3161 アゼアスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1947年5月、株式会社千代田屋を東京都千代田区に設立して麻糸・麻織物を取り扱い。その後1975年10月にタイベック(米国デュポン社の登録商標)製防護服の製造販売を開始、1998年9月にニチウラ株式会社と合併して商号をニチウラ千代田屋株式会社に変更、2004年5月に商号をアゼアス株式会社に変更した。そして2010年4月に大証JASDAQ市場(現東証JASDAQ)に株式上場、2012年6月に東証2部に市場変更した。防護服の大手である。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年10月末時点の筆頭株主は、取締役会長である鈴木裕生氏(自己株式除く発行済株式総数に対する所有割合10.30%)である。他は5%未満の保有で、取引銀行や取引先、個人の名前が中心である。

取締役会

取締役5名(うち社外取締役1名)、監査役は3名(うち社外監査役2名)、監査役会設置会社である。なお人事・報酬委員会は6名(取締役3名、社外取締役1名、社外監査役2名)で構成されている。代表権を持たない社内取締役は会長の鈴木裕生氏と、他2名のうち羽場恒彦氏は三井銀行(現三井住友銀行)の出身者で、山岡司氏はプロパー出身者と見られる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の斉藤文明氏は1971年6月生まれ。1994年4月株式会社ワークマン入社、2003年4月同社入社、その後、取締役を経て2019年5月代表取締役社長に就任(現任)した。
なお取締役会長の鈴木裕生氏は1948年3月生まれ。1973年4月蝶理株式会社入社、1977年5月株式会社東京千代田屋(現アゼアス)入社、その後、取締役を経て1988年7月代表取締役社長に就任、2011年7月代表取締役会長に就任、2015年7月取締役会長に就任(現任)した

報告セグメント

防護服・環境資機材事業、たたみ資材事業、アパレル資材事業の3セグメントである。2021年4月期第3四半期売上高7,379百万円の構成比は、防護服・環境資機材事業59.1%、たたみ資材事業10.0%、アパレル資材事業21.4%、その他(中国の子会社)0.5%。連結営業利益546百万円の太宗は防護服・環境資機材事業で稼いでおり、他の事業も黒字をかろうじて維持している。

2021年4月期 第2四半期決算説明会資料

事業モデル

防護服・環境資機材事業は、化学物質対策用途やアスベスト(石綿)処理用途等を中心に、化学防護服、作業用防護服、防護用機資材等の製造販売を展開している。米国デュポン社製のタイベック防護服とタイケム化学防護服の総輸入販売元である旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社の戦略的パートナーとして、両製品の販売、及び両製品の生地(原反)を用いた同社オリジナル防護服等の製造販売を行っている。防護服は使い切り製品(リミテッドユース)という性格を持ち、一度納入すると継続的な販売が期待できる
たたみ資材事業は畳表、各種畳材料の販売、アパレル資材事業は芯地、型カット品、繊維副資材等の製造販売を展開している。その他に区分される中国の連結子会社では、上海・大連に連結子会社3社と関係会社1社を擁し、日系企業向けを中心に繊維副資材の製造販売を行う。
岡山県と秋田県に工場や物流センター、埼玉県に物流センターを有す。秋田県に有するデザインセンターの生産設備の拡張として、2022年5月より稼働予定で6億3千万円の設備投資を決議済み

同社HP TOP

競合他社

防護服は危険有害性(ハザード)から身体を防護するために使用する服で、用途や危険有害性等によって分類される。感染症対策や生物・化学テロ対策等に使用される化学防護服のメーカーとしては、産業用防毒マスク大手の7980重松製作所、ドレーゲルジャパン株式会社、スリーエムジャパン株式会社、旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社などがあり、同社は旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社の戦略的パートナーとして、米国デュポン社製タイベック防護服を日本国内でほぼ独占的に販売している。

連結の範囲

2020年4月期末時点でグループは同社、連結子会社4社、非連結子会社1社で構成されている。主要な連結子会社はアパレル資材事業の丸幸株式会社である。なお繊維副資材を取り扱う中国の連結子会社3社(大連・上海)は、その他事業に区分されている。

強み・弱み

40年以上前から、日本における防護服製造・販売のパイオニアとして安全衛生の啓発活動を行い、作業者の安全・健康を守るため防護服の着用を推奨し、事業基盤を拡大してきた。
近年はCSF(豚熱)や鳥インフルエンザ、さらに新型コロナウイルスのように、ウイルス感染症対策としての防護服の必要性・需要が高まっている。また厚生労働省は健康障害が懸念される有害化学物質のリスク評価を導入して、有害化学物質管理対策を強化する方針を打ち出している
このような事業環境も背景として、同社は豊富なノウハウを基に高視認性防護服など製品開発を推進するとともに、アゼアスデザインセンター秋田の設備増設による国内供給体制の増強も推進している。
ただし旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社と長期納入契約を締結しておらず、商品継続供給や取引条件変更がリスク要因となる。また近年のCSF、鳥インフルエンザ、新型コロナウイルスに伴う市場拡大が特需である可能性も否定できない。

KPI

主力の防護服・環境資機材事業の売上高の推移を見ると、2016年4月期4,700百万円から2018年4月期の4,176百万円まで減少したが、その後は2019年4月期4,529百万円、2020年4月期5,493百万円と拡大している。2020年4月期は新型コロナウイルスに伴う医療機関等の需要が急増したことも寄与した。

業績

過去5期間の業績の推移を見ると、売上高はほぼ横ばいだが営業利益は2016年4月期79百万円から2020年4月期466百万円まで拡大し、売上高営業利益率は0.8%から4.7%に上昇した。製品ミックス改善効果やコストダウン効果に加えて、2020年4月期は新型コロナウイルスに伴う世界的な供給不足で製品価格が高騰したことも寄与した。ただし特需的な側面を否定できない。自己資本比率は概ね70%前後で推移している。営業活動によるキャッシュ・フローは2019年4月期が小幅にマイナスだったが、2020年4月期はプラスに転じた。現状は財務面の大きな課題は見当たらない。持続的成長に向けては、特需に左右されない事業基盤の構築が課題だろう。