2352 エイジアの業績について考察してみた

2352 エイジアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1995年4月 ホームページ制作を目的として東京都で設立。1997年6月ウェブサイトの受託開発を中心とした事業を開始。1999年5月から主力商品である『WEBCAS』の本格的な研究・開発を始め、2001年より発売。2005年10月東証マザーズへ上場。低採算のソフトウェア受託開発から、BtoC企業が顧客とのコミュニケーションを行うCRM(Customer Relationship Management)システム『WEBCAS』の提供に事業の中心を転換してきた。2016年8月東証二部へ、2017年12月東証一部へ変更。2020年5月日本成長投資アライアンス株式会社とM&Aや営業支援に関する業務提携を締結、同年10月には株式会社CONNECTY HOLDINGを株式取得により子会社化。

株主構成

2020年9月末時点の有価証券報告書によると、5%以上保有の株主には国内外の信託銀行の信託口が並び、代表取締役美濃和男氏の保有2.5%と個人投資家の保有2.4%を除いては信託口や証券会社で大株主は構成されている。その後の大量保有報告書から、現在の筆頭株主は業務提携中のPEファンド日本成長投資アライアンス株式会社で、15.3%を保有するとみられる。ノムラインターナショナルピーエルシー6.9%、アセットマネジメントOne6.8%、投資会社サマランユーシッツ6.3%などの大量保有も確認される。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、社内1名と社外2名の合計3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。常務取締役の北村秀一氏は当社設立時からの取締役である。

代表取締役の経歴

代表取締役の美濃和男氏は1965年5月6日生まれ。明治大学経営学部を卒業後、1989年4月株式会社第一勧業銀行(現株式会社みずほ銀行)入行、2005年7月同社へ入社し取締役を経て、2009年4月代表取締役へ就任。創業者から事業を引き継いで以降、付加価値の高い『WEBCAS』への事業転換を進めてきた。

報告セグメント

「アプリケーション事業」、「コンサルティング事業」、「オーダーメイド開発事業」、「EC事業」の4報告セグメントに大別され、2021年3月期第3四半期の売上高1,639百万円の構成比はアプリケーション事業74.4%、コンサルティング事業17.3%、オーダーメイド開発事業0.3%、EC事業8.0%である。
また、セグメント別の売上高総利益率は、アプリケーション事業が63.1%と最も高く、コンサルティング事業26.0%、オーダーメイド開発事業43.6%、EC事業40.1%であり、全社では54.7%である。なお、売上高に占めるストック売上占有率は68.0%。

2021年3月期第3四半期 決算補足資料

事業モデル

主力のアプリケーション事業は、CRMアプリケーションソフト『WEBCAS』シリーズの企画・開発・販売・保守を行う。BtoC企業が顧客にメールやLINE、SNSといったツールでメッセージを届け、アンケートや問い合わせ、会員登録などの機能で相互コミュニケーションを実現できるシステムである。パッケージで提供する「サーバー導入型」と、シリーズの各機能をSaaSもしくはASP形態で利用期間に応じてレンタルする「クラウドサービス型」がある。4,000社以上の導入実績を持ち、大手及び中堅企業のEC、アパレル、化粧品、保険会社に強く、BtoC企業が販促に利用している。ASP形態により中堅及び中小企業へも提供が可能。なお、営業活動は自社の営業部隊が中心だが販売パートナーによる契約締結も一部ある。

2020年3月期決算補足資料

コンサルティング事業では、『WEBCAS』活用のプランニングやコンテンツ企画・政策、アンケート設計や顧客分析等を、オーダーメイド開発事業では『WEBCAS』の付加機能開発やHP・Webコンテンツの受託開発・保守を行う。EC事業は、2018年9月に事業買収し新設した事業セグメントで、子会社「株式会社ままちゅ」が運営するベビー服ECサイト「べびちゅ」を運営する。なお、オーダーメイド開発事業は、アプリケーション事業へのリソース集中のため、利益率の高い案件を残し計画的に縮小されている。
スマートフォンの急速な拡大もあり、顧客とのコミュニケーションのデジタル管理・実施が可能なクラウドサービスは急速に拡大してきた。今後もLINEなどのチャットアプリやSNSを用いたマーケティング・コミュニケーションの需要は拡大し、それらへの対応が可能なCRMシステムへの需要は堅調に推移するとみられる

競合他社

主力の『WEBCAS』に競合するサービスとしては、3923ラクスの提供する『メールディーラー』(2020年3月期サービス別売上高1,733百万円)や『配配メール』や『クルメル』 (同1,574百万円)が挙げられる。クラウドメール処理システム、クラウドメール配信システムはそれぞれ市場統計が存在し、前者は競合のラクスが約7割の市場シェアを有している。

連結の範囲

連結子会社は、FUCA株式会社、株式会社ままちゅ、株式会社CONNECTY HOLDING、株式会社コネクティの4社。
持分法適用関連会社は株式会社グリーゼで、コミュニケーション・ライティング事業、セミナー・教育事業を行う。

強み・弱み

SaaS形態のクラウドサービス事業で収益の安定性が高く、低い解約率を維持できていることや各業界のリーディングカンパニーへの導入実績が強み。一方、アプリケーション事業の売上高が全体の7割を超えており、EC事業等その他のセグメントの早期育成が課題とみられる。

KPI

2021年3月期第2四半期のKPIの進捗は下記のように、過去最高の契約数を更新し、ARPUやチャーンレートは安定推移している。
① クラウドサービス継続契約数

SaaSプラン(高価格版) 224(前年同期比+5%)
ASPプラン(廉価版) 1,005(前年同期比+10%)
② ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー1人あたりの平均売上金額)

SaaSプラン(高価格版) 237千円
ASPプラン(廉価版) 32千円
③ 12か月平均 月次チャーンレート(解約率)

SaaSプラン(高価格版) 0.4%
ASPプラン(廉価版) 2.2%

業績

2016年3月期から2020年3月期まで、売上高、経常利益は毎期増加している。また当期純利益は、今後使用しないソフトウェアの減損損失を計上した2019年3月期を除き毎期増加しており、過去最高益を更新している。自己資本比率は毎期80%前後を維持しており、無借金である。
2020年3月期の売上高は1,875百万円(前期比+9.2%)、経常利益は470百万円(前期比+21.3%)、当期純利益は320百万円(前期比+40.5%)である。