4845 スカラの業績について考察してみた

4845 スカラの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1991年12月に田村健三によって島津英樹を共同経営者としてデータベース・コミュニケーションズ株式会社が設立された。企業買収により事業範囲を拡大し続けており、2004年9月持株会社制へ移行と同時に株式会社フュージョンパートナーに商号変更後、2016年12月株式会社スカラに再度の商号変更。2001年大証ナスダックへ上場、2014年5月東証二部、2014年12月東証一部へ変更。SaaS/A SPサービスを中心に展開する企業の持株会社で、サイト内検索サービスやFAQシステム、IVR(自動音声応答)、ECサイト運営、コンタクトセンターなど幅広く事業を手掛ける。2016年7月よりSFA事業の連結子会社となった4779ソフトブレーンは、2020年11月にシー・ファイブ・エイト・ホールディングスにより公開買付けが成立。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)4.23%、2332クエスト3.41%、4769インフォメーションクリエーティブ2.85%、野村信託銀行㈱(投信口)2.45%、代表取締役社長の梛野憲克氏1.66%、取締役の木下朝太郎氏1.44%と安定株主は少なく、その他は目立った株主はいない。外国人保有比率は10%未満である。

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役4名(うち社外監査役は3名)となっており、監査役会設置会社である。社内取締役の木下朝太郎氏は岡三証券での勤務後1998年に31歳で同社へ入社し、2005年には代表取締役社長を務めるも翌年は代表権のない取締役へ、現在は常務執行役員を兼務。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の梛野憲克氏は1975年1月生まれ。2003年10月に同社に子会社化された株式会社ディーベックスの取締役に2000年1月より就任、2004年3月東京工業大学大学院 総合理工学研究科知能システム科学専攻 博士課程を修了し、同社子会社の取締役経験を経て、2013年8月より 代表取締役社長に就任した。

報告セグメント

「IT/AI/IoT/DX事業」、「カスタマーサポート事業」、「人材・教育事業」、「EC事業」、「投資・インキュベーション事業」の5報告セグメントに大別される。2021年6月期第二四半期にSFA事業を営む連結子会社4779ソフトブレーンへの公開買付けが成立したため、従来含まれていた「SFA事業」は非継続事業に分類すると共に、セグメント分類を一新。2021年6月期第2四半期の売上収益4,285百万円の構成比は、IT/AI/IoT/DX事業45.1%、カスタマーサポート事業24.2%、人材・教育事業15.4%、EC事業14.5%、投資・インキュベーション事業0.8%である。セグメント利益は全社費用配賦後でIT/AI/IoT/DX事業が305百万円、カスタマーサポート事業が4百万円を計上し、他の事業はいずれも赤字であった。連結営業利益は25百万円。

事業モデル

IT/AI/IoT/DX事業は、企業と顧客のコミュニケーションをサポートする様々なITシステムをSaaS/ASP型サービスを中心に提供。様々なサービスを提供しており、大手企業への導入実績も豊富。自社サイトのユーザビリティ向上を実現するサイト内検索エンジンの「i-search」や、ロート製薬株式会社や雪印メグミルクへ新規導入が決まったFAQサービスの「i-ask」などを提供する。また、マイナンバーカードと連携した本人認証を行えるスマホアプリ「xID」の提供を開始し、大手生命保険のWeb申請時の本人確認機能などに採用が決まっている。民間企業だけでなく、行政・自治体のDX推進や、クラウド型活動管理ツールの企画・開発・販売なども行う。
カスタマーサポート事業は、コールセンター運営や各種BPO等カスタマーサポートに関わるコンサルティングサービスをワンストップで提供。
人材・教育事業は人材採用、幼児教育、運動教育、海外人材の雇用サポートを行う。
EC事業は対戦型ゲームのトレーディングカード売買を行うECサイトを運営する。
投資・インキュベーション事業は、子会社でジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社でのアナリストレポート・統合報告書作成などの支援や、SCSV1号投資事業有限責任組合などの投資ファンド運営を行う。
事業環境は、総務省が発表した20年版情報通信白書によると世界のIoTデバイス数は19年の約254億台から、普及が進み省力化促進、効率化の進展が見込まれ、22年には約348億台に伸長するという。当社事業領域の需要は高まることがみこまれる。

競合他社

展開する幅広いサービスにそれぞれ競合企業がいると見られるが、主力とみられるサイト内検索エンジンでは、4819デジタルガレージのグループ会社であるナビプラス株式会社が提供する『Navi Plus』などが公開導入実績数ではNo.1を謳っており、最大の競合とみられる。

連結の範囲

持株会社である同社傘下に連結子会社10社を抱えグループを構成しているとみられる。2020年6月の有価証券報告書では12社報告されていたが、ソフトブレーングループの非連結化で2社減少するとみられる。

強み・弱み

国内の大企業や政府・自治体などへも導入実績を有する点が強み。約10年間で売上高は10倍に拡大しており、事業領域の社会的な需要拡大もあるが、積極的なM&Aによるところが大きい。ソフトブレーンのグループ離脱を受けて170名前後の従業員数が減少するとみられるが、2016年6月期の158名から4倍近い約560名のグループ社員を抱え、組織は急拡大してきた。成長を維持するには組織の管理体制を強化し、従業員とのエンゲージメントを高めていくことが課題だろうと見られる。ソフトブレーンの非グループ化を受けて縮小する業績規模と利益率の向上も課題

KPI

i-earchの利用社数、などがKPIになると思われるが開示はない。

業績

M&Aを活用しながら、業容を拡大してきた。取得時の段階取得差益の計上もあり、非連続ではあるが、均してみればコロナ禍の影響を受けるまでは売上高・利益ともに伸長してきた。2021年6月期はソフトブレーンが連結対象外となることから、売上高・利益の水準は大幅に減少する会社計画である。2021年6月期第2四半期の親会社所有者帰属持分比率は29.7%であった。恒常的に、営業CFはプラスで投資CFはマイナスで推移し、M&Aのための短期借入や新株発行などで財務CFはプラスの期もあり安定しない。