3917 アイリッジの業績について考察してみた

3917 アイリッジの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 1,729 286 16.54%
FY2024.Q1 2023.06 1,117 -208 -18.62%
FY2024.Q2 2023.09 1,307 -122 -9.33%
FY2024.Q3 2023.12 1,425 -30 -2.11%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.04 462 85 18.4%
FY2017.Q4 2017.07 388 50 12.89%
FY2018.Q1 2017.10 307 -13 -4.23%
FY2018.Q2 2018.01 409 53 12.96%
FY2018.Q3 2018.04 471 59 12.53%
FY2018.Q4 2018.07 353 -50 -14.16%
FY2019.Q2 2018.10 1,004 -41 -4.08%
FY2019.Q3 2019.01 978 -67 -6.85%
FY2019.Q4 2019.03 1,279 120 9.38%
FY2020.Q1 2019.06 788 -175 -22.21%
FY2020.Q2 2019.09 1,638 99 6.04%
FY2020.Q3 2019.12 1,405 29 2.06%
FY2020.Q4 2020.03 1,506 161 10.69%
FY2021.Q1 2020.06 981 -28 -2.85%
FY2021.Q2 2020.09 1,104 13 1.18%
FY2021.Q3 2020.12 1,031 27 2.62%
FY2021.Q4 2021.03 1,247 101 8.1%
FY2022.Q1 2021.06 1,135 3 0.26%
FY2022.Q2 2021.09 1,282 77 6.01%
FY2022.Q3 2021.12 1,547 121 7.82%
FY2022.Q4 2022.03 1,459 141 9.66%
FY2023.Q1 2022.06 1,027 -45 -4.38%
FY2023.Q2 2022.09 1,164 19 1.63%
FY2023.Q3 2022.12 1,498 118 7.88%
FY2023.Q4 2023.03 1,729 286 16.54%
FY2024.Q1 2023.06 1,117 -208 -18.62%
FY2024.Q2 2023.09 1,307 -122 -9.33%
FY2024.Q3 2023.12 1,425 -30 -2.11%

沿革

モバイル関連ビジネスを事業目的として、2008年8月にアイリッジ株式会社を設立。2009年11月に情報配信アプリ「popinfo」を配信。2015年7月に東証マザーズへ上場。2019年7月にファン育成プラットフォーム「FANSHIP」を提供開始。企業のO2O(オンラインtoオフライン)マーケィングを支援するアプリで導入実績多数

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、代表取締役社長の小田健太郎氏が筆頭株主で33.7%、次いで株式会社デジタルガレージが14.0%、株式会社クレディセゾンが8.0%。その他には、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが1.9%など、取引会社や個人投資家が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は8名(社内4名、社外4名) 、監査等委員3名 、監査等委員会設置会社である。社内取締役の経歴は多様。梅本氏は株式会社ビジネスブレイン太田昭和とデロイトトーマツコンサルティング株式会社を経て2013年4月に入社。渡辺氏は楽天株式会社を経て2013年8月に入社。森田氏は野村證券株式会社やDBJ投資アドバイザリー株式会社を経て2020年6月に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小田健太郎氏は1975年6月生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、1999年4月にエヌ・ティ・ティ・データに入社。2004年にボストンコンサルティンググループに入社後、独立して2008年8月に同社を設立

報告セグメント

「O2O関連事業」の単一セグメントだが、「企業へのアプリ開発やコンサル、プロモーションサービス」と「FANSHIPによる月額サービス」の2つのサービスを展開している。2021年3月期第3四半期の売上高構成は、企業へのアプリ開発やコンサル、プロモーションサービスが2,388百万円で76.6%を占め、FANSHIPによる月額サービスが728百万円で23.4%を占める。

事業モデル

セグメントとは別にデジタル・フィジカルマーケティング領域(O2O事業領域)、フィンテック領域およびライフテック領域の2つに事業内容は大別される。
O2O事業領域は、プラットフォーマーとして、企業の公式O2Oアプリの企画から開発、コンサルティングまでを自社で一貫して行う。基幹となるファン育成プラットフォーム「FANSHIP」は、GPSやwi-fi、Bluetoothによる位置情報と連動して、プッシュ機能を用いて顧客にアプローチが可能。既存顧客の行動履歴や位置情報を分析することで、的確なターゲティングとアプローチを実現する。アプリ開発やコンサルティングにかかる収入と、導入後の月額報酬による収入が収入構造となる。顧客企業がLINEを用いて会員へ販促のプッシュを実現する『LINEミニアプリ』の提供も開始し、中堅企業のアプリニーズを広いながら月額報酬を拡大しストック比率を高める方針。
フィンテック領域およびライフテック領域は、子会社の株式会社フィノバレーにおいて2次元コード読み取り方式の電子地域通貨プラットフォームを提供し、地域金融機関・自治体・商工会を通じて地域の活性化とDX推進を支援するフィンテック領域と、スマートホームのアプリ開発や、マンション向け広告サイネージの他、当社保有の位置情報データベースを用地仕入や物件販促に活用するなどのサービスを不動産デベロッパー等へ提供する。

2019年3月期 決算説明資料

競合他社

ポイントアプリ「モッピー」を配信する株式会社3696株式会社セレス(直近決算期売上高20,213百万円)、ネット広告効果測定サービスの提供を行う3690株式会社イルグルム(同2,618百万円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は2社で、2018年8月に株式取得し子会社化した議決権比率80%の株式会社DGマーケティングデザインと、同社から会社分割により子会社化させた議決権比率87.7%の株式会社フィノバレー。

強み・弱み

フューチャーフォン時代よりO2Oアプリを開発。顧客にはGU、東急電鉄、三菱UFJ銀行等といった300社以上の企業が名を連ね、幅広い導入実績を持つ。FANSHIP導入企業のアプリユーザー数は2億1000万以上と、国内最大級のO2Oプラットフォーマーである。FANSHIPを通して蓄積した位置情報などのビッグデータ資産も同社の強み。2018年7月期末(決算期変更前)の従業員数は78名であったが、足元173名と急速に事業規模を拡大、安定した事業体制の構築による成長加速は今後の課題。

KPI

KPIとして①原価率、②販売管理費、③従業員数、④利用ユーザー数が挙げられる。
①原価率:2020年3月期第3四半期63.4%(前期比9.0%減)
②販売管理費:2020年3月期第3四半期349百万円(前期比6%増)
③従業員数:2020年3月期第3四半期173人(前期比10人増)
④利用ユーザー数:2020年3月期第3四半期2億1,628人(前期比3,784万人増)

2021年3月期 第3四半期決算説明資料

業績

2019年に決算期を7月末から3月末へ変更しているが、売上高は2016年7月期から2020年3月期の約4年間で4.3倍に成長。2018年7月期と2019年3月期にはアプリ開発に伴う原価率上昇やグループ会社拡大に伴う販売管理費の増大により、営業利益は落ち込んだが、原価率管理や販売管理費の削減に取り組み改善傾向。営業CFは安定してプラス。投資CFはバラツキがあり、2019年3月期には子会社株式取得に伴う拠出が膨らんだ。財務CFは恒常的にプラスである。現預金の水準に照らして実質無借金、自己資本比率は70%前後で安定している。

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