4722 フューチャーの業績について考察してみた

4722 フューチャーの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.12 15,102 3,317 21.96%
FY2024.Q1 2024.03 15,022 3,417 22.75%
FY2024.Q2 2024.06 17,932 3,485 19.43%
FY2024.Q3 2024.09 18,962 4,697 24.77%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 8,715 961 11.03%
FY2017.Q2 2017.06 8,550 888 10.39%
FY2017.Q3 2017.09 9,235 1,341 14.52%
FY2017.Q4 2017.12 9,765 1,268 12.99%
FY2018.Q1 2018.03 9,218 1,364 14.8%
FY2018.Q2 2018.06 9,816 1,248 12.71%
FY2018.Q3 2018.09 9,760 1,468 15.04%
FY2018.Q4 2018.12 11,424 1,744 15.27%
FY2019.Q1 2019.03 10,850 1,791 16.51%
FY2019.Q2 2019.06 11,365 1,545 13.59%
FY2019.Q3 2019.09 11,664 1,547 13.26%
FY2019.Q4 2019.12 11,510 1,640 14.25%
FY2020.Q1 2020.03 11,027 1,654 15%
FY2020.Q2 2020.06 11,108 1,585 14.27%
FY2020.Q3 2020.09 10,275 695 6.76%
FY2020.Q4 2020.12 11,901 1,301 10.93%
FY2021.Q1 2021.03 11,083 1,702 15.36%
FY2021.Q2 2021.06 12,034 2,044 16.99%
FY2021.Q3 2021.09 12,672 2,798 22.08%
FY2021.Q4 2021.12 12,909 2,456 19.03%
FY2022.Q1 2022.03 12,605 3,341 26.51%
FY2022.Q2 2022.06 13,335 2,873 21.54%
FY2022.Q3 2022.09 13,674 3,147 23.01%
FY2022.Q4 2022.12 14,124 2,868 20.31%
FY2023.Q1 2023.03 13,965 3,172 22.71%
FY2023.Q2 2023.06 14,379 3,152 21.92%
FY2023.Q3 2023.09 15,878 4,059 25.56%
FY2023.Q4 2023.12 15,102 3,317 21.96%
FY2024.Q1 2024.03 15,022 3,417 22.75%
FY2024.Q2 2024.06 17,932 3,485 19.43%
FY2024.Q3 2024.09 18,962 4,697 24.77%

沿革

1989年11月オープンシステムのコンサルティング業務を主目的に、鹿児島県でフューチャーシステムコンサルティング株式会社として設立2002年6月東証一部へ上場。2007年1月フューチャーアーキテクト株式会社に商号変更。2016年4月フューチャーアーキテクト株式会社を新設し持株会社制に移行、フューチャー株式会社に商号変更。傘下の事業子会社で幅広いAIの活用等により産業界でのDXを推進するコンサルティングサービスや、自社メディアを通じた様々なインターネットサービスを提供。

株主構成

有価証券報告書によると2020年6月末時点の筆頭株主は、代表取締役会長兼社長金丸恭文氏の資産管理会社である合同会社キーウェスト・ネットワークで34.11%、同氏個人で12.56%と併せて46.67%を保有。その他には取引先の9143 SGホールディングス (佐川急便)4.4%、国内外の信託銀行等の信託口や個人名が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、社外4名は監査等委員で監査等委員会設置会社である。取締役副社長の石橋国人氏は代表の金丸氏とロジック・シズテムズ・インターナショナル株式会社で共に働き、その後シャープ株式会社の研究所を経て金丸氏と共に同社を設立。取締役でCTOの齋藤洋平氏はプロパー出身と見られる。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼社長の金丸恭文氏は1954年3月生まれ。神戸大学工学部を卒業後、税理士や公認会計士向けの情報サービスを手掛ける株式会社TKCへ入社。1982年ロジック・システムズ・インターナショナル株式会社(現ロジック株式会社)へ入社。1985年株式会社NTTPCコミュニケーションズ設立時の取締役を経て、1989年11月に石橋国人とともに同社を設立
内閣官房働き方改革実現会議議員を務め、厚生労働省の懇談会の報告書『働き方の未来2035』の作成に携わる。その他、内閣府規制改革推進会議議長代理、経済産業省新産業構造部会委員・IoT推進ラボIoT支援委員会委員、厚生労働省データヘルス時代における保険者機能強化と質の高い医療実現に関する有識者検討会構成員、公益社団法人経済同友会副代表幹事、公益財団法人総合研究開発機構代表理事など、多数の政界・経済界の団体等において要職を務める

