4098 チタン工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1936年6月、酸化チタンの国産化を目的として東京都に創立され、1938年6月に宇部工場が完成し稼働を開始。1946年7月に山口県へ本社を移転した。1962年10月に東証二部へ上場し、1987年9月に東証一部へ変更。2004年5月には中国山東省に三井物産株式会社との合弁会社を設立した。2019年7月、リチウムイオン二次電池向けチタン酸リチウムの製造・販売を目的に株式会社TBMを設立。同年10月、株式会社東芝に株式の一部を譲渡し、合弁事業を開始

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月期末時点の大株主は、株式会社日本カストディ銀行の信託口が筆頭株主で7.0%、次いで主要販売先である稲畑産業株式会社7.0%、同じく主要販売先である株式会社東芝6.6%、メインバンクの山口銀行が4.2%等。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。代表取締役社長を除く5名の社内取締役はいずれもプロパー社員とみられる

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の井上保雄氏は1960年10月生まれ。岡山大学理学部を卒業後、同社に入社。執行役員宇部開発センター長、取締役常務執行役員生産本部長、取締役専務執行役員(技術管掌)等を歴任後、2019年6月に代表取締役社長執行役員に就任した。

報告セグメント

酸化チタン関連事業と酸化鉄関連事業の2報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期決算の売上高4,301百万円の構成比は、酸化チタン関連事業72.5%、酸化鉄関連事業27.5%。酸化チタン関連事業では、印刷インキ、化学繊維など色彩に関わる分野で利用される酸化チタン、紫外線防御用化粧品や電子写真用トナーの添加剤向け等の超微粒子酸化チタン、チタン酸リチウム等を、酸化鉄関連事業では汎用品化粧品向け等を、それぞれ製造・販売している。

事業モデル

チタン鉄鉱(イルメナイト)を原料として仕入れ、白色顔料である酸化チタン、及びその製造工程で発生する硫酸鉄から赤や黄色など多彩な色に変化を遂げる合成酸化鉄を生み出している。主な販売先は、電子材料や住宅関連資材等の分野に展開している稲畑産業株式会社、顔料・添加剤等の商社である森下産業株式会社、及び東芝株式会社等

競合他社

酸化チタン首位の4028石原産業(2020年3月期売上高101,066百万円)、チタン酸バリウムなど電子材料を強化中の酸化チタン大手4078堺化学工業(2020年3月期売上高87,177百万円)、粧品向けなど高付加価値品に強みを持つ4027テイカ(2020年3月期売上高45,435百万円)等。

連結の範囲

同社グループは、同社の他、連結子会社2社、持分法適用関連会社1社。連結子会社は、チタン酸リチウムの製造・販売を行う株式会社TBM(51%出資)、同社の場内物流業務等を行うTKサービス株式会社(100%出資)。持分法適用関連会社は化学繊維向け酸化チタンの製造・販売を行う山東三盛鈦工業有限公司(37%出資)

強み・弱み

強みは、超微粒子酸化チタンやチタン酸リチウム等の有力製品をけん引役とする高い成長力であり、弱みは未だ事業規模が小さいこと。2020年3月期までの4年間で売上高を39%、経常利益を2.6倍に拡大させた(上位3社は合計で売上高4%増、経常利益6%減)。ただ、事業規模が小さいことが高い成長率の背景にはあることも事実。事業規模の小ささは、事業環境の急変等に対するバッファーが少ないことや一部製品の好不調の影響を大きく受けることを意味する。

KPI

事業セグメント別売上高・利益がKPIになり得る。同社は、第5次中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)を策定し、特定の事業に依存した収益体質から、稼ぐ力のバランスのとれた収益体質への転換をはかり、安定して利益が出る会社への変革に取り組んでいる。取り組みは途上にあり、来期以降も継続されるものと考える。その進捗状況及び成果を図る手段となるのが、事業セグメント別売上高・利益の推移である。

業績

2019年3月期、2020年3月期と中期経営計画の成果が顕在化しつつあった。過去5年間の自己資本比率は44~51%で推移しており、2020年3月期は48.6%。キャッシュ・フロー(CF)も、期末が金融機関の休日と重なった2019年3月期を除き、営業CFが安定して黒字を維持している。2020年3月期は、成長が見込まれる化粧品向け超微粒子酸化チタンの増産投資で投資CFの支出(▲2,005百万円)が営業CFの黒字(1,872百万円)を上回ったが、通常は設備投資を営業CFの範囲内に抑えている