6535 アイモバイルの業績について考察してみた

6535 アイモバイルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q3 2023.04 1,736 291 16.76%
FY2023.Q4 2023.07 2,143 111 5.18%
FY2024.Q1 2023.10 5,910 1,998 33.81%
FY2024.Q2 2024.01 8,411 1,460 17.36%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.04 4,006 551 13.75%
FY2017.Q4 2017.07 4,164 402 9.65%
FY2018.Q1 2017.10 4,585 561 12.24%
FY2018.Q2 2018.01 4,583 692 15.1%
FY2018.Q3 2018.04 4,295 484 11.27%
FY2018.Q4 2018.07 4,518 381 8.43%
FY2019.Q1 2018.10 5,386 1,114 20.68%
FY2019.Q2 2019.01 6,958 1,160 16.67%
FY2019.Q3 2019.04 5,032 1,099 21.84%
FY2019.Q4 2019.07 3,762 -213 -5.66%
FY2020.Q1 2019.10 3,345 337 10.07%
FY2020.Q2 2020.01 5,666 1,299 22.93%
FY2020.Q3 2020.04 3,003 364 12.12%
FY2020.Q4 2020.07 2,887 246 8.52%
FY2021.Q1 2020.10 1,637 579 35.37%
FY2021.Q2 2021.01 6,272 1,998 31.86%
FY2021.Q3 2021.04 1,681 421 25.04%
FY2021.Q4 2021.07 8,243 384 4.66%
FY2022.Q1 2021.10 2,533 870 34.35%
FY2022.Q2 2022.01 7,627 2,398 31.44%
FY2022.Q3 2022.04 1,824 415 22.75%
FY2022.Q4 2022.07 1,949 110 5.64%
FY2023.Q1 2022.10 2,413 556 23.04%
FY2023.Q2 2023.01 10,134 2,567 25.33%
FY2023.Q3 2023.04 1,736 291 16.76%
FY2023.Q4 2023.07 2,143 111 5.18%
FY2024.Q1 2023.10 5,910 1,998 33.81%
FY2024.Q2 2024.01 8,411 1,460 17.36%

沿革

2007年8月に株式会社アイモバイルを設立し、広告配信ネットワークサービスを開始。2014年7月にふるさと納税サイト「ふるなび」のサービスを開始。2016年10月に東証マザーズに上場。2018年7月に東証一部に上場。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。本社は東京都渋谷区。アドネットワークやアフェリエイトなどのネット広告事業を柱に、ふるさと納税事業や動画事業等を展開する

株主構成

有価証券報告書によると2022年7月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長の田中俊彦氏の資産管理会社とみられる株式会社ティーネットで保有割合20.67%。代表取締役社長の野口哲也氏の資産管理会社とみられる株式会社アジルテックが19.87%、次いで代表取締役両氏個人名が続き、合算すると田中氏の保有割合は30.64%、野口氏が29.43%となる。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.60%で、以降は保有割合5%未満となり、国内信託銀行信託口や海外金融機関などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役の溝田吉倫氏は株式会社レオパールと株式会社グローバル住販を経て、2009年3月に同社に入社。代表取締役副社長を経て、2018年10月に現職に就任した。取締役の文田康博氏は現株式会社キタムラや株市会社オークローンマーケティングを経験後、2019年9月同社入社。2021年10月より現職を務める。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の田中俊彦氏は1979年2月生まれ。2000年4月に2229カルビーに入社。株式会社オービーエムやアドデジタル株式会社等の数社を経て、2007年8月に同社を設立。代表取締役社長を経て、2017年10月に現職に就任した
代表取締役社長の野口哲也氏は1974年4月生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科を卒業後、1999年4月に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。アーサー・D・リトル・ジャパン株式会社を経て、2007年8月に同社を設立。取締役を経て、2017年10月に現職に就任した

報告セグメント

「コンシューマ事業」と「インターネット広告事業」の2報告セグメントに大別される。2022年7月期の売上高13,933百万円、営業利益3,793百万円の構成は下図の通り。

