4958 長谷川香料の業績について考察してみた

4958 長谷川香料の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q2 2023.03 15,798 2,053 13%
FY2023.Q3 2023.06 16,852 2,360 14%
FY2023.Q4 2023.09 16,709 1,562 9.35%
FY2024.Q1 2023.12 16,413 1,828 11.14%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q2 2017.03 11,449 1,619 14.14%
FY2017.Q3 2017.06 12,385 1,299 10.49%
FY2017.Q4 2017.09 12,625 1,230 9.74%
FY2018.Q1 2017.12 11,655 1,009 8.66%
FY2018.Q2 2018.03 11,807 1,138 9.64%
FY2018.Q3 2018.06 13,400 1,741 12.99%
FY2018.Q4 2018.09 12,889 1,170 9.08%
FY2019.Q1 2018.12 12,126 959 7.91%
FY2019.Q2 2019.03 12,342 1,262 10.23%
FY2019.Q3 2019.06 13,250 1,632 12.32%
FY2019.Q4 2019.09 12,775 825 6.46%
FY2020.Q1 2019.12 12,333 1,238 10.04%
FY2020.Q2 2020.03 12,129 1,231 10.15%
FY2020.Q3 2020.06 13,186 1,870 14.18%
FY2020.Q4 2020.09 12,544 1,017 8.11%
FY2021.Q1 2020.12 12,164 1,009 8.29%
FY2021.Q2 2021.03 13,971 1,959 14.02%
FY2021.Q3 2021.06 14,988 2,319 15.47%
FY2021.Q4 2021.09 14,632 1,572 10.74%
FY2022.Q1 2021.12 14,295 1,614 11.29%
FY2022.Q2 2022.03 14,904 2,209 14.82%
FY2022.Q3 2022.06 16,591 2,409 14.52%
FY2022.Q4 2022.09 16,608 1,819 10.95%
FY2023.Q1 2022.12 15,515 1,532 9.87%
FY2023.Q2 2023.03 15,798 2,053 13%
FY2023.Q3 2023.06 16,852 2,360 14%
FY2023.Q4 2023.09 16,709 1,562 9.35%
FY2024.Q1 2023.12 16,413 1,828 11.14%

沿革

1903年5月、東京都にて前身の長谷川藤太郎商店を設立、香料の取扱を開始。1948年12月に法人化され、株式会社長谷川藤太郎商店を設立。1961年12月に株式会社長谷川藤太郎商店の一切の業務を引き継ぐ形で長谷川香料株式会社が設立。1978年12月には米国に、1990年11月にシンガポール(現在は閉鎖)に現地法人を設立するなど、米国、アジアに事業展開している。株式は2000年3月に東証二部に上場、2001年3月に東証一部へ変更、現在は東証プライム化粧品や食品に用いられる香料の製造および販売事業を行っている

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、株式会社長谷川藤太郎商店16.09%。JPモルガンチェース銀行の米国住所、英国住所が合わせて19.65%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が11.47%で続き、以降は保有割合5%未満で公益財団法人長谷川留学生奨学財団、海外金融機関長谷川香料従業員持株会、2802味の素となっている。尚、大量保有報告書によると、ファースト・イーグル・インベストメン・トマネジメント(米国)、バーガンディAM(カナダ)、マサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ(米国)の保有割合がそれぞれ5%を超えると報告されている。外国人保有比率は30%以上

取締役会

取締役8名(社内5名、社外3名)、監査役は4名(社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役はプロパー2名、現在の三井住友銀行出身者2名、8058三菱商事出身者1名で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役社長兼社長執行役員の海野隆雄氏は1947年3月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1970年4月に現在の三井住友銀行に入行。2004年6月より現SMBCファイナンスサービス株式会社の代表取締役社長を務めた後、2008年6月に同社常勤顧問として入社。事務管理部門、海外事業部門を歴任した後、2017年11月に同社代表取締役社長に就任した
代表取締役兼副社長執行役員の知野善明氏は1950年1月生まれ。1972年4月同社に入社。2006年12月執行役員、2014年12月取締役に就任するなど、社内の要職を歴任。2021年12月前代表取締役の長谷川徳二郎氏退任にあたり、現職に就任した

報告セグメント

「日本」、「アジア」、「米国」の、地域別3報告セグメントに大別される。2022 年9月期第2四半期売上高29,295百万円の構成比でみると日本63.9%、アジア21.4%、米国18.9%。セグメント利益3,832百万円の構成比は日本が6割超、アジアが3割弱、残りが米国と米国の利益率が低い

事業モデル

天然香料や合成香料を原料として調達し、調合を行い調合香料として販売を行う。調達先は多岐に渡る。製造拠点は国内のほか、中国、マレーシア、米国に持つ。調合香料は化粧品やトイレタリー製品等に用いられるフレグランス部門とフレーバー(食品)部門に大別されるが、フレーバー部門向けが同社売上高の86%を占める。同部門の販売先業界別割合は飲料業界向けが約32%、乳業業界向けが約25%と続く。健康志向に根ざした低糖・低塩・低脂肪の食品に美味しさや加える香料の開発などに取り組んでいるほか、食資源不足等の社会問題解決に向けた食品材料を代替する香料の開発にも注力している。

2021年9月期決算説明会 資料

国内市場は少子高齢化に伴い成熟化が進むなか、中国、東南アジアを中心としたアジア地域および米国等にグローバル展開を進めている。

競合他社

香料で国内1位の4914高砂香料工業(2021年3月期売上高150,367百万円)が挙げられる。他、海外企業の競合は下図の通り。同社は世界9位、国内2位に位置する。

2021年9月期決算説明会 資料

連結の範囲

連結子会社は9社。日本国内にて農畜産物の加工・販売を行う長谷川ビジネスサービス株式会社、海外現地法人として、米国(2拠点)、中国(2拠点)、マレーシア、インドネシア、タイ、台湾の合計7社が該当する。

強み・弱み

変化していく顧客ニーズに対応するため恒常的な設備投資、研究開発費の支出が必要なこと、持ち合い株式の状況から取引先の食品メーカー、生活用品メーカーと相応の関係性が構築されており参入障壁が高いと考えられ、同社の国内2位という規模は強みと言える。一方で、取引先の最終製品の売行き、原材料の調達価格は同社の業績に影響を与えるため、取引先業界や調達先の更なる多様化が求められること、国内市場は成熟しており、今後成長が見込める東南アジア等への更なる展開が課題となる。

KPI

①香料市場規模(2019年約298億ドルで前年比約7%増加、同社2021年9月期決算説明会資料より)
②為替動向(米ドル、人民元、マレーシアリンギットなど)
③原材料調達価格(原油や精油から抽出される化合物、天然の動植物など多岐に渡る)

業績

2017年9月期以降の業績をみると売上高は安定成長で推移していたものの、2020年9月期は取引の多い飲料業界がコロナ禍により販売低調だったことや、得意先の新商品発売延期・中止の影響と減収となった。但し2021年9月期は前期比+11.0%の増収と回復が見られた。営業利益率は10%前後で推移していたが2021年9月期は売上原価の改善もあり12.3%(競合の4914高砂香料の営業利益率は4.18%であり、同社はより付加価値の高い製品を提供しているものと考えられる)。フリーCFは2017年9月期および2021年9月期に子会社取得などによりマイナスとなった以外はプラス。自己資本比率は概ね80%前後で、無借金経営

関連ありそうな記事