6535 アイモバイルの業績について考察してみた

6535 アイモバイルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2007年8月に株式会社アイモバイルを設立し、広告配信ネットワークサービスを開始。2014年7月にふるさと納税サイト「ふるなび」のサービスを開始。2016年10月に東証マザーズに上場。2018年7月に東証一部に上場。本社は東京都渋谷区。ネット広告事業を柱に、ふるさと納税事業や動画事業等を展開する。

株主構成

2021年7月期第2四半期報告書によると2021年1月末時点の大株主は、代表取締役会長の田中俊彦氏の資産管理会社とみられる株式会社ティーネットが19.5%、次いで同氏が19.1%と併せて38.75%を保有。 代表取締役社長の野口哲也氏が代表を務める株式会社アジルテック が18.82%、次いで同氏が18.34%と併せて37.16%を保有。そのほかは国内外の信託銀行等の信託口などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役3名 (全員社外)、監査役設置会社である。取締役の溝田吉倫氏は株式会社レオパールと株式会社グローバル住販を経て、2009年3月に同社に入社。代表取締役副社長を経て、2018年10月に現職に就任した。取締役の冨重眞栄氏は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社やPwCあらた有限責任監査法人等を経て、2014年12月に同社に入社。2015年1月に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の田中俊彦氏は1979年2月生まれ。2000年4月にカルビー株式会社に入社。株式会社オービーエムやアドデジタル株式会社等の数社を経て、2007年8月に同社を設立。代表取締役社長を経て、2017年10月に現職に就任した。
代表取締役社長の野口哲也氏は1974年4月生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科を卒業後、1999年4月に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。アーサー・D・リトル・ジャパン株式会社を経て、2007年8月に同社を設立。取締役を経て、2017年10月に現職に就任した。

報告セグメント

「コンシューマ事業」と「インターネット広告事業」の2報告セグメントに大別される。2021年7月期第2四半期では売上高11,108百万円の内、コンシューマ事業が6,221百万円で56.0%、インターネット広告事業が4,886百万円で44,0%を占める。
セグメント利益の利益率は、コンシューマ事業が30%台、インターネット広告事業が1桁後半から10%台を推移する。

事業モデル

コンシューマ事業は、ふるさと納税サイトの「ふるなび」の運営と、それに関連するトラベル事業やレストランPR事業、ポイントサービス事業を行う。ふるなびは高額寄付者向けの納税代行サービスや、返戻金を後から選べるサービスを展開。トラベル事業やレストランPR事業、ポイントサービスは、ユーザーがふるさと納税の寄付額に応じてサイト内で付与されるポイントで旅行や食事をしたり、ギフト券を取得したりできる。
インターネット広告事業は、アドネットワーク事業、動画広告事業、アフィリエイト事業、メディアソリューション事業等から構成される。アドネットワーク事業は、マルチデバイスに対応したアドネットワークとして国内最大規模であり、広告主と掲載メディアの双方から広告報酬が発生するクリック課金型サービスである。動画広告事業では、動画広告サービス「maio」を通してフルスクリーンの動画広告を、スマートフォンアプリ上に配信する。ユーザーの視聴完了回数に応じて広告報酬を得る。アフィリエイト事業では、アドネットワーク事業で培った顧客網を活かして、成果報酬型の広告サービスを展開する。メディアソリューション事業では、Googleの公式メディアソリューションパートナーとしてGoogleが提供するプロダクトを基に、アプリ運営者向けのサービス導入支援を行う。
国内インターネット広告市場は2 019年の2兆1,048億円から2023年には約2兆8000億円に拡大すると予測されており、現在でも国内テレビメディア広告費を上回る市場規模を誇る。同社は広告効果と収益の最大化を図るために、独自の広告配信プラットフォームを構築し、グループ内でメディア運営と広告代理業を一貫して行う体制を整備。

競合他社

いずれの事業も競合は多いが、日本国内で展開するアドネットワークではインド系のシンガポール本社企業InMobi Japan、米系でGoogleに次ぐポジションのMILLENNIAL MEDIA、の2社に次いで同社は日系企業で最大規模を誇り、4784GMOアドパートナーズなどが続く。アフィリエイト広告では国内最大規模の2491バリューコマース株式会社(2020年12月期売上高29,171百万円)、国内大手2461株式会社ファンコミュニケーションズ(同29,379百万円)などが挙げられる。ふるさと納税も、大手ECサイトや専門サイトなど複数の競合が存在し、利用者数が最多の「ふるさとチョイス」を運営する3962株式会社チェンジ (2020年9月期11,692百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社2社と非連結子会社1社を持つ。連結子会社にはインターネット広告事業の中の代理店業務を担う株式会社サイバーコンサルタントと、同事業でスマートフォンアプリの開発や運営を行うオーテ株式会社がある。

強み・弱み

国内で展開する日系企業のアドネットワークでは最大規模を誇ること、ふるさと納税の「ふるなび」でも高い還元率で一定の知名度を有することは強み。一方で、ふるさと納税は総務省主導の事業のため、規制変更 や政策変更による事業への影響が避けられないことは懸念点である。また、インターネット広告事業は新型コロナウイルス流行に伴う、顧客の広告予算減少技術革新による新たな手法の登場による事業基盤の陳腐化などはリスクである。

KPI

KPIにはふるさと納税事業における寄付受付件数の増減率と、メディアソリューション事業における稼働パートナー数の増減率の2つが挙げられる。
①寄付受付件数:199.7%(2021年7月期第2四半期)

2021年7月期第2四半期決算説明会資料

②稼働パートナー数:156%(同)

2021年7月期第2四半期決算説明会資料

業績

売上高と経常利益共に2016年7月期から2019年7月期の過去4期で約1.4倍に増加していたものの、 2020年7月期には連結子会社の売却や清算を行ったため、前期比約7割に減少。営業CFはプラスを継続、投資CFはマイナスを継続。財務CFは2018年7月期以降、マイナスが続く。自己資本比率は2020年7月期で86.1%。前期の76.5%から改善