3542 ベガコーポレーションの業績について考察してみた

3542 ベガコーポレーションの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2004年7月福岡県で家具・インテリア等のインターネット通信販売を目的として前身である有限会社ベガコーポレーションを創業。ECモール(Yahoo!ショッピング、楽天市場)に出店後、2006年10月自社サイトの旗艦店「LOWYA」 をオープン。2007年6月株式会社ベガコーポレーションに商号変更。2015年12月日本の商品を世界へ販売する越境ECプラットフォーム「DOKODEMO」の稼働開始。2016年3月東京支社と併設オープンした恵比寿のショールームは2018年9月に閉鎖済。2016年6月東証マザーズ上場。家具、インテリア、雑貨の自社開発商品をLOWYAなどの自社サイトを中心にインターネット販売、直近は他社開発品(NB:ナショナルブランド)の取扱も増やしている。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長の浮城智和氏の資産管理会と見られる株式会社アルタイルで34.05%、次いで同氏個人で27.15%と併せて61.2%を保有。次いで専務取締役の手島武雄氏が4.74%保有し、その他は信託銀行等の信託口やベガコーポレーション従業員持株会の保有0.96%などである。

取締役会構成

取締役は6名(社内3名、社外3名)、社外3名は全員が監査等委員。監査等委員会設置会社である。専務取締役EC事業本部長の寺島武雄氏は、代表の浮城氏の中学時代の同級生で、同社設立時は社外取締役であった。新北九州信用金庫、光通信、他数社を経て2008年9月より現職。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の浮城智和氏は 1976年11月25日生まれ。九州国際大学経済学部卒業後、携帯電話の販売、不動産会社の営業、訪問販売など戦略的に1年間での転職を繰り返すことで多業界を経験、最終的に家具輸入商社で営業経験を経て同社を設立。

報告セグメント

「Eコマース事業」の単一セグメントであるが、家具・インテリア等のインターネット通信販売事業(LOWYA事業) と、越境市場をターゲットとして越境ECプラットフォームを運営するEコマース事業(DOKODEMO事業) を展開する。2021年3月期第3四半期はLOWYA事業が売上高の97.7%を占め、DOKODEMO事業はまだ赤字と見られる。

事業モデル

D2C(Direct to Consumer)と呼ばれる、自らがメーカーとして自社で企画・製造した商品を、自社のECサイトで消費者に直接販売することで、低価格で高品質な商品を販売するものである。製造は中国・東南アジア及び欧州の工場に依頼し、直接貿易を行う。
自社運営サイト、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどに出店し、自社ブランドとしてLOWYA、スミシアなどの5ブランドをコンセプト別に展開。取扱商品はソファ、ベッド、チェア、デスク、テレビ台、収納家具、ダイニング用品、日用家電などである。商品企画から小売までの一気通貫体制で、顧客ニーズに合わせた商品提供を実現することで優位性を確保。日々のトレンド収集や分析によるマーケットニーズに対応した商品開発、サイト運営での分かりやすいキャッチコピーや画像の使用により顧客の心を掴む工夫を凝らしている。2021年3月期第3四半期より他社ブランド(NB)品の取扱いも開始しており、従来のオリジナルショップ型からセレクトショップ型への移行を図っており、まずはNB比率20%を目標に、最終的に約半数をNBとするプラットフォーム型への移行を志向する。
越境ECプラットフォームDOKODEMOは、多言語対応や配送方法の選択が可能な物流システムが特徴で、MADE IN JAPANの商品等を世界各地に提供する。ターゲットは世界各国の外国人で、99カ所以上の国や地域へ対応

競合他社

実店舗を中心に展開するニトリホールディングスや良品計画、大塚家具、IKEAなどが競合に当たる。近年は北欧インテリアのメーカーや専門商社、国内の家具メーカーなどが楽天市場やYahoo!ショッピング当のECモールへの出店によりEC市場へ進出しており、競合は増えてきている。

2021年3月期 第3四半期決算説明資料

連結の範囲

2016年1月に子会社を解散して以降関係会社がなく、連結財務諸表も作成していない。

強み・弱み

これまでに蓄積してきたインターネット販売のノウハウや商品企画から小売までの一気通貫体制で効率的な商品開発や生産管理が可能なことが強み。一方、徐々に販売に占める比率は低下してきているが、ECモールを介した販売が約半数と販売構成などモールの方針に影響を受けることは弱み。また、越境EC事業は競合も多く、優位性を出しながら事業を拡大し黒字化できるかは懸念される。また、コロナ禍で海上コンテナの運賃が上昇しており、配送費に与える影響が懸念される。

KPI

大物家具を取り扱うことから、原価率や配送費率の推移は重要なKPIとなる。継続的なコスト削減が奏功し2021年度に入り大幅な改善が見られ、安定的に事業運営可能な水準に到達した旨会社より開示されている。また、EC販売のためアクセス数や、CVR(コンバージョンレート)、旗艦店比率も主要な経営指標である。コロナの影響で、新しい活様式が普及し消費者のECシフトが進んでいることが伺える。なお、旗艦店よりもモールのCVRが高い為、全体でみたCVRは旗艦店比率の上昇により前年比マイナスでの推移となっている。2021年3月期第3四半期の実績は下記。
全体 前年同期比アクセス数: 127.1%
全体 前年同期比CVR: 96.4%
旗艦店比率: 48.7% (前年同期比14.3pt改善、第2四半期比0.8pt悪化)
原価率: 40.3% (前年同期比3.6pt改善、第2四半期比0.1pt改善)
配送費率: 15.5% (前年同期比2.4pt改善、第2四半期比0.1pt悪化)

2021年3月期 第3四半期決算説明資料

業績

2016年3月期から2020年3月期までの5期間で売上高は約1.5倍、経常利益は2018年3月期まで500百万円を超えて推移していたが、物流業界における人材不足を主因に配送費が急増したことや保管地の変更、欠品による機会損失から2019年3月期は経常損失256百万円と赤字であった。販売価格や商品構成の見直しにより2020年3月期には146百万円の黒字に戻し、足元では配送費等も落ち着いている。同社のB/S面は資産の大半が現預金、売掛金、商品となっており、これらで8割近くを占めている。一方、負債に借入金はあるものの、自己資本比率が6割を超えている。営業CFは、棚卸資産の大幅な増加と最終赤字により2019年3月期にマイナスとなったが、概ねプラスで安定している。投資CFは恒常的にマイナス。