3687 フィックスターズの業績について考察してみた

3687 フィックスターズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.12 1,854 524 28.26%
FY2024.Q2 2024.03 2,052 655 31.92%
FY2024.Q3 2024.06 1,915 382 19.95%
FY2024.Q4 2024.09 2,174 743 34.18%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q2 2017.03 1,091 258 23.65%
FY2017.Q3 2017.06 1,110 192 17.3%
FY2017.Q4 2017.09 1,217 261 21.45%
FY2018.Q1 2017.12 1,156 254 21.97%
FY2018.Q2 2018.03 1,213 229 18.88%
FY2018.Q3 2018.06 1,313 254 19.35%
FY2018.Q4 2018.09 1,593 363 22.79%
FY2019.Q1 2018.12 1,732 275 15.88%
FY2019.Q2 2019.03 1,890 401 21.22%
FY2019.Q3 2019.06 1,811 312 17.23%
FY2019.Q4 2019.09 1,533 328 21.4%
FY2020.Q1 2019.12 1,187 174 14.66%
FY2020.Q2 2020.03 1,759 477 27.12%
FY2020.Q3 2020.06 1,307 136 10.41%
FY2020.Q4 2020.09 1,511 397 26.27%
FY2021.Q1 2020.12 1,238 154 12.44%
FY2021.Q2 2021.03 1,523 312 20.49%
FY2021.Q3 2021.06 1,214 52 4.28%
FY2021.Q4 2021.09 1,526 453 29.69%
FY2022.Q1 2021.12 1,401 290 20.7%
FY2022.Q2 2022.03 1,613 578 35.83%
FY2022.Q3 2022.06 1,595 337 21.13%
FY2022.Q4 2022.09 1,701 419 24.63%
FY2023.Q1 2022.12 1,716 484 28.21%
FY2023.Q2 2023.03 1,850 514 27.78%
FY2023.Q3 2023.06 1,680 367 21.85%
FY2023.Q4 2023.09 1,792 721 40.23%
FY2024.Q1 2023.12 1,854 524 28.26%
FY2024.Q2 2024.03 2,052 655 31.92%
FY2024.Q3 2024.06 1,915 382 19.95%
FY2024.Q4 2024.09 2,174 743 34.18%

沿革

2002年8月に有限会社フィックスターズを設立し、同年10月に株式会社フィックスターズに改組。2004年7月にマルチコアプロセッサに関連したソフトウェア開発サービスを開始。2010年11月に米国空軍研究所にPlayStation®3を用いた高速クラスタシステムを導入。2014年4月に東証マザーズに上場。2016年11月に東証一部に上場。現在は東証プライム市場に区分。本社は東京都港区。ソフトウェアの受託開発が事業の主力

株主構成

2022年9月期第2四半期報告書によると、2022年3月31日時点で筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で13.6%、次いで創業者で代表取締役社長の三木聡氏が11.3%、株式会社日本カストディ銀行の信託口が8.7%、創業者で前取締役の原行範氏が6.7%、創業者で前取締役会長の長谷川智彦氏が6.0%、その他は保有割合5%未満でセントラル短資株式会社、Dエンジン株式会社、株式会社日本カストディ銀行の証券投資信託口と続く。その他には取引先や海外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役7名(社内3名、社外4名)、監査役3名 (全員社外)、監査役会設置会社である。取締役の堀美奈子氏は元アナウンサーで、中古車海外輸出事業を営む株式会社アガスタを経て、同社に入社。連結子会社3社の取締役を兼任する。取締役の蜂須賀利幸氏は産業機械の専門商社であるアルテック株式会社を経て、同社に入社。連結子会社1社の代表取締役会長を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の三木聡氏は1971年2月生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、1996年10月に3857ラックに入社。株式会社ソフトワールドの取締役副社長を経て、2002年8月に同社を設立。同年10月に現職に就任した。連結子会社4社の代表取締役を兼任する。

報告セグメント

2021年9月期より「ソフトウェア・サービス」と「ハードウェア基盤」から、セグメント区分を「Solution事業」と「SaaS事業」の2セグメントに変更。2022年12月期第3四半期の売上高4,609百万円の内、Solution事業が4,453百万円で97%、SaaS事業が155百万円で3%を占める。同期のセグメント利益はSolution事業が1,430百万円、SaaS事業は▲224百万円であった。

