2004 昭和産業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1936年2月昭和産業株式会社として小麦粉、植物油脂等の製造販売を目的に宮城県にて設立された。 同年より肥料、小麦粉、食用油の製造を始める。1942年から1945年にかけて戦災などにより工場の休止、整理、売却が相次ぐも1949年5月東証一部へ上場。1961年には国内初の天ぷら専用粉「昭和天ぷら粉」を発売し、看板商品となる。ほか各種プレミックス品、植物油、糖化製品など幅広く商品提供する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の筆頭株主は伊藤忠商事株式会社で8.0%を保有する。次いで株式会社千葉銀行と三井物産株式会社が各々4.8%を保有。そのほかユアサ・フナショク株式会社3.9%など取引先とみられる企業が複数ならび、信託銀行の信託口も確認される。

取締役会

取締役は11名(社内8名、社外3名)、社内8名のうち1名、社外3名のうち2名の計3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表取締役社長を含む7名の取締役はプロパー出身者とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の新妻一彦氏は1957年10月生まれ。明治大学を卒業後、同社へ入社。1998年頃に子会社の数社で代表取締役社長経験を積み、2001年には同社へ戻り、広域営業本部長、製粉部長を経て2009年執行 役員に就任。続いて常務取締役、専務取締役、代表取締役社長と歴任し、2020年4月より現職に就任
代表取締役専務執行役員である中村圭介氏は1956年7月生まれ。鳥取大学を卒業し、同社に入社。工場長、技術本部製粉テクニカルマネージャー、生産センター所長、などの生産畑を中心に経験し、2009年執行役員に就任。その後常務取締役、取締役専務執行役員を経て2017年4月に現職に就任し、生産・技術部門の統括を担う。

報告セグメント

「製粉事業」、「油脂食品事業」、「糖質事業」、「飼料事業」の4報告セグメントに大別される。直近2020年12月第3四半期の売上高189,830百万円の構成割合は油脂食品事業が35.9%、製粉事業29.9%、飼料事業20.3%、糖質事業13.9%である。また同期のセグメント利益6,826百万円は、油脂食品事業41.9%、糖質事業24.0%、製粉事業21.4%、飼料事業12.7%で構成される。2020年にはサンエイ糖化株式会社、ボーソー油脂株式会社を完全子会社化するなど基盤事業の強化と事業領域の拡大に取り組んでいる。

事業モデル

天ぷら粉の最大手で、小麦粉や食用油の製造販売が主力。主体はBtoB向けで売上比率は業務用約9割、家庭用約1割。主な仕入先は伊藤忠商事、三井物産株式会社、株式会社カーギルジャパンとみられる。原料はカナダ、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、ウクライナなどから輸入。神戸工場、鹿島工場、船橋工場で製造をおこなう。また上海、天津、ベトナムの現地企業へ資本参加、台湾の現地企業との合弁事業をおこないアジアへの展開を加速させているが、海外事業のウェイトはまだ小さいと考えられる。「昭和天ぷら粉」をはじめ「ホットケーキミックス」「キャノーラ油」などの、複数事業を横断した商品開発や、子会社との連携による販売チャネル拡大など、事業間シナジーを活用した独自のビジネスモデルが特徴である。
食品業界では健康志向の高まりや消費ニーズの多様化によりベジタリアンやビーガンといった市場の拡大が見込まれる。加えて新型コロナウイルス感染症の拡大は消費需要や消費者の行動に変化をおよぼし、コモディティ品の価格競争は激化すると考えられる。

競合他社

製粉業界の売上高シェアは2002日清製粉グループ本社が約5割でトップ、次いで2001ニップンが約2割強、同社約2割弱とみられる。油脂食品事業では2607不二製油グループ本社(2020年3月期売上高約4,147億円)、2602日清オイリオグループ株式会社(同、約3,334億円)などが競合として挙げられ、同社油脂食品事業は売上高約1,781億円で3番手である。

連結の範囲

2020年3月時点で連結子会社が19社、非連結子会社、持分法適用会社は各4社と多い。さらに2020年12月第3四半期までに連結子会社が7社、持分法適用会社が2社増加した。主要な子会社は同社各種製品を販売する昭産商事株式会社である。

強み・弱み

「穀物ソリューション・カンパニー」として、多種多量の穀物を扱う独自のビジネスモデルにより、原料調達から生産・研究開発・販売などあらゆる過程でシナジー効果を発揮している点が強みである。食品メーカーでは唯一4種類(小麦、大豆、菜種、トウモロコシ)の穀物を取り扱い、日本一の穀物取扱量を誇る。一方で競合他社に比べて海外事業所数の少なさが目立つ。少子高齢化により国内需要の先細りが避けられない中、海外への事業展開 が課題とみられる。

KPI

2017年度に掲げた長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」の下、2022年度までに連結売上高280,000百万円、連結経常利益13,000百万円を経営目標として掲げこれらはKPIとなりうる。また原料調達の観点から、穀物の価格推移もKPIとして有力である。ここでは小麦の価格推移を以下に示す。
①連結売上高:2020年3月期254,017百万円(前年比-0.7%、目標達成率90.7%)
②連結経常利益:2020年3月期10,160百万円(前年比+3.8%、目標達成率78.2%)
③外国産小麦政府売渡価格:2020年4月期51,420円/トン(前年比-5.9%)

業績

業績は輸入小麦の政府売渡価格や原料穀物価格の変動を販売価格へ反映させるため、増減があるが、過去5期分の経営状況をみると、売上高は2000億円台前半から半ばで推移し、 物流費や人件費、エネルギーコスト等の上昇の影響を吸収し、経常利益は均してみれば水準を切り上げており、2020年3月期は経常利益9,514百万円と過去最高益を更新。生産設備などの有形固定資産を保有しており投資CFは恒常的にマイナス。純資産額および自己資本比率は5期連続で上昇し30%台から40%台へ上昇している。