6330 東洋エンジニアリングの業績について考察してみた

6330 東洋エンジニアリングの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 72,318 2,228 3.08%
FY2024.Q4 2024.03 71,452 1,262 1.77%
FY2025.Q1 2024.06 62,847 979 1.56%
FY2025.Q2 2024.09 59,024 1,038 1.76%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 127,878 -484 -0.38%
FY2018.Q1 2017.06 87,371 594 0.68%
FY2018.Q2 2017.09 93,617 1,400 1.5%
FY2018.Q3 2017.12 82,371 -25,057 -30.42%
FY2018.Q4 2018.03 72,338 -9,888 -13.67%
FY2019.Q1 2018.06 78,718 1,900 2.41%
FY2019.Q2 2018.09 69,123 -1,086 -1.57%
FY2019.Q3 2018.12 76,213 -241 -0.32%
FY2019.Q4 2019.03 70,939 -6,186 -8.72%
FY2020.Q1 2019.06 58,413 1,990 3.41%
FY2020.Q2 2019.09 54,234 879 1.62%
FY2020.Q3 2019.12 52,564 -1,019 -1.94%
FY2020.Q4 2020.03 53,883 40 0.07%
FY2021.Q1 2020.06 44,045 562 1.28%
FY2021.Q2 2020.09 45,656 652 1.43%
FY2021.Q3 2020.12 43,387 895 2.06%
FY2021.Q4 2021.03 50,912 -494 -0.97%
FY2022.Q1 2021.06 53,993 1,823 3.38%
FY2022.Q2 2021.09 43,516 552 1.27%
FY2022.Q3 2021.12 42,446 -973 -2.29%
FY2022.Q4 2022.03 63,031 1,561 2.48%
FY2023.Q1 2022.06 46,169 2,295 4.97%
FY2023.Q2 2022.09 50,308 767 1.52%
FY2023.Q3 2022.12 45,571 1,412 3.1%
FY2023.Q4 2023.03 50,860 290 0.57%
FY2024.Q1 2023.06 54,733 907 1.66%
FY2024.Q2 2023.09 62,322 2,315 3.71%
FY2024.Q3 2023.12 72,318 2,228 3.08%
FY2024.Q4 2024.03 71,452 1,262 1.77%
FY2025.Q1 2024.06 62,847 979 1.56%
FY2025.Q2 2024.09 59,024 1,038 1.76%

沿革

1961年5月東洋高圧工業株式会社(現:三井化学株式会社)の工務部門が分離・独立し、東洋エンジニアリング株式会社として東京都で設立された。祖業は化学肥料分野を中心にアンモニア・尿素を扱い、1963年にはインド肥料公社より海外受注第1号となる肥料プラントを受注。その後もアジア・欧米各国から肥料プラントやエチレンプラントを多数受注し、事業領域も石油化学や油田開発技術、発電など多岐にわたる分野に拡大してきた 。1979年4月、株式の額面変更のために、事業活動をおこなっていなかった同一商号の東洋エンジニアリング株式会社(旧:寿商事株式会社)に吸収合併された後、1980年11月に東証二部へ上場、1982年9月東証一部へ変更。エンジニアリング専業のリーディングカンパニー

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の大株主は投資関連業などをおこなうインテグラルTeam投資事業有限責任組合で29.9%を保有する。続いて三井物産株式会社が14.9%、株式会社日本カストディ銀行の信託口が8.7%を保有。そのほか保有率5.0%未満で信託銀行の信託口などがならぶ。また、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、監査役は4名(社内・社外それぞれ2名、社内監査役は2名とも常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役はプロパー出身者が多いが、代表取締役の芳澤雅之氏は三井物産の出身で、鳥越紀良氏は1983年4月に日本輸出入銀行に入行した後、国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫と政府系金融機関に29年の勤務経験を持つ。2017年6月、同社執行役員に就任。2020年8月に同社取締役に就任している。

