6376 日機装の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1953年12月、米国ミルトン・ロイポンプの輸入販売などを目的として、特殊ポンプ工業株式会社として設立。1954年には米国ミルトン・ロイポンプ社の総代理店となり、1955年には技術導入により国産化。1959年10月日本機械計装株式会社に商号変更。1960年7月には日本初の人工心臓駆動装置を開発し医療分野にも進出。1961年5月には共和紙工株式会社に吸収合併されるが、実質上の存続会社は日本機械計装株式会社で、1961年10月東証二部上場、1971年2月東証一部変更。1968年11月に現社名である日機装株式会社に商号変更

株主構成

有価証券報告書によると2020年6月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が5.5%、次いで自社保有分4.0%、日機装持株会が3.8%、他にも国内外の信託銀行等の信託口を中心とした株主が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は7名(社内5名、社外2名)、監査役は4名(常勤2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役社長を除く4名の社内取締役についてはいずれも30年以上同社に勤務しており、プロパー社員とみられる

代表取締役の経歴

代表取締役社長の甲斐敏彦氏は1946年8月生まれ。東京大学経済学部卒業後、株式会社第一勧業銀行入社。1996年2月、オランダ第一勧業銀行総支配人を経て、2000年3月に当社入社。2002年4月、当社医療機器カンパニー(現 当社メディカル事業本部)プレジデント、2003年6月当社取締役を経て、2004年12月に現職へ就任
「工業部門」、「医療部門」の2報告セグメントに大別され、2020年12月期の売上収益158,542百万円の構成比は工業部門57.9%、医療部門42.1%である 。工業部門はインダストリアル事業と航空宇宙事業からなり、インダストリアル事業が87.7%を占める。セグメント利益は工業部門で6,492百万円、医療部門で7,652百万円稼ぎ調整後のセグメント利益合計は10,229百万円と医療部門の利益率が高い。地域別売上収益でみた海外比率は61%と高く、日本39%、アジア23%、欧州19%、北米16%、その他3%。

020年12月期 決算説明会資料

事業モデル

「工業部門」の中でも主力のインダストリアル事業では、原油や天然ガスの採掘現場や化学プラントで利用されるポンプ・システムを製造しており、エネルギー産業向けに販売している。2020年2月期よりインダストリアル事業の統合された精密機器事業は発電所向けのボイラ缶水処理システムが強みで国内外に顧客を持つ他、電子部品製造関連装置も手掛ける。国内生産設備は、東京都東村山市、宮崎県、静岡県、石川県などに製作所や研究所を有す。ポンプ製品はドイツ・アメリカが主力の生産拠点で、一部は中国や台湾でも生産する。航空宇宙事業では世界シェア90%を誇る炭素繊維強化プラスチック製ジェットエンジンナセル部品「カスケード」などを、米ボーイングや仏エアバスといった航空機メーカーに供給している。生産拠点は一部の部品をベトナムで生産する。
「医療部門」人工透析装置の製造・販売が主力で、国内医療機関向けで高いシェアを持つ他、ヨーロッパ・アジア向けも好調。消耗品の血液回路をベトナムやタイで生産し、人工透析装置の一部を中国の合弁会社で生産する。

競合他社

工業部門のポンプ事業で競合する上場企業としては6361荏原製作所(2020年12月期売上高523,727百万円)や、6333帝国電機製作所(2020年3月期売上高23,576百万円)が挙げられる。また、医療部門の透析機器製造で競合する上場企業としては8086ニプロ(2020年3月期売上高442,516百万円)が挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社74社、非連結子会社6社から構成される。国内の主要子会社として はポンプや水処理製品を扱う日機装エイコー株式会社や、航空機部品製造を手掛ける宮崎日機装株式会社などがある。海外ではアメリカ、ドイツ、オランダ、中国、タイ、ベトナムなどに多数の子会社を擁する。

強み・弱み

工業部門では化学用精密ポンプ航空機部品、医療部門では人工腎臓透析機器などで高いシェア を持っている点が強み。一方、同社の販売や生産における海外比率が上昇している点はリスクともなり得る。現地における法規制や政治経済情勢の変化、為替変動などに適切に対処していくことが課題になるとみられる。

KPI

為替感応度が高い為、ドル円およびユーロ円の為替の動きは最低限の確認が必要となる。加えて、同社がKPIに掲げるセグメント別の受注高の推移がKPIとなる。2020年12月期の実績は以下。
・工業部門 受注高 93,222百万円(インダストリアル81,736百万円、航空宇宙9,655百万円)
・医療部門 受注高 68,127百万円

業績

2017年12月期より国際財務報告基準に移行。移行後4期分の経営状況をみると、売上収益、営業利益とも2019年12月期までは増加しており、2019年12月期の営業利益は12,466百万円と3期間で約1.42倍となったが、2020年12月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が航空宇宙事業を中心に減収となったため営業利益も9,045百万円と減益であった。営業CFは恒常的にプラスで、投資CFは恒常的にマイナス財務CFはマイナス傾向だが、2017年12月期は短期借入れによる収入を背景にプラスとなった。2020年12月期の親会社所有者帰属持分比率は31.6%