事業モデル

主力のSolution事業は、大量データの高速処理を可能にするソフトウェア開発やシステムの高速化サービスを展開する。顧客から提供されたオリジナルソースコードをハードウェアへの最適化やアルゴリズム改良を行い、コードの高速化を実現。顧客製品の開発段階に応じて、コンサルティングから最終的な製品への組み込み支援までを一貫してサポートする

2022年9月期第2四半期 決算補足説明資料

自動運転関連の高速化サービスを中心とした旺盛な需要を背景に、同事業では年率10~15%の安定成長が見込まれる。その他に医用画像の高速処理やゲノム解析の高速化を行うライフサイエンス分野や、デリバティブシステムやアルゴリズムトレードの高速化を行うファイナンス分野、FA周辺機器におけるシステム高速化支援を行うインダストリアル分野など、様々な産業に顧客を抱える。
SaaS事業では、AIによるコードレビューの自動実施を行う「Sleeel事業」、「乳がんAI画像診断支援事業」、自動運転やFA分野での需要が見込めるエッジビジョンAI評価プラットフォームの開発を行う「GENESIS事業」、「量子コンピュータ事業」の4つの事業が軸となる。SaaS事業を入り口にSolution事業での受注拡大を目指し、Solution事業の受託で蓄積した技術を用いて領域ごとにSaaS展開することで事業間の相乗効果の実現を狙う。SaaS事業では現在は積極的に先行投資を行っており、新しくセグメント区分された2021年9月期以降赤字が続く
主な販売先と2021年9月期の売上高に占める比率はキオクシア株式会社が34.0%、7558ネクスティエレクトロニクスが10.9%、6501日立製作所が4.3%と3社で49.2%を占める。その他に6723ルネサスエレクトロニクスやトヨタグループ、みずほ証券株式会社、7751キャノン等が主要取引先に挙げられる。

競合他社

スマートデバイス向け組込システムが主力の2359株式会社コア (2022年3月期売上高21,798百万円)、大企業向けにシステム開発を行う3837アドソル日進株式会社 (同12,247百万円)、 システム導入支援に強みを持つ6088株式会社シグマクシス (同15,654百万円)が挙げられる。

連結の範囲

連結子会社6社を持つ。米国にSolution事業とSaaS事業を担う連結子会社をそれぞれ1社ずつ有する。株式会社ネクスティエレクトロニクスとの合弁会社である連結子会社の株式会社Fixstars Autonomous Technologiesは、連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとしてソフトウェア開発技術が挙げられる。社員の9割以上をエンジニアが占め、半導体や産業機器、自動車、金融等の幅広い分野での取引経験から高い技術力を社内に蓄積する。中でもハードウェアとアルゴリズムに深い知見を有し、ハードウェア選定からハードウェアに合わせたソフトウェア開発やアルゴリズムの調整を実施する
懸念点としてエンジニアの人員不足やSaaS事業での先行投資の負担増加が挙げられる。

KPI

KPIには①研究開発費と②社員数が挙げられる
①研究開発費(2022年9月期第2四半期)

2022年9月期第2四半期 決算補足説明資料

②社員数(2021年9月期):258人

2022年9月期第2四半期 決算補足説明資料

業績

売上高は2017年9月期から2019年9月期にかけて、自動運転分野でのアルゴリズム開発や高速化、半導体分野でのソフトウェア開発の需要拡大により、約1.6倍に拡大。2020年9月期は画像処理向けストレージ・サーバ等のスポット案件が減収し、前期比▲17.3%に減少した。2021年9月期はハードウェア関連の販売が伸びず、前期比▲4.6%の減少となった。経常利益は2017年9月期から2019年9月期にかけて、約1.6倍に増益。2020年9月期は前期比▲10.0%の減益、2021年9月期は本社移転関連費用が嵩んで前期比▲18.0%の減益となった。フリーCFは過去5期でプラスを推移。2021年9月期は本社移転に伴う有形固定資産の取得により、投資CFの支出が膨らんだ。自己資本比率は2019年9月期まで80%前後を推移していたが、2020年9月期にコロナ禍に備えて借入を実施。現在は40%台を推移する。

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