報告セグメント

「ITコンサルティング&サービス事業」、「ビジネスイノベーション事業」の2報告セグメントに大別される。2020年12月期の売上高44,311百万円の構成比はITコンサルティング&サービス事業が80.0%、「ビジネスイノベーション事業」が20.1%(セグメント間調整前)。

事業モデル

ITコンサルティング&サービス事業は、経営者の視点で課題解決型のコンサルティングサービスをAI、IoT活用、セキュリティ、戦略、IT人材育成などの分野を得意として提供する。AI分野ではオルビス・佐川急便・常用銀行などの大手企業への導入実績をもつ。深層学習を画像認識分野で活用した伝票入力や、融資審査への活用サービスを提供している。2020年12月期の業種別売上構成では、製造業が最多の26.4%、流通が25.5%、サービスが25.0%、金融が23.1%と幅広い分野にサービスを提供し、顧客は分散している。フェーズ別の売上構成では、開発が42.3%と最多で、保守運用は23.4%、グランドデザインが20.3%である。保守の比率は5pt程度前期比で上昇しており、業績の安定性が高まっている。
ビジネスイノベーション事業は、子会社で雑誌『東京カレンダー』の制作やウェブサイトの運営、『eSPORTS』サイトでのスポーツ・アウトドア・フィットネス用品の販売、プログラミングスクールの運営などを行う。IT技術を利用してオリジナルサービスを提供し、イノベーションを創出する事業との位置づけである。
国内のコンサルティングサービス市場は緩やかな成長が見込まれており、同社が提供する企業のDXを推進するコンサルティングサービスは今後も旺盛な需要が見込まれる。


2020年12月期 決算説明会プレゼンテーション資料

競合他社

コンサルティングファームは外国企業含めて多数が国内で展開し、米国のアクセンチュア、4674 株式会社クレスコ(直近決算売上高393億円)、3798 ULSグループ(直近決算売上高63億円)などが競合他社として挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に連結子会社19社、非連結子会社7社を抱えグループを構成。連結子会社は国内15社、海外4社。主要な子会社は、ITコンサルティング&サービス事業ではフューチャーアーキテクト株式会社と製造業を中心にサービス提供する株式会社ワイ・ディ・シーの2社、ビジネスイノベーション事業では株式会社eSPORTSの合計3社で、これらは連結売上高に占める割合が10%を超える

強み・弱み

提供サービスのフェーズや顧客基盤は分散されており安定性が高い点は強み。産業界での実践的な活用フェーズを迎えるAI活用のコンサルティングで大企業への導入実績を持つことも優位性の1つである。一方で、積極採用によるコスト増が足元業績にも影響しており高い技術をもつ人材の獲得競争は懸念事項である。また、創業以来代表取締役の金丸恭文氏の影響力が大きいことから後継者育成は欠かせない

KPI

売上高の80%を占めるITコンサルティング&サービス事業の受注状況は重要なKPIである。同事業における従業員数の推移も参考となる。
・ITコンサルティング&サービス事業 2020年12月期 受注高32,429百万円(前期比▲14.5%)、受注残高9,516百万円(同▲14.1%)
ITコンサルティング&サービス事業の従業員数 2019年12月末時点 1,947名(前期比+142名)

業績

2015年12月期から2019年12月期の5期間に売上高と経常利益はいずれも約1.3倍と安定的に成長した。2020年12月期はコロナ禍の影響により、顧客における投資抑制がみられた他、既存プロジェクトの納期遅延によりコスト増となったため減収減益であった。営業CFは安定してプラスで推移し、投資CFと財務CFは恒常的にマイナスだがフリーCFは安定してプラスである。自己資本比率は7割を超えて推移しており、現預金の水準に照らし合わせて借入金は僅少で実質的な無借金経営。

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