8897 タカラレーベンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1972年9月に株式会社宝工務店を東京都板橋区に設立し、1973年1月より不動産業を開業。1982年3月に賃貸事業を開始。1994年6月より自社分譲マンションの「レーベンハイム」シリーズを販売開始。2000年10月に株式会社タカラレーベンに商号変更。2001年11月JASDAQ上場、2003年4月東証二部、2004年3月東証一部へ変更。首都圏を地盤に、「レーベン」シリーズや「ネベル」シリーズの分譲マンションを販売する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、取締役会長の村山義男氏で23.59%、次いで日本マスタートラスト信託銀行の信託口で5.0%、日本カストディ信託銀行の信託口が別口で3.4%と2.7%、有限会社村山企画が1.8%等、他は国内外の信託銀行の信託口が中心である。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は13名(社内9名、社外4名)、監査役3名 (全員社外)、監査役会設置会社である。取締役会長の村山義男氏は1972年9月に同社を設立し、専務取締役に就任。1973年3月代表取締役社長、2014年4月代表取締役会長を経て、2016年6月現職へ就任。同氏を含めて社内取締役のうち6名は、プロパー社員とみられる。プロパー以外の社内取締役は、COOの清水一孝氏はトヨタ自動車株式会社で約7年の勤務歴を有し、同社関連会社を経て2019年6月より現職。CFOの山本昌氏は三井住友銀行で法人営業本部長の経歴を有し、2016年5月より同社へ入社し、子会社取締役などを経て2017年6月より同社取締役を務める。常務の秋澤昭一氏は三菱地所レジデンス株式会社や有限会社エイテック等、不動産関連の数社を経て、2019年より同社で取締役を務める。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の島田和一氏は1965年12月生まれ。1987年5月に同社に入社。開発部門と建設部門に従事。1998年6月に取締役、2000年6月に常務取締役、2006年6月に代表取締役副社長を経て、2019年6月に現職へ就任

報告セグメント

「不動産販売事業」、「不動産賃貸事業」、「不動産管理事業、「発電事業」の4報告セグメントに大別される。これらに含まれない事業セグメント「その他」には、投資運用事業、建設の請負事業、修繕工事事業等が含まれる。2021年3月期第3四半期は売上高88,271百万円の内、不動産販売事業が65,422百万円で74.1%、不動産賃貸事業が4,278百万円で4.8%、不動産管理事業が4,087百万円で4.6%、発電事業が10,025百万円で11.4%、その他が4,457百万円で5.0%を占める。
セグメント利益は期により変動が大きいが、不動産賃貸事業は利益率が最も高く10~20%。次に発電事業の利益率が高く、10%台を超える期もある。不動産販売事業は1桁前半の利益率で、不動産管理事業は赤字が続く。

事業モデル

関東の首都通勤圏内 を地盤に、全国で不動産事業を展開する。主力の不動産販売事業では、「レーベン」、「ネベル」シリーズを代表とする新築分譲マンションや戸建分譲の企画・販売や、取得不動産の流動化事業を展開 する。
新築分譲マンションでの売上が全体売上高の約半分を占め、用地購入から企画や開発、販売まで自社で一貫して行う。エリアごとにターゲット層を絞り、都心部ではファミリー層やシングル層に加えて、近年増加するDINKS層(子どもを持たない共働き家庭)を新たにターゲティング。ファミリー層向け分譲マンション「レーベン」シリーズとは別に、シングル層やDINKS層向け都市型コンパクトマンション「ネベル」シリーズを展開する。地方中心市街地はアクティブシニア層をターゲットに置く。同社HPによると、2019年全国マンション供給戸数ランキングでは8番手、年間2,200戸の供給を目指す。西日本地域への本格進出は2019年前後。グッドデザイン賞を2016年から連続4年で受賞するなど、住みよい土地に環境・機能・見た目に配慮した物件を手ごろな価格で供給していることが特徴 。
ニーズの高まる中古マンション市場では、地価の高いエリアを中心に中古マンションを積極的に仕入れる。退去後にリニューアルを自社で行い再販するという収益サイクルを構築。
不動産賃貸事業では居住用マンションやアパート、オフィスの賃貸を展開。不動産管理事業では自社及び他社の分譲マンションを中心に、総合管理業務を行う。発電事業では再生可能エネルギーを活用して発電した電力を電力会社に販売する。
その他の事業では、インフラファンドやREIT等の投資運用事業や、建設請負事業、リハビリ特化型福祉施設等の介護事業やホテル事業 も手掛ける。

同社HP TOP>企業情報>実績・GOOD DESIGN

競合他社

新築マンションの供給数では業界大手の5社 3231野村不動産ホールディングス(供給戸数4,000戸前後)や、8830住友不動産(同5,000戸超)、3254プレサンスコーポレーション(同5,000戸超)、三菱地所、三井不動産まで(同2,000戸超)と続き、同社は東急不動産や大和ハウス工業など6~9番手を争うことが多いが、価格帯やターゲット層・立地の観点で戦略は各社各様。賃貸ビルやマンションに強い8804東京建物(2020年12月期営業収益334,980百万円)、不動産再生事業やREIT運用事業を行う2337いちご(2020年2月期売上高87,360百万円)なども事業によっては競合になるとみられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社17社と持分法適用関連会社3社から構成される。主要な連結子会社には、東日本を中心に不動産販売事業を行う株式会社タカラレーベン東北や、西日本を中心に不動産販売事業を行う株式会社タカラレーベン西日本、分譲マンションの総合管理事業を行う株式会社レーベンコミュニティ、投資運用業を中心に行うタカラアセットマネジメント株式会社等が挙げられる。主要な持分法適用関連会社には、都心部を中心に新築分譲マンションの企画から販売を手掛ける株式会社サンウッドが挙げられる。

強み・弱み

新築分譲マンションや戸建分譲の企画から販売までを自社で行う一貫体制が強み。新型コロナ流行の影響でマンション供給戸数は減少したものの、事業者別発売戸数ランキングでは、7年連続トップ10入りを果たす。少子高齢化に伴う人口減や、首都圏を中心としたマンション販売価格の高騰ペースの鈍化が懸念点

KPI

不動産の調達にあたり有利子負債を活用していること、不動産市況が仕入・販売に与える影響が大きいことから、次の2点がKPIと考えられる。
長短プライムレートやTiborの推移(日本銀行公表)
首都圏及び全国のマンション市場動向 価格・契約率・新規発売戸数の推移(不動産経済研究所)

業績

2016年3月期から2020年3月期の過去5期で売上高は約2.2倍に増加、経常利益は約1.7倍に増加。営業CFはプラスを継続、投資CFは継続してマイナス。財務CFは2020年3月期を除いてプラスを継続。自己資本比率は2020年3月期で25.9%と、前期の25.6%からほぼ横ばい。LTV(総資産有利子負債比率)比率は58.3%、LTV60%未満、D/Eレシオ3倍未満との方針で運営。