4382 HEROZの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

2009年4月HEROZ株式会社として、インターネットサービスの企画、開発および運営等を目的に東京都で設立。「mixi」向けのアプリを複数リリースした後に、2012年5月人口知能(AI)を活用したスマートフォンゲームアプリ「日本将棋連盟公認 将棋ウォーズ」をリリースこの将棋AIで培ったAIテクノロジーを、ビジネス領域や他の頭脳ゲームアプリに展開中。2016年12月に株式会社バンダイナムコエンターテインメントと資本業務提携。2017年7月株式会社コーエーテクモゲームスと資本業務提携。2017年8月に株式会社竹中工務店と資本業務提携。2018年4月にNetmarble Games Corporation資本業務提携。2018年4月東証マザーズへ上場。2019年12月東証一部へ市場変更。

株主構成

有価証券報告書によると2020年10月末時点の大株主は、共同創業者の代表取締役CEO林隆弘氏と代表取締役COO高橋知裕氏が各々29.0%と、併せて58.0%を保有し、そのほかにビッグローブ株式会社2.6%、資本業務提携をしているコーエーテクモゲームス1.2%、バンダイナムコエンターテインメント1.1%、竹中工務店が1.0%を保有し、信託銀行の信託口も確認される。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。取締役CFOの浅原大輔氏は京都大学卒業後ペンシルベニア大学MBAを取得し、マーサージャパン株式会社、ゴールドマン・サックス証券株式会社を経て2013年6月に当社へ入社。取締役CTO開発部長は2003年より日本電気株式会社(NEC)の中央研究所に7年間在籍しており、他の2社を経て2013年6月より当社開発部長へ就任。

代表取締役の経歴

共同創業者の2名は、いずれも1976年12月生まれで早稲田大学卒業後に1999年4月に日本電気株式会社(NEC)へ入社した同窓の同期。2009年4月に共同創業者として同社を設立。
代表取締役CEOの林隆弘氏は教育学部を卒業後、NECでIT戦略部、経営企画部に在籍
代表取締役COOの高橋知裕氏は理工学部を卒業後、NECでBIGLOBE事業部、経営企画部に在籍

報告セグメント

「AI関連事業」の単一セグメントだが、主サービスの特徴を分類すると、AIをBtoC ビジネスとして展開する「AI(BtoC)サービス」と、AIをBtoB ビジネスとして展開する「AI(BtoB)サービス」に分けられる。沿革の経緯からも、BtoCの頭脳ゲーム領域が売上高の中心であったがBtoBの売上高が急速に伸びたことで、2020年4月期BはtoC 727百万円、BtoB817百万円とBtoB同程度となっている。

20201年4月期 第2四半期 決算説明資料

事業モデル

2013年に現役プロ棋士に勝利した実績を持つ同社エンジニア開発のAIで培ったノウハウを個人向け、企業向けに展開する。
BtoCサービスは、将棋・チェス・バックギャモン等の頭脳ゲームをアプリとしてグローバルに配信し、月額課金とAIの『棋神』利用料などアプリ内でのユーザーによる課金が収益源である。
BtoBサービスは、将棋の棋譜データを企業の設計データや経済データに置き換えて、ディープラーニング等の機械学習を行うMLaaS(Machine Learning as a Service)を『HEROZ Kishin』として提供する。AI導入の構想策定から開発・運用、大規模サーバー構築を含む包括的なAIサービスを提供しており、初期設定フィーと継続フィーが収益源となる。できるだけ短期間で初期開発を完了させて継続フィーを受領できる段階に移行することや、将来的に業界標準となるようなAIサービスの創出による事業拡大を目指す。大手のゼネコンや金融機関等、様々な業界に導入されており、直近ではアイリスオーヤマ株式会社が同社AIによる販売予測の運用を開始した旨がリリース(2020年11月)されるなど、活用が広がっているとみられる。
AI市場は、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化や、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、産業界での実践的な利用フェーズに移行しており、今後も成長が続くとみられる。

20201年4月期 第2四半期 決算説明資料

競合他社

AI分野に参入する企業は多く、ベンチャー企業を中心に国内外に多くの類似企業が存在するとみられる。国内上場企業では、東京大学発のAIベンチャー3993 PKSHA Technology(2020年9月期売上高73億円)、3906 ALBERT(2020年12月期会社予想売上高29億円)、4056ニューラルポケット (2020年12月期会社予想売上高7億円)などが挙げられるが、必ずしもAIの活用領域は被っていない

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

将棋等の頭脳ゲームAIを開発する過程で培ったAI関連技術の高さや、産業界で既に運用実績をもつことが強み。最先端の技術を有する人材はグローバルに獲得競争が激化しており、確保が容易でない状況が今後も継続することが懸念される。

KPI

EBITDA(営業利益+各種償却費)を重要な業績指標として同社は掲げている。今後BtoBでは幅広い分野での運用実績を積み重ね、顧客基盤を構築・拡大していくとみられ、IRニュース等で確認される導入先や導入社数などはKPIとなり得る。
EBITDA 2021年4月期第2四半期178百万円(前年同期比▲35.1%)
導入社数などの状況

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は堅調に増加し1,155百万円から1,544百万円へ1.3倍となった。損益面は2016年4月期には23百万円の経常損失であったが、黒字化済みで2020年4月期には経常利益404百万円まで成長している。特にAI(BtoB)サービスの売上高が伸びており、サービス拡充による継続フィーの積み上げと初期設定フィーの獲得が順調に進んだことが背景として挙げられる。自己資本比率96.5%と健全な財務状況で、無借金経営である。