2022年7月期決算説明資料

事業モデル

コンシューマ事業は、ふるさと納税サイトの「ふるなび」の運営と、それに関連するトラベル事業やレストランPR事業、ポイントサービス事業を行う。ふるなびは高額寄付者向けの納税代行サービスや、返戻金を後から選べるサービスを展開。トラベル事業やレストランPR事業、ポイントサービスは、ユーザーがふるさと納税の寄付額に応じてサイト内で付与されるポイントで旅行や食事をしたり、ギフト券を取得したりできる。サイトを通じた寄付金額に応じ、自治体から手数料を受領する。
インターネット広告事業は、アドネットワーク事業、アフィリエイト事業、メディアソリューション事業、広告代理店事業、アプリ運営事業等から構成される。アドネットワーク事業は、マルチデバイスに対応したアドネットワークとして国内最大規模であり、広告主と掲載メディアの双方から広告報酬が発生するクリック課金型サービスである。アフィリエイト事業では、アドネットワーク事業で培った顧客網を活かして、成果報酬型の広告サービスを展開する。メディアソリューション事業では、Googleの公式メディアソリューションパートナーとしてGoogleが提供するプロダクトを基に、アプリ運営者向けのサービス導入支援を行う。広告代理店事業は代理店業務を営む子会社の株式会社サイバーコンサルタントにてリスティング広告やディスプレイ広告の販売から管理・運用までの幅広いサービスをアドネットワーク事業とのシナジー効果を活かして展開する。アプリ運営事業は2019年8月に買収したオーテ株式会社がスマホ向けアプリの企画・開発・運営を行う。

2022年7月期決算説明資料

国内インターネット広告市場は2021年に前年比121.4%の2兆7,052億円とデジタル化の加速により堅調な成長が続く。中でもインターネット広告媒体費はコロナ禍の反動から前年比122.8%と伸長しているが、2022年も前年比115.0%の伸びが予測されている。同社は広告効果と収益の最大化を図るために、独自の広告配信プラットフォームを構築し、グループ内でメディア運営と広告代理業を一貫して行う体制を整備。

競合他社

いずれの事業も競合は多いが、日本国内で展開するアドネットワークではインド系のシンガポール本社企業InMobi Japan、米系でGoogleに次ぐポジションのMILLENNIAL MEDIA、の2社に次いで同社は日系企業で最大規模を誇り、4784GMOアドパートナーズ(2021年12月期売上高34,524百万円)などが続く。アフィリエイト広告では国内最大規模の2491バリューコマース(2021年12月期売上高33,560百万円)、国内大手2461ファンコミュニケーションズ(同26,700百万円)などが挙げられる。ふるさと納税も、大手ECサイトや専門サイトなど複数の競合が存在し、利用者数が最多の「ふるさとチョイス」を運営する3962チェンジ(2022年3月期10,140百万円※変則6か月決算)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社3社を持つ。インターネット広告事業の中の代理店業務を担う株式会社サイバーコンサルタントと、同事業でスマートフォンアプリの開発や運営を行うオーテ株式会社などがある。

強み・弱み

国内で展開する日系企業のアドネットワークでは最大規模を誇ること、ふるさと納税の「ふるなび」でも高い還元率で一定の知名度を有することは強み。一方で、ふるさと納税は総務省主導の事業のため、規制変更や政策変更による事業への影響が避けられないことは懸念点である。また、インターネット広告事業は新型コロナウイルス流行に伴う、顧客の広告予算減少技術革新による新たな手法の登場による事業基盤の陳腐化などはリスクである。

KPI

①寄付受付件数(コンシューマ事業)
②会員数(コンシューマ事業)
③契約自治体数(コンシューマ事業)

2022年7月期決算説明資料

④MAU(アプリ運営事業)
⑤稼働パートナー数(インターネット広告事業)

2022年7月期決算説明資料

業績

売上高、営業利益共に成長続く。但し2020年7月期には連結子会社の売却や清算を行ったため前期比▲29.6%の減収。2022年7月期には新収益認識基準の適用により減収となったが、実質は20.2%の増収だった。営業利益率は10%台の推移続いていたが、2022年7月期は27.2%。ふるさと納税事業の成長が主因。営業CFはプラス、投資CFはマイナス、フリーCFはプラスが続く。有利子負債はゼロとみられ、自己資本比率は70%台で推移している。

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