6272 レオン自動機の業績について考察してみた

6272 レオン自動機の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1963年3月、レオン自動機株式会社として自動包あん機(具を生地で包み自動整形する機械)の製造販売を目的に設立。栃木県に本社を置く。包あん機の開発は同社が世界初である。1968年より包あん機の輸出を開始。1975年にはパン・菓子の生産ラインを開発し、販売を開始した。1987年2月、東証二部へ上場。1989年9月に東証一部へ市場変更している。2020年、経済産業省が選定する「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」に選ばれた。

2022年3月期 第2四半期 決算説明会用資料

株主構成

有価証券報告書によると、2021年9月末日時点の筆頭株主は公益財団法人林レオロジー記念財団で11.3%を保有する。同財団は創業者の林虎彦夫妻によって設立され、奨学金事業や食品産業に対する助成金事業を営む。続いて日本マスタートラスト信託銀行の信託口が10.2%、ラム商事有限会社が6.4%、レオン自動機取引先持株会が5.8%を保有する。以下、保有割合5%未満で信託銀行の信託口や銀行、従業員持株会がならぶ。外国人保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は3名(社内常勤1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役はいずれもプロパー社員とみられる50代後半~70代。取締役会長の田代康憲氏は1947年7月生まれ。日本生産大学を卒業後、同社に入社。田代氏は林虎彦氏の愛弟子で、林氏に指導を受けながら包あん機の仕組みを開発したといわれている。1987年6月より取締役、常務取締役を歴任。2011年2月より3代目の代表取締役社長を務めた。2017年秋の叙勲では、包あん機の改良を通じて食文化の発展に貢献したとして旭日小綬章を受賞。2021年4月、現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小林幹央氏は1955年2月生まれ。明治大学を卒業後、同社に入社。技術サービス部長、オレンジベーカリー社長などを経て、2015年6月に取締役へと就任した。食品製造販売事業を担当し、2018年からは管理本部長も担うなど、田代元社長を支えてきた。2021年4月より現職を務める。

報告セグメント

食品加工機械を開発・製造・販売する「食品加工機械製造販売事業」と、パン・菓子、天然酵母パン種の開発・製造・販売をおこなう「食品製造販売事業」の2報告セグメントに分類される。2022年3月期第3四半期累計の売上高19,691百万円の構成比は、食品加工機械製造販売事業67.1%、食品製造販売事業22.3%である。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

事業モデル

食品加工機械製造販売事業では、レオロジー(流動学)を基礎とする開発技術で食品加工機械を製造・販売する。国内で機械を生産し、国内8拠点と海外の販売子会社(アジアは本社直販)を通じて製品を販売している。取引業界は製パン業、製菓業、水産・ハムソーセージ業、惣菜・調理業など幅広い。
顧客が機械を購入する際には、技術的な相談や納入時の操作指導、生産開始のサポート、新製品開発のための情報提供などソフト面での広範囲なサービス提供もおこなう。
食品製造販売事業は米国の子会社「オレンジベーカリー」と国内子会社の「星の天然酵母パン種」を中心に事業活動をおこなう。
「オレンジベーカリー」はクロワッサンやデニッシュなど付加価値の高いパンを製造し、スーパーやレストラン、ホテルなどに販売する。「ホシノ天然酵母パン種」はホシノ酵母をパン屋を中心に卸している。
コロナ禍においてコンビニ・スーパー業界は堅調に推移。自社工場内での食品機械設備の投資を増やしている。飲食業界、観光土産物業界については依然として厳しい状況が続く。
また小麦やマーガリンなどの原材料価格や原油価格の高騰、コンテナ不足による輸出への影響も顕在化しており、この影響は今後も続くとみられる。

競合他社

同社は包あん機、自動化シートラインで90%の国内シェアを握る。非上場の株式会社コバードも包あん機の製造を手がけるが、国内上場企業で同様の食品製造機械メーカーは見当たらない。同社の製品は世界126の国と地域に輸出されており、海外においても競合は少ないと考えられる。

2022年3月期 第2四半期 決算説明会用資料

連結の範囲

連結子会社は5社あり、国内2社、海外3社で構成される。このうち主要な子会社は同社商品の販売をおこなうドイツのレオンヨーロッパと、パン・菓子の製造販売をおこなうアメリカのオレンジベーカリーである。両社の売上高が連結売上高に占める割合はそれぞれ10%を超えている。

強み・弱み

ハード・ソフトの両面を兼ね備えた販売活動が強み。ハード面ではレオロジー(流動学)を機械に応用した独自の開発技術を持つ。特許の保有数は国内で154件、海外で368件にのぼる。またソフト面では顧客の生産現場をサポートするメンテナンス力と情報提供力を誇る。2020年11月には本社敷地内にソリューションセンターを稼働。実機を利用しながら、消費者の需要の変化に沿った食品製造を提案する。一方、米ドルやユーロなど外貨建ての売上高が40%以上と高いため、為替変動による業績への影響が懸念される。

KPI

同社は2019年3月期から2023年3月期の中期経営計画でアジア市場のシェア拡大を掲げている。よってアジア地域における売上高の推移はKPIとなりうる。また米ドル・ユーロの為替推移もKPIと考えられる。
①2022年3月期第3四半期 アジア地域での売上高:2,115百万円(前年同期比+19.5%)
②2022年4月15日 米ドルレート:1ドル126.45円(前年同日比 19.54円安)
③2022年4月15日 ユーロレート:1ユーロ136.65円(前年同日比 10.20円安)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2019年3月期をピークに2期連続で減収。コロナ感染症拡大の影響により、グローバル経済が停滞し、設備投資が急速に落ち込んでおり、景気に遅行して推移する食品加工機械への投資が回復し売上が上向くのにはもうしばらく時間を要すとみられる。2021年3月期は22,280百万円となり、2017年3月期の25,450百万円を割った。経常利益も直近3期連続で減益となり、2017年3月期の3,348百万円から1,622百万円へ▲51.6%の落ち込みである。生産設備を抱えており、投資CFは恒常的にマイナス、営業CFは安定的にプラスでの推移。創業59期目ながら、自己資本比率は70%以上をキープしている。

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