6166 中村超硬の業績について考察してみた

6166 中村超硬の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1954年10月に大阪府にてミシン用の小ネジを作る「中村鉄工所」として創業。1970年12月に株式会社中村超硬を設立。2008年4月には日本ノズル株式会社を連結子会社化、2013年2月には中国に連結子会社を設立するなど業容を拡大。現在は、ダイヤモンドや超硬合金などを用いた特殊精密部品や工具の開発・製造・販売等を行っている。 2015年6月東証マザーズ上場

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、SBI証券で4.74%、次いで楽天証券3.29%と、保有割合が5%を超える大株主は存在しない。以下は代表取締役社長の井上誠氏、その親族とみられる個人名や資産管理会社、取引先とみられる法人名、外国銀行のカスタマーアカウント等が並ぶ。また、2020年6月26日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満である

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員が中途入社で、ソニー、シャープ、日立造船出身など経歴は様々である

代表取締役の経歴

代表取締役社長の井上誠氏は1954年5月生まれ。大阪大学工学部卒業後、1978年4月にソニー入社。1983年12月に義父が経営していた同社に入社した。1987年3月に専務取締役に就任した後、1995年4月より現職を務める

報告セグメント

同社の報告セグメントは、「電子材料スライス事業」、「特殊精密機器事業」、「化学繊維用紡糸ノズル事業」、「マテリアルサイエンス事業」の4報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期の売上高2,351百万円のうち、化学繊維用紡糸ノズル事業が75.8%、特殊精密機器事業が23.9%と2セグメントで太宗を占める。化学繊維用紡糸ノズル事業はコロナ禍のマスク需要から不織布関連事業の受注が好調で前年同期比89.3%増だった。一方で電子材料スライス事業に属するダイヤモンドワイヤ生産事業から撤退しており、同セグメントの売上高は前年同期比99.7%減となった。利益に関しても同様で、電子スライス周辺事業とマテリアルサイエンス事業は赤字だった。

事業モデル

電子材料スライス事業は、前述の通りダイヤモンドワイヤの製造販売から撤退し、現在はダイヤモンドワイヤの製造装置の開発・販売へ事業モデルを転換している。ダイヤモンドワイヤは太陽電池パネルの主要パーツであるシリコンウエハをインゴット(塊)から切り出す工具として使用される。特殊精密機器事業は主に自動車部品、ベアリング製造用工業機械、電子部品実装用産業機械などに用いられる特殊精密部品の製造、販売を行っている。化学繊維用紡糸ノズル事業は、連結子会社の日本ノズル株式会社にて近年引き合いの多い不織布製造装置や不織布用ノズル等の設計、製造、販売を行っている。マテリアルサイエンス事業は新規事業としてゼオライトという鉱物を用いた開発事業に取り組んでいる。また2020年3月期時点の地位別売上高は日本47.2%、中国36.9%で、主要な顧客として2期続けて中国の顧客名が開示されていたが、いずれも電子材料スライス周辺事業の顧客でダイヤモンドワイヤ生産事業からの撤退により今後変化することが見込まれる。

同社HPトップ>事業紹介>ダイヤモンドワイヤ

競合他社

ダイヤモンド工具国内首位の、6140旭ダイヤモンド工業(2020年3月期売上高353億円)が挙げられる。また、化学繊維用紡糸ノズル事業では非上場の株式会社化繊ノズル製作所や3402東レの子会社である東レ・プレシジョン株式会社などが該当するのではないかと見られる。

連結の範囲

機械装置、紡糸用ノズル等の製造・販売を行う日本ノズル株式会社と、中国での販売を担う上海那科夢楽商貿有限公司の2社が連結子会社に該当する。

強み・弱み

ダイヤモンドを筆頭とする硬い材料に高精度な加工を行う技術を有することが同社の強み。産学連携の研究開発にも積極的で、新規事業への参入も積極的である。一方で中国への事業、売上依存が大きく、近年は業績の変動が大きい。撤退を決めたダイヤモンドワイヤ製造販売にかわる事業の早期育成が同社の課題。

2021年3月期第2四半期決算説明会資料

KPI

新規事業ゼオライト関連の事業化は2022年3月期を目指しており、依然として足もとは中国の動向が同社の主なPMIとなる。
①中国PMI(2021年8月50.6)
②為替(中国元)
③不織布関連分野受注額(2020年第2四半期時点で25億円の受注残)

業績

売上高、利益ともに変動が大きい。ダイヤモンドワイヤの需要拡大を主な要因として、2018年3月期には売上高12,140百万円を誇ったが、翌2019年3月期は一転、ダイヤモンドワイヤの出荷量が大きく減少(ダイヤモンドワイヤを使う太陽光発電設備に対する補助金を中国政府が打ち切ったことが影響)、販売価格も7割下落したことから、売上高は4,809百万円と減収、債務超過となった。前述の通りダイヤモンドワイヤ事業から撤退し、生産設備の売却などのリストラ策や、新株予約権の発行などで2020年3月期には債務超過を解消している