク型である。
デザイン事業は顧客企業のデジタルデザインにおけるコンサル、開発支援等を行っている。2017年に買収したThis Place社にてサービス提供を行う。
コロナ禍において業界問わずIT投資の抑制傾向がみられる。ただ、中長期的には「ニューノーマル」の進展により「遠隔化」、「自動化」の実現が必須となり、クラウド市場やAI市場の拡大が見込まれる。
投資事業は2019年に開始したAsteria Vision Fund Ⅰ,L.P.を通じた企業投資事業。将来的なリターンおよび同社製品とのシナジーがあるかの2点を念頭に投資先を選定、2022年3月期末時点では6社に出資。2022年7月には出資先の台湾Gorilla Technology社は米NASDAQに上場、2022年3月期第2四半期以降に評価益が計上される見込みとなっている。

競合他社

主力商品「Asteria Warp」の競合メーカーとして、9640セゾン情報システムズ(2022年3月期売上高23,218百万円、競合商品「HULFT」)、グレープシティ株式会社(非上場、資本金9,000万円、競合商品「krewData」)、マジックソフトウェア・ジャパン株式会社(NASDAQ上場マジックソフトウェア・エンタープライゼスの日本法人、競合商品「Magic xpi Integration Platform」)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社9社、持分法適用関連会社2社で、米国にて投資事業を行うAsteria Vision Fund Inc.デジタルデザインに関する制作、コンサルを行うThis Placeが3法人(英国、米国、中国に拠点)、中国やシンガポールにてソフトウェアの開発、販売等を行う現地法人等で構成される。

強み・弱み

主力商品のAsteria Warpは高い市場シェア(14年連続1位)と認知度を持つことが強み。一部サブスク型の売上も含まれ、収益の安定化に貢献。また製品開発に特化していることから、受託開発を行う企業に比して利益率は高い。一方、製品開発に特化している故、技術革新や市場動向に後れを取った場合、収益に大きく影響を受けると考えられる。また2022年3月期で売上収益の約15%を占める海外(米国、欧州、アジア諸国等)のカントリーリスクや為替リスクを持つ。

同社HP TOP>IR(投資家情報)>個人投資家の皆さまへ>アステリアの強み

KPI

①IT市場規模(国内2023年度予測138,800億円、矢野経済研究所調べ)
②MRRおよび解約率(下図参照)
③Asteria Warp導入社数(2022年3月末9,664社)
④継続型売上比率(サブスク&サポート)(2023年3月期第1四半期70%)
⑤為替(米ドルなど)

2023年3月期 第1四半期決算説明会資料

業績

直近5か年(2018年3月期~2022年3月期)の業績推移をみると、2020年3月期に米国でのプロジェクト遅延、コロナ禍の影響による営業自粛を受け減収(前年同期比▲23.1%)となった以外は増収基調。但し以前の売上水準までは回復していない。営業利益率は10%台での推移だったが2020年3月期は海外子会社の減損があり営業赤字。その後投資事業での評価増の計上などもあり、2022年3月期は116.0%。フリーCFは安定しない。2020年3月期は子会社の取得等を要因として大幅マイナス。自己資本比率は66.3%(2022年3月期末)。

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