代表取締役の経歴

代表取締役・取締役社長の永松治夫氏は1957年4月生まれ。横浜国立大学を卒業し、同社へ入社。マレーシア現地法人などを経て2013年に同社執行役員に就任。2017年6月より取締役を務め、2018年4月より代表取締役、取締役社長を務めている。
また代表取締役の芳澤雅之氏は1959年3月生まれ。1982年4月、三井物産株式会社に入社。ブラジルの連結子会社CEOなどを経て2011年6月に同社執行役員に就任。2015年6月より取締役を務め、代表取締役には2016年6月に就任している。

報告セグメント

「EPC事業」の単一セグメントである。EPCとは「設計(Engineering)」「調達(Procurement)」「工事(Construction)」の頭文字で、プラント建設プロジェクトの3つのフェーズを表す。事業分野は社会インフラ、肥料、石油化学・化学、エネルギー開発、新事業など多岐にわたる。2020年3月期の受注高1,870百万円の構成は発電・交通システム等が810百万円で43.3%を占め、石油・ガスが559百万円で29.9%を占める。

事業モデル

石油化学分野はエチレン、プロピレン、各種ポリマー、芳香族などのプラントを、また肥料を中心とした化学分野では尿素、アンモニア、メタノール、高性能プラスチック原料など多数のプラント建設実績を持つ。
社会インフラ事業は各国のニーズに合わせた各種発電プラントの設計・建設や鉄道建設プロジェクト、水処理などを手がける。プラント建設プロジェクトの3つのフェーズ、設計・調達・工事を一括請負するEPCビジネスを手がける。各種プラントの研究・開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導などを事業内容に含み、グローバルな総合エンジニアリングビジネスを展開する。2020年3月期においてはインドのHindustan Urvarak & Rasayan Limitedが総売上高の15%、ナイジェリアのIndorama Eleme Fertilizer & Chemicals Limitedが13%を占める。

競合他社

1963日揮ホールディングス、6366千代田化工建設と同社をあわせて、エンジニアリング専業三社と呼ばれている。最大手は日揮ホールディングスで、2020年3月期における総合エンジニアリング事業売上高は426,764百万円、千代田化工建設は385,925百万円、同社売上高は219,094百万円である。

連結の範囲

同社グループは、同社及び子会社23社、関連会社10社から構成される。韓国、中国、インドネシア、マレーシア、インド、イタリア、カナダ、アメリカ、ブラジルと世界各国に展開。インドの連結子会社でEPC事業を手がけるToyo Engineering India Private Limitedは完成工事高は31,790百万円であり、連結完成工事高の10%以上を占める。

強み・弱み

尿素・アンモニアなど化学肥料関連プラントでの実績が強み。尿素プラントでのエネルギー消費と設備費を大幅に削減した尿素合成技術「ACES21」の開発に成功。ACES21を採用したプラントは1日に4,000メガトンの尿素を産出する。一方で同社は2018年3月期に当期純利益-268億円の赤字決算を計上している。背景には売上拡大に注力し、米国やブラジル、インドネシアといった海外案件の採算悪化があったとみられる。現在、経営再建中であり財務基盤の健全化が課題。

KPI

先にも述べたように、同社は現在経営再建中であり、売上高、経常利益、自己資本比率はKPIといえる。また再生計画の一環として、プラント事業中心のポートフォリオからプラント事業とインフラ事業の2本柱へと変革に取り組んでおり、インフラ事業の受注高もKPIとなりうる。
①2021年3月期第3四半期 売上高:133,088百万円(前年同期比-19.4%)
②2021年3月期第3四半期 経常利益:1,963百万円(前年同期比+58.3%)
③2021年3月期第3四半期 自己資本比率:16.6%(前年同期比-0.6%)
④2021年3月期第3四半期インフラ事業(発電・交通システム等) 受注高:367億円(前年同期比-52.4%)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2017年3月期の431,917百万円をピークに減少傾向である。経常利益については2018年3月期に27,821百万円の赤字を計上したものの翌2019年3月期には黒字転換。営業CFは2018年3月期よりマイナス推移、一方で投資CFは2018年3月期よりプラスで推移している。固定資産の売却や関係会社株式の売却、出資金の売却などが寄与したとみられる。

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