4441 トビラシステムズの業績について考察してみた

4441 トビラシステムズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.10 532 161 30.26%
FY2024.Q1 2024.01 567 202 35.63%
FY2024.Q2 2024.04 587 235 40.03%
FY2024.Q3 2024.07 617 232 37.6%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2019.Q2 2019.04 276 128 46.38%
FY2019.Q3 2019.07 232 87 37.5%
FY2019.Q4 2019.10 259 88 33.98%
FY2020.Q1 2020.01 270 100 37.04%
FY2020.Q2 2020.04 320 142 44.38%
FY2020.Q3 2020.07 312 134 42.95%
FY2020.Q4 2020.10 332 122 36.75%
FY2021.Q1 2021.01 335 123 36.72%
FY2021.Q2 2021.04 358 163 45.53%
FY2021.Q3 2021.07 364 164 45.05%
FY2021.Q4 2021.10 367 129 35.15%
FY2022.Q1 2022.01 391 134 34.27%
FY2022.Q2 2022.04 447 146 32.66%
FY2022.Q3 2022.07 412 136 33.01%
FY2022.Q4 2022.10 431 124 28.77%
FY2023.Q1 2023.01 487 182 37.37%
FY2023.Q2 2023.04 522 175 33.52%
FY2023.Q3 2023.07 520 164 31.54%
FY2023.Q4 2023.10 532 161 30.26%
FY2024.Q1 2024.01 567 202 35.63%
FY2024.Q2 2024.04 587 235 40.03%
FY2024.Q3 2024.07 617 232 37.6%

沿革

2006年12月株式会社A&A tecnologiaとして岐阜県にて創業。2010年10月に社名をトビラシステムズ株式会社に変更した。2011年6月に迷惑電話フィルタ「トビラフォン」を開発、販売開始して以降、「迷惑情報フィルタ事業」を主要事業として展開している。2016年から国内主要通信キャリアと提携し、オプションパックに含まれる複数サービスの1つとして、エンドユーザーに提供を開始。2019年4月東証マザーズへ上場した後、2020年4月東証一部へ市場変更している。なお、2008年に移転し本社は名古屋の企業である。

株主構成

有価証券報告書によると2020年10月末時点の大株主は、保有割合が多い順に代表取締役社長の明田篤氏47.6%、取締役の松下智樹氏10.41%、信託口5.06%と続き、以降は保有割合5%未満で信託口や証券会社が中心。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、うち社内1名、社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表取締役、監査等委員以外の社内取締役2名は2017年、2018年とここ数年内の入社

代表取締役の経歴

代表取締役社長の明田篤氏は1980年12月生まれ。名城大学理工学部を中退後に技術者の道へ進み、2003年株式会社アトムコンサルタントへ入社。その後、個人事業主として開業した。2006年に同社を設立し、代表取締役社長に就任している。

報告セグメント

「迷惑情報フィルタ事業」の単一セグメント。同事業は「モバイル向け」(2020年10月期セグメント内売上割合84.8%)、「固定電話向け」(同12.8%)、「ビジネスフォン向け」(同2.3%)の3つのサービスから構成される。また報告セグメントではない「その他」として、報告セグメントに含まれないホームページ制作運営支援事業及び受託開発事業を行っているが、迷惑情報フィルタ事業へ注力するため、積極展開していない。

事業モデル

悪質な迷惑電話や詐欺電話を防止するサービス「トビラフォン」を販売。また「トビラフォン」の電話番号データベースを活用したサービスの提供を行っている。モバイル向けフィルタサービスは国内主要通信キャリアと提携し、2016年から各通信キャリアが提供するオプションパックに含まれる複数サービスの1つとして、エンドユーザーに提供している。固定電話向けフィルタサービスは、通信回線事業者のオプションパックとして、IP電話向けの迷惑情報フィルタサービスを提供、オプションサービス契約数に応じた従量課金による契約を締結している。ビジネスフォン向けフィルタサービスは企業向けに「トビラフォン」に通話録音システムや集中型管理システムを追加した商品や、クラウド型ビジネスフォンサービスを販売している。

2020年10月期 決算説明資料

2020年10月期 決算説明資料

競合他社

電話番号識別アプリ「whoscall」を提供する台湾発祥の株式会社Gogolookなどが挙げられる。しかし国内で迷惑電話のフィルタサービスを展開している企業はいずれも小規模事業者であり、通信キャリアでのオプション導入実績も踏まえると、同市場において実質的に独占的地位を確保している。

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

同社の1,000万人を超えるユーザーから寄せられる迷惑電話番号の情報に関するデータベースの精度は、新規参入企業が容易に構築できるものではなく、同社の持つ強みと言える。また、独自のアルゴリズムで13件の特許を取得している。一方で、2020年10月期での同社売上高の77%以上を通信キャリアに依存している。政府主導の携帯電話料金引き下げによる通信キャリアの収益悪化が、同社が提供するサービスへの単価引き下げ要請に繋がらないかなどが懸念される。

KPI

①月間利用者数(2020年10月末時点で約1,123万人)
②固定電話向けフィルタサービスのオプションパック採用通信事業者数(2020年10月末時点で3社)
③トビラフォンBizの採用企業数(ストック収益に直結する)
④エンジニア(正社員)の増員(2020年10月末現在32人、会社計画では2021年10月末に35人)

2020年10月期 決算説明資料

業績

2016年10月期以降、増収増益を継続しており、2020年10月期の売上高は1,234百万円と2016年10月期の275百万円から4倍超、経常利益は11百万円から471百万へと40倍超に成長している。売上高と利益の急拡大は、2016年からKDDIやソフトバンクを通じて提供を開始したことで、限界利益率の高い事業において損益分岐点を大幅に上回る売上高が確保できるようになったことが要因と思われる。フリーCFは恒常的にプラスを維持している。

関連ありそうな記事