2151 タケエイの業績について考察してみた

2151 タケエイの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1967年2月前会長である藤本武志氏が建設廃棄物の処理を専業とする個人事業を神奈川県にて開始。その後1977年3月に武栄建設興業株式会社(現:株式会社タケエイ)が設立される。1988年10月、株式会社タケエイに商号変更。2007年5月東証マザーズ上場、2012年7月東証一部へ変更。複数の環境関連事業を展開し、廃棄物処理・リサイクル事業が主力。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年9月末日時点の大株主は株式会社日本カストディ銀行と日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で併せて26.8%を保有する。次いで代表取締役会長の三木守氏が6.1%を保有。そのほか保有割合5%未満で国内外の信託銀行等の信託口などが続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役9名(社内7名、社外2名)、監査役3名(社外2名、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表取締役を除く5名の取締役の年齢は60代から70代で、経歴や入社時期はさまざま。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の三本守氏は1947年6月生まれ。創業者の藤本武志氏と小学生からの仲。三本氏は高校卒業後、日雇い労働者として土木工事の現場を転々としていた。1968年、すでに土木事業を興していた藤本氏が三本氏に声をかけ「武栄土木」を共同経営することとなる。当時まだ建設廃棄物の処分専門業者がいなかったことに目をつけ、同社の原点となる廃棄物の回収・運搬を専業でおこなう事業を開始した。1983年6月に同社代表取締役社長に就任し、2010年6月に現職に就任。
代表取締役社長の阿部光男氏は1960年6月生まれ。1983年に早稲田大学商学部を卒業後、協和銀行(現:りそな銀行)に入行する。2017年3月りそな決済サービス株式会社代表取締役社長を退任。4月に同社へ入社し、執行役員経営企画本部副本部長に就任する。2019年6月より現職を務める。

報告セグメント

「廃棄物処理・リサイクル事業」、「再生可能エネルギー事業」、「環境エンジニアリング事業」、「環境コンサルティング事業」の4報告セグメントに大別され、直近2021年3月期第3四半期の売上高30,251百万円の構成比は廃棄物処理・リサイクル事業が60.1%、再生可能エネルギー事業が25.7%、続いて環境エンジニアリング事業が11.6%、環境コンサルティング事業が2.6%である。一方で同期の営業利益2,893百万円については廃棄物処理・リサイクル事業が80%を構成する。

事業モデル

主力の廃棄物処理・リサイクル事業では廃棄物の収集運搬から再資源化・最終処分まで、一貫処理システムを実現している。この処理システムは4つのステージで構成される。まず建設現場や工場から出る産業廃棄物を収集し、リサイクル工場まで運搬する「廃棄物の収集運搬」業務。廃棄物を品目ごとに適切に選別した後、破砕や圧縮をおこなう「中間処理」業務。リサイクル可能な品目を再生素材・エネルギー資源に加工して出荷する「再資源化」業務。リサイクルできないものを自社最終処分場に埋め立てる「最終処分場運営」業務である。リサイクル品として生まれかわった資源は建設会社やバイオマス発電施設、さまざまな素材メーカーへ供給されている。また埋め立てを終えた最終処分場の跡地を利用してパークゴルフ場や太陽光発電施設を運営する。
なお同社は2014年頃より再生可能エネルギー事業に注力し、発電事業へ参入している。2021年3月現在、同社HPによると森林間伐材を燃料としたバイオマス発電所を5ヵ所(稼働中3ヵ所、計画中2ヵ所)保有。あわせてバイオマス発電用燃料の製造・供給と売電事業を展開する。
廃棄物処理・リサイクル業界においては、法的規制などの背景からより高度な環境対応や廃棄物リサイクルのニーズが高まっている。よって設備投資ができる体力、ノウハウ、廃棄物の排出者からリサイクル品の利用先まで巻き込んだサービス体制の構築が重要になると考えられる。

競合他社

廃棄物処理・リサイクル業の競合としては非上場の大栄環境グループ、5698エンビプロ・ホールディングスがあげられる。2020年度の同社売上高377億円に対して、大栄環境グループは610億円、エンビプロ・ホールディングスは338億円である。

連結の範囲

2020年12月31日現在で連結子会社は30社、非連結子会社が1社、持分法適用関連会社は4社と多く、すべて国内の会社である。このうち環境エンジニアリング事業を担う富士車輌株式会社は2020年度3月期の売上高が5,679百万円であり、連結売上高に占める割合が10%を超えている。また再生可能エネルギー事業に注力している面から、木質バイオマス発電をおこなう株式会社津軽バイオマスエナジー、株式会社花巻バイオマスエナジーも主要な子会社といえる

強み・弱み

廃棄物処理業はエリア、処理品目、業種区分などによってマーケットが細分化している。同社は廃棄物の収集運搬から再資源化・最終処分までをすべて担う、一貫処理システムを持つ点が強みである。しかし人口減少にともない、廃棄物総量は減少していくと考えられる。営業利益の80%を廃棄物処理・リサイクル業が構成する同社においては、今後ニーズが高まると考えられる再生エネルギー事業の育成が課題である。

KPI

再生エネルギー事業の営業利益、産業廃棄物の排出量、新エネルギー(風力・太陽光・地熱・バイオマス・廃棄物発電)の発電電力量はKPIとなりうる。
①再生エネルギー事業2021年3月期第3四半期の営業利益:616百万円(前年同期比+144.8%)
②産業廃棄物の排出量(2018年度):376百万t(前年度比▲2%)※1
③新エネルギー発電電力量(2019年度):420億kWh(前年度比+13.5%)※2
※1 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」より
※2 資源エネルギー庁「電力調査統計」より

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2016年3月期から2020年3月期までの5期間で売上高は+32%、経常利益は+42.3%となった。営業CFと財務CFは安定してプラス、投資CFは恒常的にマイナスで推移している。